表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/1

タイトル未定2025/08/28 23:10

皆さまはじめまして、ユリです!

擦られまくっているであろう王道の小説を書きました、悔いなし!

完結に向けて頑張っていきます!このシリーズでは今のところRはない予定ではありますが、需要があれば書くかな?と言った感じです!

pixivの方でも投稿しております!こちらのサイトを利用させていただくのは初めてですので、何卒よろしくお願い致します!


「___であるからして_」


カン、カンという音が静かな教室内に響く。この静寂はこの教室内の全員が意図的に作ったものではなく、寝ている生徒も多かった。ここは私立の高等学校といえど、中高一貫校のため中学受験など我々当人たちは親や塾の先生の言ったことをしてきただけなのだから、勉強が好きではない者も少なくない。

今の授業は数学。文系である自分にはとてつもなく退屈であった。が、周りの生徒のように誘惑に負けてしまってはいけない。ただでさえ分からなく授業がもっと分からなくなってしまうからだ。

ふわっとあくびを漏らし、目元の一粒ほどの涙をぬぐった。

もうすぐ夏休みに入る。高校三年生である私たちにとって、本来は焦るべきなのであろうが、付属している大学のある私たちにとって、受験を意識している生徒は多くないであろう。

本来私は受験をしなくてもよいのだが、どうやら親が転勤になるらしく仕方がなく受験をしなければならないらしい。一人暮らしでも私は構わないのだが、両親は心配らしく首を縦には振らなかった。このことは誰にも伝えていない。そこまで価値のあることではないと思うし、自分としてはあっさりと、すっきりと別れたいのだ。

だが、勉強が苦手な自分はまだ実感が持てていなかった。長所もないし、夢中になっていることもない。

一応現在も水泳というスポーツに取り組んではいるが、周りの人の才能に溺れてしまいそうになっている。いくら好きなこととはいえ、結果が無ければ意味はないのだ。幸いなことに、今日は水泳はなく、塾だけだ。早く帰りたいと思い教室の黒板の近くの壁に掛けてある時計に目をやると、後1分ほどで授業が終わるところだった。授業だから形だけでも意欲を見せようと握っていたシャーペンを音を立てない様に筆箱の中にしまった。


キーンコーンカーンコーンという聞きなれた鐘の音が教室に鳴り響いた。起きていた生徒は少しリラックスしたように楽な姿勢になるものも多かった。無論、寝ていた生徒は大抵はっと顔を上げ、やってしまったとばかりにうなだれていた。


「じゃあ、今日はここまでです。授業で55pの基礎までしたので、応用問題を課題とします。次の授業で答え合わせから始めます。」


そう先生はみんなに向かってそう話すと、学級委員に目線を向けた。そして、挨拶を済ませ休み時間へと突入した。

次の授業の確認をし、教科書などの必要なものを机の上に出した。休み時間は十分間。机に向かいぼーっとしていては不自然だろうし、私らしくない。

いつも通り椅子から立ち上がり、窓側の席に向かう。自分は廊下から二列目の席であるから、景色の見える窓に近い席は少しうらやましい。

前から三番目の窓側の席に座っているのは目的の相手、澄川萌奈(すみがわもな)。このクラスの代議員の一人だ。


「数学疲れたね~、早く帰りたいよ~」

「わっ!も~、近くに来たなら言ってよね、蘭!」


後ろから声をかけると萌奈は肩を上げながら驚いた声を出した。この子は本当にいい子だ。周りを見ることのできる人のため、何かをするときに一緒にいると進む物事も多い。だが、あまり自分の意見は話さない。だからもし彼女の意見を必要とした場合は、具体的に質問すると答えてくれる。


「今日は望々花ちゃんがいないから寂しいね」

「そうなの!ここら辺男子ばっかりだから余計に寂しいよ~!」


私たちの視線は萌奈の横の誰も座っていない席に向けられた。ここは本田望々花(ほんだののは)の席。今日はどうやら体調を崩してしまったそうでお休みだ。朝のホームルームで担任の後藤先生が話していたのを思い出した。そうか、と私は萌奈の言葉に周りを眼だけで見渡した。確かに、萌奈と望々花の二つの縦列には女子は彼女らだけだ。対して、教室の真ん中の二列と、私の席がある廊下側の二列には残りの女子が固まっている。


