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塔が空から落ちてくる世界で、機動兵器に乗る傭兵やって生きてる  作者: 梅酒わいん
intermission:八本脚運輸

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34/60

34話:就任

ギャグ回です。

 ――八本脚運輸【オクタライン・ロジスティクス】。


 タコ野郎が立ち上げた運送会社であり、傭兵団である。

 こんな実態の知れない会社の、その副社長に俺はなったらしい。



 なんで???



「はい、押印」


 騎士サマの前で、俺はその残酷な真実を知った。

 そして上位貴族であるヴァレリアン卿は、ニコニコの笑顔で承認印を書類に押印した。

 その書類寄越してくれ!破って焼いて破棄してやる!


「書類の損壊は違法だよ。まして上位貴族の印、要塞街が敵になると知れ!」


 わるいかおしてる。悪ふざけ半分でやってんなこいつ。


「ふふふへへへ裁判なら受けて立ちますぜカラスはぁん!優秀な弁護士揃えてるさかいに!」


 わるいかおしてる!何お前らの仲の良さ!?


 くそ、法律なんて野蛮な!ここは穏当に暴力で済ませようぜ!

 そうしている間に、部屋にノックしてコテツが入ってきた。


「コテツです。タコ社長と騎士様に、整備と資材の運用計画書作ったので確認して欲しいんスけど」


 コテツ助けて!権力に負ける!

 このままじゃ俺、よくわからん会社に囚われちゃうよ〜!


「あー、就任おめでとうございます。ってことはオーナー就任もしたんですね。適正価格でちゃんと売りましたからね」


 なんの話???


「? ガトリング工房のオーナーになったんですよね?」


 ――なんの話!?



 *



「【オンボロ】の費用とか、勝手に使った資材とか、借金とか。

 全部纏めてカラスさんに、ガトリング工房売ったんですけどおかしい取引でした?」


 なにもかもがおかしいだろうが!

 なんでコテツが工房売れるんだよ!?


「タコ社長に見てもらったら『カラスさんだいぶ有利だけど適正』って言ってましたけど」


「経理状況まで全部調べたんやで!」


 タコ野郎が腕を組んで力強く頷いた。

 いやいやいや。そうじゃねぇ。

 そんな書類にサインした覚えは――!


 ――タコ野郎が寄越した2枚目の書類かぁ!?


「はい、押印」


 ぐええええ!なんか今取り返しがつかなくなったぞ!?

 そもそもなんでコテツが工房の運命決めれる書類持ってんだよ!?


「そりゃあ、親方から経営権奪ったからに決まってるじゃないですか。

 あのひと年単位で経営者じゃないですよ」


 マジかよ!?

「ここはワシの城だ!」みたいな顔して経営者じゃなかったのかよ!


「冷静に考えてくださいねカラスさん。

 ――親方に金勘定なんか出来るわけないじゃないですか――」


 ――うん。それは、そう。

 そこは、納得しか出来ないな。うん。


「元より赤字溜まってましたからね。売却先探してたくらいなんです。

 それならカラスさんが良いと工房のスタッフ一同――

 親方以外からは同意を頂けました」


 親方の意見は――!?

 あれでも工房を率いてた顔役だろ?


「あの人に決定権なんか与えるわけないじゃないですか。

 ――カラスさん、正気です――?」


 軽蔑と諦めと嫌気が混じった苦々しい顔でコテツは吐き捨てた。

 ――ここまでコテツ怒らせるとか、何したんです??



 *



 俺。こういうの見捨てられないし、売れねぇし、裏切れない自覚があるんだ。

 本当に契約したくなかった。責任負いたくないんですよ。

 フリーの気楽な傭兵やってるだけで良かったんだけどなぁ――

 

「ま、稼ぐのも働かせるのもワイがやるやで。瞬く間に黒字にしちゃる!」


 俺たちは執務室のテーブルでコテツが持ってきた資料を眺めながら、会議を開いていた。


 ――タコ野郎に売れば良かったんじゃない?


「考えましたが、カラスさん居ないと多分倫理的なブレーキぶっ壊れるんですよね。

 タコ社長抑えられるのカラスさんかヴァレリアン卿だけなんで、カラスさん巻き込むのは前提です」


 ガトリング工房元オーナーであるコテツが淡々と答えた。

 というか、なんかタコ野郎を社長って呼んでるってことはお前も移動したな?


「あの工房のスタッフではありましたけど、大した給料は出てませんでしたし。

 実は半分くらい趣味で居たくらいの感じですよ。ギアの訓練もしてましたし」


 うん。親方が悪い。全てはそれだ。


「あと、この【バスティオン・キャリア】のクルー集めは僕が第7セクターでやっておきました。

 これ名簿です。半分くらいはゴブリンですが"デカ耳"さんにも協力してもらって怪しい人物は排除しています」


 コテツさぁ、お前、ヴァレリアン卿の秘書としてもやっていけるんじゃないか?


「いつでも歓迎するよ」


 即座に騎士サマはコテツを誘った。

 今の低い声、かなり本気だったな。


「卿の下についたら激務確定なんで遠慮しておきます。

 タコ社長の名前で募集かけたら1人も来なかったんですが、カラスさん名義で呼んだら100人くらい軽く集まりましたよ」


「なんでや!?」


「人徳じゃないですか?」


 タコ野郎に徳が無いのは間違いないが、俺にも徳はねーだろうよ。

 こちとら荒くれの傭兵だぞ?


