表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ねこねここねこなお医者さん 転生して仔猫になったぼくが夢の獣医になる話  作者: 橋元 宏平


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

108/160

第108話 猫が吐く理由

「サバシロさんの病気は、ぼくが治しますミャ。すぐに、集落(しゅうらく)へ送り届けますミャ」


 優しく笑いかけると、サバシロは安心したように少しだけ笑ってくれた。

 ぼくはグレイさんに視線を移して、話し掛ける。


「グレイさんは、ここで待っててミャ」

『ああ、もちろん。シロちゃんがいる集落は、オレが守るから安心してくれ』

「――……っ!」


 そこで初めて、サバシロはグレイさんに気付いたようだ。

 サバシロは全身の毛を逆立てて大きく跳び上がったと思ったら、倒れてぐったりとしてしまった。


「サバシロさん! 大丈夫ですミャッ?」


『病名:呼吸器疾患(こきゅうきしっかん)(とも)う、一過性意識障害いっかせいいしきしょうがい


『処置:一過性(いっかせい)の為、必要なし』


 それって、どういう病気?


『ビックリしたショックで、気絶(きぜつ)


 そりゃそうだよね……、なんか悪いことしちゃったな。

 天敵(てんてき)のトマークトゥスが近くにいたら、普通の猫はめちゃくちゃビックリするよね。

 トマークトゥスのグレイさんと一緒に旅をしている、ぼくたちがおかしいんだ。

 いつものくせで、グレイさんに普通に話し掛けてしまった。


 サバシロの呼吸を確認すると、苦しそうだけどちゃんと息はしていた。

 胸に手を当ててみると、鼓動(こどう)が早い。

 よっぽど、ビックリしたらしい。

 呼吸しやすいように胸や(のど)圧迫(あっぱく)しない姿勢(しせい)にして、しばらく様子を見よう。

 むやみに動かすと、容態(ようたい)が悪化してしまうかもしれない。


 きっと今頃、集落の猫たちもサバシロがいなくなって心配しているはずだ。

 サバシロの容態が落ち着いたら、お父さんとお母さんにお願いして集落まで運んでもらおう。

 サバシロの鼓動が落ち着いたところで、集落へと運んだ。

 数匹の猫たちが日向ぼっこしていたので、声を掛ける。


「あの、すみませんミャ。初めまして、こんにちはミャ」

「初めましてナ~、初めて見る仔猫(こねこ)ちゃんナ~。どこから迷い込んだ子ナ~?」

「ぼくは、お父さんとお母さんと一緒に旅をしている猫ですミャ。こちらの猫が、すぐそこで倒れていたのでお届けに参りましたミャ。ここの猫で、間違いありませんミャ?」

「あ! サバシロさんナ~ッ! 急にいなくなっちゃったから、心配していたナ~! 助けてくれて、ありがとうナ~っ!」


 集落の猫たちは、驚いてサバシロを囲んだ。

 やっぱりサバシロは、この集落の猫だったようだ。

 サバシロは相変わらず、苦しそうな息をしながらぐったりとしている。

 サバシロを見て、猫たちはオロオロするばかりだ。 

       

