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ねこねここねこなお医者さん 転生して仔猫になったぼくが夢の獣医になる話  作者: 橋元 宏平


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第155話 禁断の果実

 ネロが()れやかな笑顔を、ぼくに見せてくる。


仔猫(こねこ)のお医者さん、みんなを説得(せっとく)してくれて助かったニャオ」

「説得なんてしていませんミャ。みんな、いつも(おさ)頑張(がんば)っていることを知っていたから、考えを(あらた)めてくれただけですミャ」

「それでもニャオ。お医者さんが言ってくれなかったら、きっとこれからもずっと死ぬまでひとりで頑張り続けていたと思うニャオ。お医者さんはケガや病気を治すだけじゃなくて、とても優しくて賢い猫ニャオ」

「いえいえ、ぼくなんてまだまだ未熟(みじゅく)ですミャ。これからも、皆さんで支え合って生きてくださいミャ」

「何から何まで、本当にありがとうニャオ。お礼に、オリーブの実を好きなだけ持って行っていいニャオ」

「ありがとうございますミャ。遠慮(えんりょ)なく、いただいていきますミャ」 


 (おさ)から許可が()られたので、オリーブの実をもらっていくことにした。

 オリーブの実の収穫(しゅうかく)は、オリーブ農家でも手摘(てづ)みするそうだ。

 手摘みは人手(ひとで)と時間がかかるけど、オリーブに傷が付くと商品価値が落ちてしまうからだ。


 オリーブは実の付け根をつまんで、そっと下へ引っ張ると()れるよ。

 オリーブの実はまだ(じゅく)していない緑色だけど、これはこれで美味(おい)しく食べられる。

 新しく蓋付(ふたつ)きの(かご)()んで、オリーブの実と葉っぱを(かご)いっぱいに()めた。

 これで、オリーブの実が食べられるぞ。

 オリーブのお土産(みやげ)をたくさんもらって、ぼくたちはオリーブの集落(しゅうらく)から旅立った。


 ฅ^•ω•^ฅ


 オリーブの青い実はとても(しぶ)くて、渋抜(しぶぬ)きしないと食べられないらしい。

 オリーブの実の渋味(しぶみ)は、Oleuropein(オレウロペイン)というポリフェノール。

 ポリフェノールは抗酸化(こうさんか)物質で、キャットフードにも使われていて猫の体にも安心。


 渋抜きの方法はいろいろあって、塩漬けにしたり酒漬けにしたりするそうだ。

 塩や酒は手に入らないから、水に(ひた)すしかなさそうだな。

 水で渋抜きする場合は、水に浸して1ヶ月くらい毎日水を変えるらしい。

 完全に渋味を抜き切ってしまうとと栄養も旨味(うまみ)も減ってしまうから、渋を抜く加減が難しいという。

 適度な渋味は、旨味(うまみ)とも言われている。


 ちなみにオリーブオイルは、完熟(かんじゅく)した黒いオリーブの実を使うそうだ。

 青い実からも油を(しぼ)れるけれど、(かた)いから(しぼ)りにくいし油が採れる量も少ないんだって。

 人間用のオリーブの実の瓶詰めは、塩漬けされているから絶対に猫に食べさせちゃダメだよ。

 猫に与える時は、生のものを刻んでちょっとだけにする。

 初めて食べるものはおなかがビックリして、おなかを壊してしまうことがあるからね。

 カロリーが高いから、食べすぎるとデブニャンになっちゃうぞ。


 ちょっとの量で満足してもらうには、そのまま食べるんじゃなくて料理に使った方が良いかもね。

 オリーブの集落の猫たちは、青い実をそのまま食べていたけど大丈夫だったのかな?


 試しに、オリーブの実を少しだけかじってみる。

 新鮮なオリーブオイルみたいな青い匂いがして、カリカリ梅みたいな食感で美味しい。

 オリーブの実なんだから、オリーブオイルの匂いと味がするのは当たり前か。


 猫の味覚だからか、渋味はあまり感じない。

 猫は苦味(にがみ)を強く感じるはずなんだけど、渋味は平気なのかな?