「確かにね、次の国語の授業で班活動あったら大変じゃん」

「そうじゃん!次国語じゃん!安藤先生...ちょっと苦手。」


苦い顔をしながら萌奈は国語の教科書を机の中から取り出した。安藤先生は、生徒からの人気は低い。授業中にランダムに生徒に当てるほか、間違えると受験について触れて嫌味を言うことや、何か目につく生徒がいると、みんなの前で注意をしたりする。だから国語の授業中はみんな模範生徒のように女子は髪を結び、男子はシャツを入れ、取り組んでいる。


「あ~、安藤先生ね、確かにだるい。」

「でしょ?それに安藤先生うちの委員会担当だからさー、余計に授業中当てられるんだよねー。何か」

萌奈は代議員のため、学級委員と一緒の「学年中枢委員会」という委員会に所属している。この委員会は、学年ごとに存在しており学年行事の計画、進行やクラスごとにリーダーという役割を受け覆っている。とはいっても、代議員と学級委員は男女一人ずつのため、クラスをまとめるのは学級委員のことが多いのだが。代議員は代わりに、生徒会が主軸となって各委員会からの報告や議案の話し合いなどの学校全体の話をする「生徒代表集会」という集会に参加することになっている。そのため、学級委員であれど代議委員であれど忙しいことに変わりはないのだ。


閑話休題。

その学年中枢委員会の担当の先生が、3年国語担当の安藤先生なのだ。確かに授業で当てられる生徒に注目すれば、過去に彼が担任したことのある生徒だったり、顧問をしている部活動に所属していたり、萌奈のように学年中枢委員会に所属している生徒が多い。証拠に、私は数えられる程度にしか当てられたことがない。

ふと、時計を見ると授業の始まる2分前であった。安藤先生は厳しいため、早く席につかなければ。


「やば!もう行くね~」

「うう~、いやだよ~蘭~。

「ははっ、ファイト!」


私を引き留めようと両手を伸ばしてくる萌奈に思わず笑えば、非情だと怒られた。

席に座ると、ちょうど安藤先生が教室に入ってきた。危なかった。セーフと心の中で思うと、頭には両手を左右分けて横に動かした審判がいた。


「はい。やりますよ」


事務的に安藤先生が合図を出せば、学級委員が号令をかけた。これで今日の授業は最後。自分を鼓舞した後に、私は目の前の授業に集中した。


 



「ありがとうございました」


今日の授業は終わった。帰りのホームルームが始まる前に、帰りの準備を済ませてしまおうとロッカーにあるカバンを取りに行った。本来ならば私たちのような寮組はホームルームの後に準備を始めても時間に余裕があるのだが、今日は違った。私の所属している委員会...「寮生活管理委員会」というのだが、この委員会では寮生活の管理について一任されている。もちろん、生徒の生活をすべて管理するわけではなく、寮のルールを決めたり、ふさわしくない行動をする生徒がいない様に呼びかけを行っている。また、ふさわしくない行動をした生徒の告発、私たちができる程度の罰も行っている。最近は夜に抜け出した生徒がいたため、1週間生活委員会の朝の校門挨拶活動に参加させた。これくらいの軽い罰なのだ。

最近はその生徒だけだったはずなのに、なぜか私は生徒会に呼び出されてしまった。寮での秩序は、学校生活の秩序にも関わってくるため、何か寮で問題が起きれば生徒会に呼び出され、寮生活管理委員会代表との話し合いが行われるのだ。


なぜ私がその大事な話し合いに向かっているのかというと、私が寮生活管理委員会の委員長だからだ。元々人の前に立つことは苦手ではなかったが生徒会という目立つ人たちと関係の強いこの委員会の長にはなりたくなかった。だが、あの子(・・・)が私が委員長にならないのであれば自分は学校に行かないと言い出したので本当に仕方がなく委員長に立候補したのだ。これでだれか委員長になりたい人がいればうきうきで譲るつもりだったが、ただでさえやることの多い委員会の委員長になろうとするような者はいなかった。


