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ねこねここねこなお医者さん 転生して仔猫になったぼくが夢の獣医になる話  作者: 橋元 宏平


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第101話 秋の実り

 石のナイフでキノコの石づき(土に付いていた()っこの部分)を切り落として、食べやすい大きさに切っていく。

 キノコは旨味(うまみ)が逃げちゃうから、洗っちゃダメなんだって。

 汚れている場合は、布や紙などで軽く()いて汚れを落とせば良いらしいよ。


 大きな葉っぱで鍋を作り、水とキノコを入れる。

 火を起こして、石で作ったかまどの上に葉っぱの鍋を置く。

 あとは、()るだけ。

 犬猫用のキノコ汁だから、味付(あじつ)けは必要ない。


 ムラサキバレンギクと残りのキノコは、かまどの周りに置いて火の熱で乾燥させる。

 お湯が()いてくると、キノコの美味(おい)しそうな(にお)いが(ただよ)い始める。

 低気圧(ていきあつ)でぐったりしていた3匹が、匂いを()ぎつけて起きてきた。


「シロちゃんが、また美味しそうなものを作っているニャー」

「とっても美味しそうニャ、早く食べたいニャ」

『これは、焼きキノコの匂いだな?』

「焼きキノコじゃないミャ、キノコ汁ミャ」


 ぼくが答えると、3匹は「キノコ汁?」と(そろ)って首を(かし)げた。


「とりあえず、出来るまでしばらく待っててミャ」


 キノコは、すぐに火が通るから長く煮る必要はない。

 煮えたら鍋を火から下ろして、食べられる温度になるまで冷ます。

 冷ましている間に、木製(もくせい)のお(たま)を作ってみた。

 木のお皿を何度も作っているから、そんなに難しくはなかった。

 キノコ汁がぬるくなったところで、お玉で葉っぱのお皿に()ぎ分けた。


「みんな、出来たミャ」


 よだれを()らして待っていた3匹は、「待ってました!」とばかりに食べ始めた。

 お父さんとお母さんとグレイさんは、大喜びで食べている。


「とっても美味しいニャー!」

「私は、焼きキノコよりキノコ汁の方が好きニャ」

『焼きキノコも美味しかったが、キノコ汁も全然違う味でとても美味しいな。おかわりはないのか?』

「食べ過ぎはダメミャ。それにもともと、4匹分しか作ってないミャ」


 あっという間に食べ終えた3匹は、おかわりがないと知るとガッカリした。

 鍋に残っているのは、ぼくの分だけだ。

 みんなが食べ終えたのを見届(みとど)けてから、ぼくも自分の分を食べ始める。


 汁を飲んでみると、キノコの匂いと旨味が(くち)いっぱいに広がる。

 思った通り4種類のキノコから良い出汁(だし)が出て、キノコひとつひとつを食べるよりもずっと美味しかった。

 キノコも(やわ)らかく煮えていて、食べやすい。

 焼きキノコはこんがりと(こう)ばしくて、シャキシャキとした食感が美味しかったけど。

 お母さんが言っていたけど、ぼくもキノコ汁の方が好きだな。

 それにあったかい汁物(しるもの)を食べると、体もあったまる。

 これから寒くなるから、焼きキノコよりキノコ汁の方がいいかもね。


 ฅ^•ω•^ฅ


 今朝は、昨日の土砂降(どしゃぶ)りが嘘のように晴れた。

 低気圧が去ったら、頭痛も倦怠感(ダルさ)も治った。

 キノコ汁を食べた後、たっぷり(ねむ)ったからみんな元気いっぱい。


 晴れている日は、少しでも距離を(かせ)いでおきたい。

 マダニ感染症(かんせんしょう)長雨(ながあめ)で、ずいぶん足止(あしど)めされてしまったからな。


 ぼくたちは再び、イチモツの集落(しゅうらく)目指(めざ)して走り出した。

 雨で地面がドロドロになって、ぬかるんでいるから走りづらい。

 走っていると、どこかから花の甘い香りが風に乗って流れて来た。


 秋は花の季節なのか、色とりどりの花があちこちで()いている。

 花はハーブティーに出来るものが多いから、()っておきたい。

 だけど今は、道草(みちくさ)を食っている余裕(よゆう)はない。


 お日様(ひさま)が出ている間は、頑張(がんば)って走る。

 頑張りすぎると疲れちゃうから、ときどき休憩してお昼寝する。

 みんなが休んでいる間に、巣穴の近くで花摘(はなつ)みをしよう。

 

