表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ねこねここねこなお医者さん 転生して仔猫になったぼくが夢の獣医になる話  作者: 橋元 宏平


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

133/160

第133話 恩師との再会

 ひと通り処置が終わったところで、ぼくとアオキ先生はふたりでのんびりと話し始める。


「アオキお父さんは、あれからお変わりありませんミャ?」

「何も変わらないにゃお。毎日、ハチミケさんと一緒にお茶を作り続けているにゃお」

「そうミャ。アオキお父さんに、フレッシュハーブティーの作り方を教えたいんですミャ」

「フレッシュハーブティーって、何にゃお?」


 アオキ先生は、不思議そうに首を(かし)げた。

 アオキ先生がいつも作っているハーブティーは、水出しハーブティーだ。

 水出しハーブティーは、時間がかかる。

 ()んだ薬草をお日様に干して、乾燥させて茶葉にする。

 茶葉を水に()けて、長い時間をかけて成分が出るまでじっくりと待つ。


 アオキ先生みたいに、集落(しゅうらく)でのんびりと生きている猫ならそれも出来るけど。

 ぼくのように旅をしている猫は、そんなに待てない。

 茶葉を作り置きしておくことは出来るけど、水出しは時間がかかりすぎる。


 嗜好品(しこうひん)として飲むなら、水出しでもいいと思うけど。

 病気の時は、出来るだけ早くハーブティーを飲ませたい。

 そんな時に便利なのが、フレッシュハーブティーだ。

 薬草を()んで、すぐに()れられる。


 ぼくはさっそくアオキ先生の前で、イヌハッカの花のフレッシュハーブティーを淹れて見せた。

 イヌハッカには、鎮静効果(ちんせいこうか)抗菌(こうきん)作用、(こう)ウィルス作用、抗酸化(こうさんか)作用、解熱(げねつ)免疫力(めんえきりょく)強化、猫のストレス解消(かいしょう)などに効果がある。


 アオキ先生は、火の起こし方を知らない。

 もちろん、フレッシュハーブティーを見るのも飲むのも初めて。

 イヌハッカの(にお)いに釣られて、集落の猫たちも集まってくる。


「なんだか、とっても良い匂いがするにゃあ」

「何の匂いニャウ?」


 水出しよりもお湯出しの方が、匂いが立つからね。

 集まってきた猫たちにも、イヌハッカのフレッシュハーブティーをふるまった。


 水出しとお湯出しは、茶葉から出る成分(せいぶん)の量や味も変わる。

 例えば緑茶だと、お湯出しよりも水出しの方がカフェインの量が半分になる。

 乾燥した葉より生葉の方が苦味(にがみ)が弱く、すっきりさっぱり飲みやすい。


「こんな淹れ方があったなんて、知らなかったにゃお。いつもボクが作っているお茶とは、全然違う味がして面白いにゃお」


 アオキ先生はフレッシュハーブティーを飲んで、驚きながらも目を輝かせて感動していた。

 アオキ先生は優しく笑いながら、ぼくの頭を()でる。


「あれからだいぶ()つのに、シロちゃんはいつまでも仔猫(こねこ)のまま何も変わらないにゃお。どうしてにゃお?」

「ぼくは生まれつき、大きくなれない病気なんですミャ」

「そうにゃお? 知らなかったとはいえ、ごめんにゃお」

「珍しい病気ですからミャ」

「じゃあ、シロちゃんは今いくつにゃお?」

「3歳ですミャ」

「にゃんとっ? 仔猫(あつか)いしちゃって、悪かったにゃお」

()れていますから、大丈夫ですミャ」


 ぼくが苦笑すると、アオキ先生は申し訳なさそうな顔で謝ってくれた。


「仔猫なのに、しっかりしていると思ったらそういうことかにゃお」

「黙っていて、すみませんミャ」

「いやいや、シロさん、こちらこそごめんにゃお」 


 ずっと「ちゃん付け」で呼ばれてきたから、違和感(いわかん)がスゴい。

 今さら「さん付け」されても、呼ばれ()れていなくて反応に困る。


「今まで通り『シロちゃん』で、いいですミャ。ぼくも、アオキお父さんって呼びますミャ」

「じゃあお言葉に甘えて、シロちゃんって呼ばせてもらうにゃお。シロちゃんは誰に、ハーブティーを教えてもらったにゃお?」

「ぼくのおばあちゃんですミャ」


 人間だった頃のね。

 最初にハーブティーを教えてくれたのは、おばあちゃん。

 ハーブティーの作り方と淹れ方を教えてくれたのは、『走査(そうさ)

走査(そうさ)』は、なんでも知っている。

 いつだって感謝しているよ、『走査(そうさ)


「シロちゃんのおばあちゃんは、スゴいにゃお。ボクも、見習(みなら)わないといけないにゃお」

「アオキお父さんだって、スゴいお医者さんミャ」

「ボクは先代のお医者さんから教えてもらったことを、続けているだけにゃお」 

「この集落の猫たちはみんな、アオキお父さんを立派なお医者さんだって言っていますミャ。ぼくも、アオキお父さんに救われましたミャ」

「そんなに()められると、照れるにゃお」


 アオキ先生は(うれ)しそうにしっぽをピンと立てて、照れ臭そうに笑った。

 ぼくも笑いながら、話を続ける。


「アオキお父さんは、(くず)は知っていますミャ?」

「もちろん、知っているにゃお。この集落に、いっぱい生えている草にゃお」

「あれも、薬草だって知っていましたミャ?」

「葛も、お茶になるにゃお?」


 どうなの? 『走査(そうさ)


