表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ねこねここねこなお医者さん 転生して仔猫になったぼくが夢の獣医になる話  作者: 橋元 宏平


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

115/160

第115話 オリーブは猫のおやつ

 それから5日ほど旅を続けると、ふんわりと甘い花の香りが(ただ)ってきた。

 ()いでいると心が安らぐ、爽やかな(にお)い。

 金木犀(きんもくせい)に似ているけど、あそこまで強くない。

 その匂いを()ぐと、急にお父さんとお母さんがゴロニャンになってしまった。


「ふにゃぁ~ん、良い匂いニャー……」

「なんだか、とっても気持ちがいいニャ……」


 ゴロニャンになったふたりを見て、グレイさんが驚いている。


『なんだ? どうしたんだ?』


 これ、何の匂い? 『走査(そうさ)


対象(たいしょう):モクセイ科オリーブ属阿利襪(オリーブ)


薬効(やっこう)血圧降下(けつあつこうか)血糖値低下(けっとうちていか)、コレステロール降下、殺菌作用(さっきんさよう)抗酸作用(こうさんかさよう)抗炎症作用(こうえんしょうさよう)老化防止(アンチエイジング)(こう)ガン作用、美肌効果、便秘、心臓病、利尿(りにょう)骨粗鬆症(こつそしょうしょう)、抗バクテリア作用、抗ウイルス作用、毛球症(もうきゅうしょう)


概要(がいよう):マタタビと同じ効果がある。地中海地方(ちちゅうかいちほう)では、オリーブの実は猫のおやつ』


 オリーブにマタタビと同じ効果があるのは、知らなかったな。


「どうやらこの匂いを嗅ぐと、猫はゴロニャンになっちゃうみたいミャ」

『シロちゃんは、ゴロニャンにはならないのか?』

「ぼくはこういうのは効かないから、ゴロニャンにならないミャ」

『なんだ、ならないのか。ゴロニャンになったシロちゃんを、見たかったのに……』


 グレイさんは残念そうに、耳としっぽを下げてションボリした。

 ぼくだってなれるものなら、ゴロニャンになってみたかったよ。

 集落(しゅうらく)の前でグレイさんと別れて、匂いを辿(たど)っていった。


 ()い緑色の細長い葉っぱがたくさんついた木に、白い小さな花がいっぱい咲いていた。

 オリーブの木の周りには、たくさんの猫たちがゴロニャンになっていた。

 猫たちはオリーブの木を舐めたり、オリーブの葉っぱを食べたりしている。

 みんなうっとりとした表情でゴロニャンしていて、とても幸せそうだ。


 オリーブはマタタビの効果もあるし、天然の抗生物質だから猫の体にも良い。

 幸せいっぱい、猫いっぱい。

 まさにここは、ねこねこ天国(パラダイス)じゃないか。 

 そう思って猫たちを(なが)めていると、『走査(そうさ)』が発動した。   


対象(たいしょう)食肉目(しょくにくもく)ネコ科ネコ属リビアヤマネコ』


『病名:肥満症(ひまんしょう)、および下痢』


『原因:オリーブの過食(食べすぎ)


処置(しょち)食事療法(しょくじりょうほう)運動療法(うんどうりょうほう)行動療法(こうどうりょうほう)薬物療法(やくぶつりょうほう)外科療法(げかりょうほう)水分補給(すいぶんほきゅう)


薬物療法(やくぶつりょうほう)肥満治療薬(ひまんちりょうやく)食欲抑制剤しょくよくよくせいざい、GLP-1(グルカゴン様ペプチド-1)受容体作動薬じゅようたいさどうやく防風通聖散ぼうふうつうしょうさんなどの投与(とうよ)止瀉薬(げりどめ)投与(飲む)


 確かにオリーブの木の周りにいる猫は、デブニャンが多い。

 たぶん、オリーブの実の食べすぎで太っちゃったんだ。

 オリーブの実はほとんど脂質(あぶら)だから、カロリーが高い。

 いくら体に良いからって、食べすぎは良くない。


 でも、猫に「体に悪いから食べちゃダメッ!」って言ったって分からないよね。

 飼い猫だったら、ごはんをダイエットフードに替えるとか、たくさん遊んで運動させるとかいろいろやりようがあるけど。

 野生の猫は、そうもいかないからなぁ。


 肥満治療薬って、どんなもの?


膵臓(すいぞう)β(ベータ)細胞上に存在するGLP-1受容体(じゅようたい)を選択的に結合(けつごう)し、ATP(アデノシン三リン酸)からcAMP(環状アデノシン一リン酸)の産生(さんせい)促進(そくしん)する薬』


『あるいは、増加したcAMPを(かい)してinsulin(インスリン)分泌(ぶんぴつ)(うなが)すとともに、glucagon(グルカゴン)分泌(ぶんぴ)抑制(よくせい)する薬』


『これらを総称(そうしょう)して、肥満治療薬と呼ばれる』


 いや、全然分からなかったんだけど。

 もっと、分かりやすく説明してもらえる?


血糖値(けっとうち)が上がるのを(おさ)える』


『または、胃に入った食べ物を腸に送る時間を遅らせる』


『あるいは、脳の満腹中枢(まんぷくちゅうすう)に働きかけて、過食(食べすぎ)(おさ)えるなどの効果がある』


 そんな便利な薬があるなんて、現代医療って本当にスゴい。

 しかし、そんなものは手に入らないのである。


 防風通聖散は、名前からして漢方薬(かんぽうやく)だよね?