 猫は意外と、渋味の強い草も猫草として食べるよね。


 もしかすると猫の味覚(みかく)は、渋味を旨味として感じるのかな。

 猫用なら、渋抜きは必要ないのかもしれない。

 猫は油を美味しいと感じるから、ほとんど油で出来ているオリーブの実も美味しいと感じるんだ。


 だったら、さっそく料理に使ってみるか。

 石でオリーブの実を叩き(つぶ)してみると、果汁がヌルヌルする。

 これが、オリーブオイルか。


 オリーブの実をペースト状にしてお肉に塗って焼いてみると、オリーブオイルの美味しそうな匂いが(ただよ)った。

 オリーブの匂いを()いで、お父さんとお母さんとグレイさんが集まってくる。


「とっても良い匂いニャー」

「うっとりしちゃう匂いニャ」

『今日も美味しそうなものを作っているな。早く食べたいぞ』


 オリーブは猫が大好きな匂いだから、お父さんとお母さんがゴロニャンになっている。

 オリーブの葉っぱもたくさんもらってきたから、おやつ代わりにあげると(うれ)しそうにかじり始めた。

 焼き上がったら、少し冷ましてみんなに食べさせる。


「はい、どうぞミャ」

「オリーブのいい匂いがして、美味しいニャー!」

「とっても美味しいニャ!」

『おおっ、これも美味しいぞっ!』

「うん、オリーブオイルでお肉が香ばしくてジューシーで美味しいミャ」


 オリーブを塗って焼いたお肉は、イタリア料理みたいでとっても美味しかった。

 ぼくの中で胡麻油(ごまあぶら)は中華料理、オリーブオイルはイタリア料理というイメージがある。

 使う油によって、料理のジャンルが変わるって面白いよね。


 ゴマ油といえば、ゴマはまだ見たことがない。

 イチモツの森には、生えていないのかな?

 そもそも、猫はゴマを食べられるの? 『走査(そうさ)


対象(たいしょう):ゴマ科ゴマ属胡麻(ゴマ)


概要(がいよう):主に、種子(たね)を食用とする。カルシウム、マグネシウム、鉄、リン、亜鉛、タンパク質、食物繊維、ナイアシン、ビタミンA・B1・B2・B6・E、葉酸(ようさん)(など)のミネラルが多く含まれる。猫も可食出来る(食べられる)


薬効(やっこう)抗酸化作用(こうさんかさよう)動脈硬化(どうみゃくこうか)肝臓機能強化(かんきのうきょうか)骨粗鬆症(こつそしょうしょう)、貧血、老化予防(アンチエイジング)肝機能改善(かんきのうかいぜん)滋養強壮(元気になる)白髪(しらが)、耳鳴り、めまい、便秘、高血圧予防、フケ予防、紫外線障害予防、切り傷、ただれ、刺し傷』


位置情報(いちじょうほう):直線距離10,722km』


 とてもじゃないけど、遠すぎて取りに行けない。

 どんなに良い生薬(しょうやく)も、手に入らなければ意味がない。


 ヒマワリの油は、サラダ油みたいで全然(くせ)がなかったけど。

 オリーブの油は、オリーブの独特(どくとく)な強い(くせ)がある。


 猫は大好きな味だけど、人によっては好き嫌いが分かれるかもね。

 お父さんもお母さんもグレイさんも、オリーブを塗ったお肉が気に入ったようだ。

 みんなも喜んで食べてくれて、ぼくも(うれ)しい。


 こうなると、ブラックオリーブも食べてみたくなる。

 だけど、オリーブが完熟(かんじゅく)してブラックオリーブになるのは12月。

 猫は寒さに弱いから、冬になったら動けなくなってしまう。


 簡単に行き来出来る距離だったら良かったんだけど、イチモツの集落からオリーブの集落までは遠い。

 残念だけど、ブラックオリーブは諦めるしかない。

 グリーンオリーブから取り出した種は、イチモツの集落に()こう。


 グリーンオリーブの種は発芽率(はつがりつ)がとても低いらしいけど、ないよりはマシ。

 オリーブの実はたくさんもらってきたから、とりあえずいっぱい植えてみよう。

 オリーブは成長がとても遅く、芽が出るまでに約1ヶ月くらいかかる。


 木になるまで約2~3年、実を付けるには約10年。

 ()し木なら実を付けるまで3年くらいだけど、それすらもぼくが生きているうちには見られない。

 オリーブの木は、未来の猫たちに(たく)そう。

 しかしイチモツの集落にオリーブの木を植えたら、オリーブの集落みたいな感じになってしまうかもしれない。


 急にイチモツの集落に置いてきたオリーブの()し木が、心配になって来た。

 猫は、オリーブの葉も枝も(かじ)ってしまう。

 ぼくがいない間に、猫たちがオリーブの挿し木を荒らしている可能性がある。

 猫にとってオリーブは、禁断の果実なのかもしれない。


 ฅ^•ω•^ฅ


 もうそろそろ、カタバミの集落が近い。

 カタバミの集落には、サバシロがいる。

 サバシロは、もともとエノコログサの集落の猫だった。


 しばらく一緒に旅をしたんだけど、性格が合わなくて最後はケンカ別れしてしまった。

 またサバシロに会うかと思ったら、気が重い。

 だけどあれからサバシロがどうなったか、ずっと気にはなっていたんだよね。

胡麻(ゴマ)とは?】

 食料品店だったらどこでも売っている、栄養価の高い健康食品。

 日本で売っているゴマは、99,9%を輸入に頼っている。

 生産国上位3ヶ国はミャンマー、インド、中国。

 猫に与える場合は、キャットフードにすりごまやゴマ油を少量混ぜると良い。

 体に良いとはいえカロリーが高いので、猫も人間も食べすぎには注意。

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