 見れば、とっても綺麗(きれい)青紫色(あおむらさき)の花が咲いていた。

 数匹のちょうちょが集まったみたいな、不思議(ふしぎ)な形をしている。

 手を伸ばして触ろうとしたら、『走査(そうさ)』が発動した。


警告(けいこく)


対象(たいしょう):キンポウゲ科トリカブト属鳥兜(トリカブト)


薬効(やっこう)強心作用(きょうしんさよう)鎮痛作用(ちんつうさよう)皮膚温上昇作用ひふおんじょうしょうさよう末梢血管拡張作用まっしょうけっかんかくちょうさよう血液循環(けつえきじゅんかん)改善(かいぜん)肺炎感染症はいえんかんせんしょう


概要(がいよう)日本三大毒草にほんさんだいどくそうのひとつ。有毒成分(ゆうどくせいぶん)aconitine(アコニチン)即効性(そっこうせい)があり、経口後(食べると)、わずか数十秒で死亡することもある。全草(ぜんそう)、特に()致死性(ちしせい)の高い猛毒(もうどく)を持つ。(さわ)っただけでも、中毒(ちゅうどく)(いた)ることがある』


 これが(うわさ)に聞く、有名なトリカブトかっ!

 とっても綺麗な花なのに、触ることも出来ないなんて。

 えっとじゃあ、こっちの花火みたいな赤い花は?


『対象:キジカクシ目ヒガンバナ科彼岸花(ヒガンバナ)


『薬効:肋膜炎(きょうまくえん)腹膜炎(ふくまくえん)腎臓病(かんぞうびょう)、むくみ、Alzheimer(アルツハイマー)型認知症』

  

『概要:有毒成分のalkaloid(アルカロイド)(ふく)む。経口摂取する(食べる)と、流涎(りゅうぜん)(よだれ)や吐き気、腹痛、下痢、中枢神経(ちゅうすうしんけい)麻痺(まひ)、最悪の場合、死に至る』


 こっちも、毒草だったっ!

 なんでこの辺には、こんなに毒草ばっかり生えているのかな?

 それとも、秋の花は毒草が多いのか?

 こうして見ると、毒は使い方次第(しだい)で薬にもなるんだな。

 でもぼくは、怖いから絶対に使わないけどね。


 秋といえば、(みの)りの秋。

 猫は果物(くだもの)を食べても、甘味(あまみ)が感じられない。

 だけど、犬は甘い果物が大好き。

 グレイさんの為に、木の()を探してみよう。

 もしかしたら、薬になる実もあるかもしれない。


 栗も落ちていたら、焼き栗にして食べたい。

 探して歩いていると、どんぐりくらいの大きさで緑色の実がたくさん()っている木を見つけた。

 あれは、食べられるの? 『走査(そうさ)


『対象:ツバキ目マタタビ科猿梨(サルナシ)


『薬効: 風邪、利尿(りにょう)強壮作用(きょうそうさよう)(元気になる)、解熱作用(げねつさよう)


『概要:柔らかい若葉(わかば)は、食用となる(食べられる)。太い(つる)を切ると出てくる大量の樹液(じゅえき)は、飲用水(飲み水)となる。蔓は丈夫(じょうぶ)(くさ)りにくく、(なわ)として(もち)いられる。果実(かじつ)は甘く、キウイフルーツに似た味がする』


 マタタビ科のキウイは、犬猫も食べられる。

 これは、みんなのお土産(みやげ)に採っていこう。

 蔓もロープに使えそうだから、細いものを持っていこう。

 丈夫で腐りにくいのなら、(かご)()んでも良いかもね。


 他には、何かないかな?