 漢方薬は、薬草やキノコなどを乾燥させて混ぜ合わせた薬のはず。

 薬草やキノコの種類が分かれば、漢方薬が作れるかもしれない。 


 防風通聖散には、どんな薬草が使われているのか教えて。


『防風通聖散の成分:防風(ボウフウ)荊芥(ケイガイ)麻黄(マオウ)生姜(ショウキョウ)連翹(レンギョウ)薄荷(ハッカ)黄芩(オウゴン)大黄(ダイオウ)芒硝(ボウショウ)石膏(セッコウ)白朮(ビャクジュツ)川芎(センキュウ)当帰(トウキ)甘草(カンゾウ)


『これらの成分は体を温め、エネルギー消費を高め、脂肪の分解や燃焼を促進する効果がある』


 ……うん、無理。

「漢方薬を作れるかも」なんて生意気(なまいき)なことを言ってしまって、すみませんでした。


 見たことも聞いたこともない薬草(?)ばっかりで、とても作れそうにない。

 漢方薬が、こんなに複雑なものだったなんて知らなかった。

 漢方薬剤師さんは、よっぽど頭が良い人しかなれないんだろうな。


 そもそも簡単に()せられるなら、誰もダイエットに苦労なんてしない。

 数日で急に痩せたとしたら、間違いなく病気だ。

 肥満治療っていうくらいだから、めちゃくちゃ効くんだろうけど。

 作れないものは、どうしようもない。


 仮に作れたとしても、何ヶ月も飲ませ続けなければならない。

 この集落に、そんなに長い間いるつもりもない。

 それに調合(ちょうごう)が難しい薬を教えても、猫たちが覚えられるとは思えない。

 何か、別の方法を考えるべきだ。


 そういえば、ダイエット効果のある薬草があったはず。

 猫のダイエットフードに入っている薬草といえば、オオバコ。

 オオバコには、整腸作用(せいちょうさよう)止瀉作用(げりどめ)抗炎症作用(こうえんしょうさよう)、ダイエット効果がある。

 猫草(ねこくさ)としても食べられるし、ハーブティーにも出来る。


 葉っぱは食べると苦味(にがみ)があるけど、ハーブティーにすると緑茶のような(さわ)やかな味がする。

 オオバコは雑草(ざっそう)だからどこにでも()えているし、(あたた)かい場所なら一年中()えている。


 さっそく、オオバコのフレッシュハーブティーを作ろう。

 今日は肌寒(はだざむ)いから、あったかいハーブティーを飲むにはちょうどいい。

 おなかを壊している(ぽんぽんぺいんの)時は水分補給(すいぶんほきゅう)が大切だし、おなかもあっためないとね。


 猫たちが大好きなオリーブの葉も一緒に入れて、ブレンドハーブティーにしよう。

走査(そうさ)』によると、オリーブの花芽(はなめ)を使った花芽茶(はなめちゃ)というお茶もあるらしい。

 花芽というのは花の第1段階で、花芽→(つぼみ)→花になる。

 今はもう、花が咲いてしまったから無理だけどね。


 フレッシュハーブティーを()れていると、匂いに()られて猫たちが集まってくる。


「なんだか、とっても良い匂いがするニャオ。それは、なんニャオ?」

「これは、オオバコとオリーブのお茶ですミャ。どうぞ、飲んでみてくださいミャ」


 ハーブティーを差し出すと、猫たちは大喜びで飲み始めた。

 これでおなかも治るしダイエットも出来て、一石二鳥(いっせきにちょう)だね。

 オリーブには、食べすぎなければ体に良いんだよ。


 オリーブの実も欲しかったけど、今はまだ花の時季(じき)だ。

 オリーブは、いつになったら実が()るの?


『オリーブの実の収穫時期(しゅうかくじき)は、9月から2月頃』


 じゃあ、秋になったらまた来よう。

 せっかくだから、オリーブの葉っぱをたくさん()んでいこう。


 ฅ^•ω•^ฅ


  ぼくたちが来た次の日に、オリーブの花はあっという間に散ってしまった。

走査(そうさ)』によると、オリーブの花の命はとても短いらしい。

 それからぼくたちはオリーブの木がたくさん生えている集落で、しばらくお世話になることなった。


 というのも、お父さんとお母さんがオリーブの木をすっかり気に入ってしまったからだ。

 マタタビもオリーブも、中毒性(ちゅうどくせい)はないとされているけど。

 ふたりが、ここから離れられなくなっちゃったら困るなぁ。


 とりあえず、この集落の猫たちの健康診断(けんこうしんだん)(おこ)なった。

 オリーブの葉っぱをよく食べているからか、肥満とおなかを壊している(ぽんぽんぺいん)以外は健康そのもの。

 やっぱり、オリーブの食べすぎによる肥満が原因なんだよね。

【オリーブの葉は食べられるの?】

 猫はオリーブの葉を食べるけど、人間は苦味(にがみ)渋味(しぶみ)が強くて食べられない。

 人間がオリーブの葉を()るなら、ハーブティーやサプリメントに加工されたものを飲むと良い。


漢方薬(かんぽうやく)民間薬(みんかんやく)の違いとは?】

 漢方薬は漢方医学(かんぽういがく)(もと)づいて、生薬(しょうやく)産地(さんち)製法(せいほう)用法(ようほう)用量(ほうりょう)などが細かく決まっている。

 漢方薬を調合(ちょうごう)したり販売したりするには、薬剤師免許が必要。

 民間薬は誰でも作れるし決まりごともないけど、何があっても自己責任。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