 ――なんか全員からの呆れた視線とため息を感じるな。なんだよ。


「さて、資料通りリザードマンのハレーさんの機体を最優先にさせますね。

【バスティオンキャリア】の防衛の問題もありますが、ハレーさん側にも事情があります。

 都市間同盟法の滞在期限が過ぎるので、これ以上逗留出来ないらしいんですよ。

 だから街に戻りきる前に修理して、別の街へと向かわないと行けないですね」


 ――へえ。ハレーはここから離れるのか。


「ええ、破損箇所修復と循環液補填は必須ですね――というかあの機体はいったいなんなんですか。

 破損具合と循環液残量が全然合わないんですけど。正直あんまり触りたくないですね」


 コテツとしても【トライヘッド】は不可思議な機体らしい。

 あとで意見を聞きたいな。


「ま、内装だけでも直さないと動かせないんで急ピッチでやります。

 というか最低限やったらハンガー空けて、甲板にでも置きたいんですよ。

 空き場所にジャンクやら資材やらいろいろ詰め込みたいんですよね」


 今回は本当に全損レペルの機体ばかりになるため、ハンガーの占有率が高い状況だ。

 しかし大量のドラゴン討伐を成し遂げたことにより、なんとしても回収しなければならない素材も大量になっている。

 そのため備え付けのライトフレームを総動員しながら解体作業を進めているところだ。


「私としても増員、追加のカーゴキャリア派遣の手配は行っている。

 大捕物を成し遂げてくれた勇者達に報いなければな」


 騎士サマがそう告げた。

 一足先に輸送キャリアで街に戻るらしいが、権力を使いカーゴキャリアを動かしてくれると確約してくれている。


 この船は輸送目的なぶんデカイが、流石にこの状態だと容量的にも不安がある。

 発進そのものが急だったのもあるし、スクラップだけを抱えれる訳じゃないからな。



【バスティオン・キャリア】

 


 タコ野郎が全財産はたいて購入したカーゴキャリアだ。

 要塞街で製造出来る最大級の特大艦である。

 シャードジェネレータは六基。

 戦争で使用したものに比べ3倍近い出力がある”移動要塞”である。


 カーゴキャリアは街間の移動するにも常に襲撃を警戒しなければならない。

 そのため、商人が利用するにしてもガチガチに装甲を固めているのが常識である。


 ――ただ、それにしてもデカ過ぎない?

 要塞街の外壁の三分の一くらいはあるぞ。


 というか、なんだ。タコ野郎っぽくない命名方式だな。

 硬質で軍隊式な感じだ。たしか要塞(バスティオン)だろ?


「ワイとしてはキュートな名前を付けたかったんやけどな〜!」


 タコ野郎のネーミングセンス――美焼女戦士《もえもえ★シグナリア》――

 うん、あの、その、絶対やめろよ?


「命名権だけは街で買わせていただいた。

 流石に街間を移動する艦の名前に、少々キュート過ぎる名前を付けられるとこちらも困る。

 販売したカーゴキャリアの名称で、要塞街の品格を問われることにすらなり兼ねないからね」


 ――ありがとう。ヴァレリアン卿。最上級の感謝を――


「君から本気の感謝を受けたのは初めてだよ――!」


 いやだってさぁ。

 本当に嫌じゃん――?



 *



 コテツの整備計画を受けてから一週間が経った。

 ヴァレリアン卿は起きたセドリックとタカメ女史を連れて、要塞街へと戻って行った。あとで報酬の交渉をしないとな。


 その間、俺はライトフレームに乗って塔の解体をしたり、作業員に混じって機体整備とジャンク分解をしたり、勝手に治療ポッド抜け出したドワーフどもと酒盛りをしたりと、精を出して働いた。


 お前らちゃんと給料出せよ〜


「いやカラスさん。あなた出す側ですからね??」


 えー、いやコテツさぁ、だってさぁ。

 俺に経営と金勘定の才能は無いぞ?

 今どのくらい手元にあるか、”デカ耳”に任せてる取引がどうなってるか、借金がどのくらいあるか、ぜんぶ把握しきってないくらいなんだからな!


「一時期ワイに金勘定任せてたくらいやもんな」


 そうそう。途中で飽きてどんぶり勘定になるんだよ。

 で、勝手に投資に回されてキレてやめたんだよなー。

 あれから本格的に金欠になって本当に困った!


 ってことで俺も親方ほどじゃないけど金勘定は無理!


 騎士サマが勝手に置いていった、そこのメイドとか使ってなんとかやりくりしてくれ。

 貴族崩れなんだろ?なら一通りの教育は受けてるだろ。


「ええ、そうですね。気骨あるなとは言われました」

「はい、そうですよ。優しい先輩に鍛えられました」


 なんか殺意混じった目線だな。

 え?なんで?


「社長ではなく貴方に従います」

「納得の上でここに来ました。どのようにも使ってください」


 めちゃくちゃ不機嫌なメイド二人に、きれいな一礼で挨拶された。


 ???


 ――俺、なんかした???





メイドたちは15話あたりを参考にすると、カラスに身ぐるみ剥がされてるのが分かります。


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