 見れば、リンゴみたいにまんまるで、大きな赤い実が成っている。

 美味しそうだけど、あれは食べられるのかな?


『対象:フトモモ目ミソハギ科柘榴(ザクロ)


『薬効:抗真菌作用(こうしんきんさよう)抗炎症作用(こうえんしょうさよう)抗癌作用(こうがんさよう)、高血圧、関節痛(かんせつつう)心疾患(しんしっかん)老化予防(アンチエイジング)、悪玉コレステロールの低下、認知機能(にんちきのう)改善(かいぜん)、運動機能の改善』


『概要:皮に、有害成分の|Pseudopelletierineペレチエリンが含まれる。実に含まれるestrone(エストロン)tannin(タンニン)は人間は食べられるが、犬猫が摂取する(食べる)と中毒症状を起こす為、食べられない』


 ザクロは、ジュースが良く売っているよね。

 でも、犬猫には毒なのか。

 残念。


 ブルーベリーみたいな()紫色(むらさきいろ)の実が、いっぱい成っている。

 美味しそうだけど、これは食べられるの?


『対象:ナデシコ目ヤマゴボウ科洋種山牛蒡(ヨウシュヤマゴボウ)


『薬効:抗炎症作用(こうえんしょうさよう)免疫力強化めんえきりょくきょうか


『概要:全草(ぜんそう)有毒成分のアルカロイド、saponin(サポニン)aglycone(アグリコン)硝酸(しょうさん)カリウムが含まれる。誤食する(食べる)と、嘔吐(おうと)、下痢、瞳孔拡張(どうこうかくちょう)精神錯乱(せいしんさくらん)中枢神経麻痺ちゅうすうしんけいまひ痙攣(けいれん)意識障害(いしきしょうがい)。最悪の場合、呼吸障害(こきゅうしょうがい)心臓麻痺(しんぞうまひ)を起こして死に至る』


走査(そうさ)』の説明を見て、(あわ)てて手を引っ込めた。

 ブルーベリーみたいで美味しそうに見えるのに、猛毒なのか。

 危ない危ない。


 他にも色々探してみたけど、食べられる実が見つからない。

 意外と、毒を持った実が多くて驚かされる。

 食べられるけど、美味しくないという実もたくさんあった。

 人間は食べられるけど、犬猫は食べられない実も多い。

走査(そうさ)』によると、ほとんどの木の実は鳥が食べるものらしい。


 そもそも、犬猫が食べられる果物はとても少ない。

 犬猫が食べられる果物は、イチゴ、キウイ、スイカ、バナナ、ブルーベリー、メロン、リンゴくらい。

 結局、サルナシしかお土産に出来なかった。


 だけど、ひとつだけでも食べられる実を見つけられて良かった。 

 グレイさん、喜んでくれると良いな。

彼岸花(ヒガンバナ)とは?】

 秋の彼岸(9月頃)に花が咲くことが、名前の由来(ゆらい)

 別名がめちゃくちゃ多くて、1000種類以上あると言われている。

 有名な有毒植物(ゆうどくしょくぶつ)なので、不吉(ふきつ)な名前が多い。


 曼珠沙華(まんじゅしゃげ)

 葬式花(そうしきばな)

 墓花(はかばな)

 死人花(しびとばな)

 地獄花(じごくばな)

 幽霊花(ゆうれいばな)

 火事花(かじばな)

 蛇花(へびのはな)

 剃刀花(かみそりばな)

 狐花(きつねばな)

 捨て子花(ごばな)

 灯籠花(とうろうばな)

 |Spider(スパイダー) lily(リリー)

 |Lycoris(リコリス) radiata(ラジアータ)などなど。

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