表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ねこねここねこなお医者さん 転生して仔猫になったぼくが夢の獣医になる話  作者: 橋元 宏平


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

100/160

第100話 秋の味覚

「グレイさん、目薬(めぐすり)()すから、おめめを開けててミャ」

『え? 目を開けていないといけないのか? なんだか怖いぞ』

「目薬を点したら、おめめをパチパチしてなじませてミャ」

『あ、ああ、分かった。怖いけど、頑張(がんば)る』

「目薬を点したら、すぐ(かゆ)みが(おさ)まるから我慢(がまん)してミャ」


 (おび)えるグレイさんに優しく言い聞かせながら、グレイさんの目にアロエの葉汁を点した。

 アロエの葉汁には、痒みの原因のヒスタミンを(おさ)える効果があるんだよ。

 アロエの(こう)ヒスタミン作用は、()ってすぐ効果が(あらわ)れる。

 殺菌作用(さっきんさよう)抗炎症作用(こうえんしょうさよう)もあるから、傷薬(きずぐすり)としてとっても優秀なんだ。


 火を使うようになってから火傷(やけど)()うようになっちゃって、アロエには大変お世話になっている。

 火傷にアロエの汁を()れば、すぐにヒリヒリした痛みが引く。


 猫の(ひげ)精密(せいみつ)なセンサーの役割(やくわり)をしているんだけど、熱を感じることは出来ない。

 気が付いたら髭がチリチリになっていた、なんてことがある。

 それに猫は全身を(あつ)い毛で(おお)われていているから、(はだ)で熱を感じにくい。

 いつの間にか、毛が()げて茶色くなっていたこともあった。


 焚火(たきび)の側にいると熱中症(ねっちゅうしょう)脱水症状(しょうじょう)にもなりやすいから、水分補給(すいぶんほきゅう)()かせない。

 火を使う時は水が入った葉っぱのお皿を近くに置いて、水をかぶって毛を()らしたりいっぱい水を飲むようにして防火対策(ぼうかたいさく)している。


 どんなに気を付けていても火の側にいれば火の()()うし、髭と毛は焦げる。

 焦げてチリチリになった毛や髭は、()()わるまで待つしかない。


 ฅ^•ω•^ฅ


 あれから毎日、グレイさんにはイチョウとイヌハッカのブレンドハーブティーを飲ませて、アロエの目薬を点している。

 それでも、くしゃみと鼻水と鼻詰(はなづ)まりは(おさ)まらないみたい。

 なんとかしてあげたいけど、花粉の時季(じき)が終わるまで花粉症(かふんしょう)は治らないからなぁ。

 とても苦しそうで、可哀想(かわいそう)だけど仕方がない。


 せめてブラッシングをして、毛に付いた花粉を落としてあげよう。

 花粉を落とせば、少しはマシになるかもしれない。


「グレイさん、毛づくろいしてあげるミャ」

『おおっ、本当か? ありがとう』


 グレイさんは(うれ)しそうに、地面に寝転(ねころ)がる。

 ぼくは松の葉のブラシで、グレイさんをブラッシングする。

 ちょうど換毛期(かんもうき)だから、毛がごっそり抜けた。

 花粉症と換毛期は春と秋で、時季的(じきてき)にちょうど(かさ)なる。


 春の換毛期にも、ブラッシングしてあげたっけ。

 夏毛(なつげ)から冬毛(ふゆげ)()()わっているということは、そろそろ秋の終わりが近付いている。

 濃い緑色の葉を付けていた森の木々も、少しずつ黄緑色(きみどりいろ)へ変わりつつある。


 急がなければ、もうすぐ冬がやって来る。

 ぼくたちは、少し急ぎ足でイチモツの集落へ向かった。

 他の集落に立ち寄ることなく、ひたすらイチモツの集落へ向かって走る。

 と言っても、ずっと走り続けることは出来ない。


 当たり前だけど、走り続けたら疲れてしまう。

 ぼくたちは、1日平均14時間くらいは(ねむ)らなければならない。

 特に仔猫(こねこ)のぼくは体力がないからすぐ疲れちゃうし、たくさん寝なければ体が持たない。

 だから急いでも、1日に移動出来る距離は2kmくらい。


 それに、秋は天気が変わりやすい。

 さっきまで()れていたのに、急に空が暗くなって雨が()り出すなんてこともよくある。

 雨が降れば花粉が洗い流されて、グレイさんの花粉症の症状(しょうじょう)は軽くなるけど。

 犬猫は低気圧(ていきあつ)に弱いから、頭痛と倦怠感(ダルさ)で動けなくなる。


 何日も雨が降り続くと、ずっと巣穴(すあな)から出られない。

 雨に()れると、体を冷やして風邪を引く。

 風邪を引いたら、ますます遅くなってしまう。


 なかなか距離が(ちぢ)まらなくて、もどかしい。

 冬が来る前に集落へ帰れるだろうかと、不安でいっぱいだ。

 早く帰らなくてはと、気ばかりが(あせ)る。

 焦っても、どうにもならないと分かっている。


 巣穴の中から、雨を降らせる雨雲(あまぐも)を見上げる。

 どうか、早く雨が()みますように。

 こんな時、てるてる坊主(ぼうず)が作れたら良いのにな。


 人間だった頃は雨が降って欲しくない日に、てるてる坊主を作って()るしていたっけ。

 逆に雨が降って欲しい時は、(さか)さまにして吊るしていた。


 今は猫だから、てるてる坊主は作れないな。

 作りたくても、材料がない。

 てるてる坊主は、ティッシュペーパーと(ひも)とペンがあれば出来る。


 大きな葉っぱと細長い葉っぱを使えば、出来るかな?