『葛の花と葉を乾燥させると、葛花(かっか)葛葉(かつよう)という生薬(しょうやく)になり、ハーブティーになる』


『葛花の薬効(やっこう)更年期障害(こうねんきしょうがい)骨粗鬆症(こつそしょうしょう)予防、月経不順(げっけいふじゅん)、肥満予防、ダイエット、老化予防(アンチエイジング)生活習慣病せいかつしゅうかんびょう予防、二日酔い予防、美肌』


葛葉(かつよう)の薬効:貧血(ひんけつ)予防、高血圧、コレステロール低下、細胞活性化(さいぼうかっせいか)抗炎症作用(こうえんしょうさよう)造血作用(ぞうけつさよう)血栓(けっせん)予防、解毒、整腸作用(せいちょうさよう)


「花と葉っぱは、お茶に出来ますミャ。根っこは、お薬になりますミャ」

「へぇ~、知らなかったにゃお。ぜひとも、作り方を教えて欲しいにゃお」


 ぼくは『走査(そうさ)』に教えてもらいながら、アオキ先生と一緒に葛花と葛葉を作ることにした。

 葛花と葛葉は、川の水で綺麗に洗ったら乾燥させるだけ。


 葛根(かっこん)も作ってみたいけど、気温が高い季節に作ると腐っちゃうんだって。

 葛根を作るには、冬の寒さが重要らしい。

 冬になったら、作ってみようかな。

 葛の花と葉を干し終わったところで、アオキ先生に葛の(つる)を見せる。


「これで、(かご)も作れますミャ」

「籠って、なんにゃお?」

「これですミャ。これがあれば、薬草がたくさん集められますミャ」


 ぼくがいつも使っている、背負(せお)い籠を見せた。

 アオキ先生は興奮気味に、籠を観察し始める。


「これはスゴいにゃお! これの作り方も、教えて欲しいにゃおっ!」

「ミャ」


 アオキ先生に、背負い籠の作り方を教えた。

 籠造(かごづく)りって、結構難しいんだよね。

 ぼくはいくつも作ったから()めるようになったけど、()れるまでは思う形にならない。

 アオキ先生も、初めての籠造りに苦戦しているようだ。

 巣作(すづく)りが(ざつ)な、(はと)の巣みたいになっている。


 鳥は卵を産む時に巣作りをするんだけど、何故か鳩だけは巣作りが雑なんだよね。

 鳩は年に7~8回も卵を産むから、巣も質より量なんだって。

 アオキ先生は自分が作ったぐちゃぐちゃな籠に、顔をしかめている。


「う~ん、難しいにゃお」

「最初は、誰だって上手く出来ませんミャ。何度も作れば、少しずつ上手くなりますミャ」

「ボクも、綺麗な籠が作れるようになりたいにゃお」

頑張(がんば)ってくださいミャ。ぼくが作った籠は、アオキお父さんにあげますミャ」


 出来たばかりの籠をプレゼントすると、アオキ先生は嬉しそうに受け取ってくれた。


「ありがとうにゃお。ボクもこのくらい綺麗な籠が作れるようになったら、ハチミケさんにプレゼントするにゃお」

「それは、とても良いですミャ」


 アオキ先生とハチミケは、集落の猫たちの為に毎日ハーブティーを作り続けている。

 ハチミケが薬草を集めて、アオキ先生が薬草を干して茶葉を作る。

 相手のことを思いながら作ったものには、愛がこもっている。

 背負い籠があれば、薬草集めはきっと今よりずっと楽になるだろう。


 ฅ^•ω•^ฅ


 葛は花も葉も根も蔓も全部使えるから、捨てるところがないと言われている。

 もちろん、葛粉(くずこ)も作れる。

走査(そうさ)』によると、葛粉を作るのはとても大変らしい。


 葛粉の作り方は、以下の通り。

 ①太さ10cm以上の葛の根を掘り出し、水洗いして皮を()く。

 ②①を叩いて砕く。

 ③②を水に(ひた)して、澱粉(でんぷん)()み出す。

 ④不純物(ゴミ)を布で()して、水にさらす。

 ⑤澱粉が沈んだら、茶色く(にご)った水を捨てる。

 ⑥新しい水を入れて、澱粉をかき混ぜて再び水にさらす。

 ⑦⑤~⑥の作業を、澱粉が真っ白になるまで数回も繰り返す。

 ⑦底に沈んだ白い澱粉を、お日様に干して乾燥させる。


 こうして出来た澱粉が、本葛(ほんくず)(葛100%で作った葛粉)なんだって。

 約1kgの葛の根から出来る本葛の量は、約100g

 めちゃくちゃ手間暇(てまひま)かかっていて、一番最初に本葛を作った人は天才だと思う。

 作ってみたい気持ちはあるけど、手間(てま)と結果が見合(みあ)わない。

 本葛作りは、諦めよう。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