「さ、サバシロさん、とっても苦しそうナ~……。大丈夫かナ~……」

「サバシロさんは、病気なんですミャ。ですが、安心してくださいミャ。ぼくはこう見えても、お医者さんですミャッ」

「仔猫ちゃんがナ~? 本当かナ~?」


 集落の猫たちは、(うたが)いの目でぼくを見ている。

 誰にも信じてもらえないのは、いつものことだから()れている。

 猫たちは首を(かし)げながら、話を続ける。


「もし本当にお医者さんだったら、うちの猫たちも()て欲しいナ~」

「ほかにも、病気の猫がいるんですミャ?」

「最近、みんなよく吐くナ~」


 猫はよく吐く動物なので、吐くこと自体は珍しいことじゃない。

 猫が吐く理由は、いろいろある。

 単純に食べすぎや早食いで、吐いちゃうこともあるし。

 毛づくろいした時に、たくさん()み込んじゃった毛を吐くこともある。


 普通は、呑み込んだ毛は便と一緒に出るんだけど。

 特に換毛期かんもうきは抜ける量が多いから、毛玉を吐いちゃうんだ。

 食べ過ぎや早食い、毛玉を吐くなどの場合は心配しなくて大丈夫。


 問題なのは、病気で吐く場合だ。

 腐ったものや毒物を食べて、食中毒を起こした場合。

 胃や腸の病気など内臓系の病気で、具合が悪くなった場合。

 何度もくり返し吐いたり、吐いたものに血が混じっていた場合は要注意。

「具合が悪そうだな」と感じたら、すぐに病院へ連れて行こう。


 ฅ^・ω・^ฅ


 さっそく、猫たちの健康診断を(おこ)なうことにした。 

 ほとんどの猫は、換毛期の毛づくろいが原因の毛球症(もうきゅうしょう)だった。


 一部は、「猫瓜実条虫症ねこうりざねじょうちゅうしょう」に(かか)っていた。

 瓜実条虫は、いわゆる真田虫(サナダムシ)のこと。

 サナダムシは、腸内に寄生する寄生虫(きせいちゅう)総称(そうしょう)(仲間)。


 春になってあったかくなってくると、ノミも活発(かっぱつ)に動き始める。

 猫には、ネコノミという種類のノミが寄生する。

 毛づくろいすると、毛と一緒にネコノミも呑み込んでしまうんだ。

 呑み込んだネコノミの中に瓜実条虫の幼虫(ようちゅう)がいた場合、小腸に寄生されてしまう。


 瓜実条虫に寄生されると、栄養を取られて()せちゃったり、おなかをこわしちゃったりする。

 猫瓜実条虫症の治療には、駆虫薬(くちゅうやく)を飲ませる。

 駆虫薬は、いつも通りニガヨモギでいいか。


 毛球症になると、吐いたり、便秘になったり、おなかがパンパンに(ふく)らんだり、エサを食べなくなっちゃったりする。

 吐き出せないくらい、おなかの中に()め込んだ毛玉が大きくなっちゃった場合は手術が必要となる。


 そうなる前に、毛球症予防をしよう。

 毛球症予防には、毛玉ケアキャットフードや毛玉軽減おやつを食べさせるのが一般的。

 毛玉ケアキャットフードには、食物繊維(しょくもつせんい)油脂(あぶら)配合(はいごう)されている。

 吞み込んじゃった毛を、便と一緒に出やすくしてあげるんだ。


 毛玉ケアキャットフードに入っている食物繊維といえば、サイリウム。

 サイリウムの原材料は、オオバコ。

 オオバコの種子(しゅし)(から)を粉にしたものが、サイリウムパウダー。

 オオバコは、日本ならどこにでも生えている雑草。

 ちょうど春頃に、柔らかい若葉が生えてくる。


 オオバコの若葉を、猫草として食べる猫もいるよ。

 ただし、食物繊維たっぷりだから食べすぎないように注意。

 犬猫の便秘対策やダイエットフードにも、有効な植物なんだ。    


 オオバコは、ハーブティーにもなる。

 毛球症予防には水分もたっぷり()った方が良いから、ハーブティーを飲ませても良いかもね。

 この集落の猫たちにも、ハーブティーの作り方を教えよう。


 猫草といえば、ねこじゃらしの葉っぱも(この)んで食べる。

 猫が猫草を食べる理由は、毛球症を予防するためと言われている。

 猫草を食べて、おなかにたまった毛玉を吐くんだよ。 


 このあたりにもねこじゃらしはたくさん生えているから、この集落の猫たちも食べているはずなんだ。

 ねこじゃらしを見れば、思った通り猫に(かじ)られた跡がたくさんあった。

 あんまりよく吐くようだと、胃液で逆流性食道炎ぎゃくりゅうせいいえんになる。

 逆流性食道炎になると、胸やけを起こしたり喉が痛くなったりする。


 毛球症予防には、こまめなブラッシングが有効。

 特に冬毛から夏毛に生え替わる春の換毛期は、毛量が多い。

 ブラッシングすれば呑み込む毛量を減らせるし、ノミも駆虫出来るしブラッシングすると気持ちがいい。 

 まさに、いいこと()くし。


 猫の毛づくろいを止めることは出来ないけど、呑み込む毛の量を減らすことは出来る。

 イチモツの集落でも、換毛期にノミブラシを作ったら好評だったよ。


 さっそく、この集落の猫たちにもノミブラシの作り方を教えることにした。

 松の葉を(たば)ねて作ったノミブラシは、一度使えば良さが分かる。

 猫たちはブラッシングすると、みんなうっとりと気持ちよさそうな顔をする。

 このうっとりとした顔が、可愛いんだ。 


「これは気持ちがいいナ~」

「ふにゃっ? いっぱい抜けたふにゃっ!」


 猫たちは、自分の体から抜けた大量の毛にビックリしている。

 換毛期は、本当にビックリするくらい毛が抜ける。

 もともと猫の毛は抜けやすく、通常時でも1日平均5000~1万本は抜けると言われている。

 換毛期になると、数万本に達することもあるんだとか。

 こんなにたくさん抜け毛を呑み込んだら、毛球症にもなるよね。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