 頭の中身は、枯れ草を()めてみよう。

 顔は、爪で描いてみるか。

 雨が降っている間は(ひま)だし、試しに作ってみようかな?


 しばらく待っていると、雨が()んだ。

 一時的(いちじでき)に止んだだけみたいで、またすぐ降り出しそうな空だ。

 今のうちに、てるてる坊主の材料を探してみよう。


 大きな葉っぱを探していると、ピンク色のコスモスの花が咲いていた。

 どうやらこの辺りは、コスモスの群生地(ぐんせいち)みたいだ。

 てるてる坊主の頭の下にコスモスの花を逆さまにして付けたらスカートみたいになって、きっと可愛いぞ。

 そういえば、コスモスは薬草じゃないの?


対象(たいしょう):キク(もく)キク科秋桜(コスモス)


薬効(やっこう):キク科の中で、フラボノイドの含有量(がんゆうりょう)が最も高く、抗酸化効果(こうさんかこうか)(ひい)でている。解熱(ねつさまし)解毒(けどく)高脂血症(こうしけっしょう)、むくみ』


警告(けいこく):フラボノイドは猫が経口摂取すると(たべると)下痢(げり)嘔吐(おうと)などの症状(しょうじょう)が起きる。皮膚接触の場合(触ってしまうと)皮膚炎(ひふえん)を起こす』


 猫は、食べられない薬草なのか……残念。

 雨が()んでいる間に巣穴を出て、てるてる坊主の材料になりそうなものを探す。

 見れば、ムラサキバレンギクの花が咲いていた。

 頭状花(まんなか)(まる)く盛り上がっていて、花弁(はなびら)頭状花(とうじょうか)の下に下がっている。

 そのままで、てるてる坊主みたいな形をしている。

 てるてる坊主代わりに、吊るしてみようかな。


 ムラサキバレンギクは、マダニ感染症(かんせんしょう)の時に抗生物質(こうせいぶっしつ)として使った。

 あの時は急いでいたから、手っ取り早く花弁をそのまま食べたんだよね。

 確かムラサキバレンギクの花は、ハーブティーになるはず。

 ちょうど良いからたくさん()んで、茶葉(ちゃば)を作り置きしておこう。

 どんな味がするのか、楽しみだ。


 そうだ、ついでにキノコも()っていこう。

 秋は、美味しいキノコがたくさん採れるからね。

 探してみると、木の根元(ねもと)にオレンジ色のキノコがいっぱい付いていた。

 表面(ひょうめん)がツヤツヤしていて、触るとヌルっとしている。

 これは、食べられるキノコなのかな? 『走査(そうさ)


『対象:モエギタケ科スギタケ属滑子(ナメコ)


薬効(やっこう)免疫力強化めんえきりょくきょうか(こう)ウイルス作用、抗癌(こうがん)作用、大腸癌(だいちょうがん)腸内環境正常化ちょうないかんきょうせいじょうか、便秘、脂肪燃焼(ダイエット)、高血圧、むくみ、二日酔い、老化予防(アンチエイジング)糖尿病(とうにょうびょう)生活習慣病せいかつしゅうかんびょう


概要(がいよう):ゼリー状のぬめりと独特(どくとく)風味(ふうみ)があり、味噌汁(みそしる)鍋物(なべもの)最適(さいてき)


 ナメコは、お味噌汁に入っていたから食べたことがあるぞ。

 これで、ナメコ汁を作ってみようかな。

 猫にとって塩分(えんぶん)は毒だから、味噌(みそ)醤油(しょうゆ)は使えないけど。

 そもそも、味噌も醤油も手に入らないし。


 近くに、シメジみたいな形の茶色いキノコも()えている。

 これは、食べられるのかな?

 (さわ)ろうとしたら、『走査(そうさ)』が発動(はつどう)した。


『対象:ハラタケ目モエギタケ科クリタケ』


概要(がいよう)薬効成分(やっこうせいぶん)は、ナメコに似る。加熱(かねつ)すると良い旨味(うまみ)が出る。有毒物質(ゆうどくぶっしつ)のネマトリンが、微量(びりょう)(ふく)まれる。人間は食べられるが、猫は食べられない』


 またしても、猫は食べられないキノコか。

 仕方ないので、(あきら)めよう。


 探してみたら、マイタケとヒラタケとシイタケも見つかった。

 秋の味覚(みかく)と言われるだけあって、キノコがたくさん採れた。

 これだけ採れれば、干しキノコもいっぱい作り置き出来そう。 


 だんだん肌寒(はだざむ)くなってきたから、あったかいものが欲しくなる。

 焼きキノコも美味しいけど、キノコ汁も食べてみたい。

 いろんなキノコが混ざったら、良い出汁(だし)が出て美味しいはず。


 そんなことを考えながら歩いていると、ポツポツと雨が降り出した。

 ()れないうちに、急いで巣穴へ戻った。

秋桜(コスモス)とは?】

 7~8月に咲くコスモスは、夏咲(なつざ)き。

 9月に咲くコスモスは、早咲(はやざ)き。

 10~11月に咲くコスモスは、秋咲(あきざ)き。

 赤と白とピンクの花が、一般的。


 南米産の「ヤサイコスモス」(Ulam(ウラム) Raja(ラジャ))以外のコスモスは、食べられない。

「ウラム」がサラダ、「ラジャ」が王様で、「王様のサラダ」という意味。

 (くせ)苦味(にがみ)が少なく、サラダとして生で食べられる。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