「あれ?蘭、もう帰る準備するの?」

「うん。実はまた呼び出されちゃってて」

「そうなんだ!じゃあ、私後藤先生に伝えておこうか?話し合い、長引くと大変なんでしょ?」


ありがたい提案だった。前々回の時の生徒は、話し合いが長引いてしまいゆっくりできずに寝不足になってしまったのだ。どうせ、生徒会は帰りのホームルームなど抜け出してくるのも立場的に簡単なことだろうし、なぜかいつも先に会議室についているからいつも待たせてしまっていたのだった。


提案をありがたく受け入れ、帰りの準備を済ませた後私は教室を出た。

今回は何の話し合いなのだろうか。前の抜け出した生徒は外から戻ってきて部屋に入ろうとしたところ、物音を不審に思った隣の部屋の生徒が発見をし発覚した。


実は実際に罰が下されるのは違反が発覚し、疑いのある生徒に事実確認をして事実が明らかになった日から一週間後になる。罰の程度を考えるのは私たちだが、それをうちの委員会担当の先生と生徒会担当の先生に伝え、許可をもらわないといけないからだ。むしろ一種間でも短いと感じるのだが、違反をしたらすぐに反省をさせないと本人のためにならないという先生方の意見からこの期間になっている。ただでさえ一人が違反しただけでも大変なのに、複数人が計画的に違反したとなれば我々が地獄を見る。


一番大変なのは、違反が後から発覚した場合だ。本人が違反をし、一週間以内に生徒会か寮生活管理委員会に自白をしに行けば通常と変わりない処罰の仕方になる。だが、自白をしに来ていないのにも関わらず、違反が発覚した場合は違反の処罰+言いに来なかったことで反省なしの姿勢に対しての処罰の二つの観点からの罰になる。まずまずなぜ誰も見ていないのに違反がわかるのかというと、寮の廊下には監視カメラがたくさん設置されており、毎日用務員さんが確認しているのだ。理想は翌日までの自白だが、優しさで一週間待ってあげている。それに一週間以内に自白しに来てくれれば私たちの仕事も減るため、winwinということだ。用務員さんが違反者を発見し、監視カメラのスクリーンショットを撮る。そして、全校生徒の顔写真とスクショの写真を読み比べてAIが人物を見つけるのだ。違反者は教職員と生徒会、それから寮生活管理委員会の一部の生徒しかみれない専用のノートに顔写真と名前、違反の日時と内容が記録される。だから私たちは違反の全てを把握しているのだ。


話し合いはいつも長引くため、今日は塾に行けなさそうだ。寮の生徒は塾に行く等の正式な理由があり、定期的に外出しなければならない時は「正外出証明カード」というカードがあれば外に出られる決まりになっている。他の生徒よりも門限が23時と遅くなっているものの一応あるため守らなければならない。好きなウサギのキャラクターである「モモよ」のぬいぐるみパスケースに入れたカードを眺める。このぬいぐるみパスケースは数量限定版で、いつもはピンク色の体毛の印象にぴったりなぱっちりとしたかわいらしい目をしているのだが、このパスケースのモモよは少し眠たげに半目になっている。数量限定で入手が困難ということと、インターネットでしか買えないことから寮生活の者の中でも私はあまり家に帰らないということから諦めていた。だが、このことをあの子(・・・)に世間話気分で話したところ、なんと自分も寮生活をしているにも関わらず配送先を自分の実家にしてわざわざ取りに行き私にくれたのだ。とても嬉しかったし、私のためにしてくれたと思うと今でもパスケースを見るたびに笑みがこぼれる。


塾に学業のため今日はいけないというメールを送る。歩きスマホは感心されたものではないが、時間に余裕がないため仕方がないだろう。別館に移るための渡りの通路を歩いていると自分の茶色い髪が靡いた。最近、耳よりも長いくらいの長さに切り、レイヤーを入れたのだ。小学生のころ、ボブにしたら似合わなかったことを考えてレイヤーを入れてぱっつんにならない様にしたのだが、どうやら自分の考えは間違っていなかったようで小学生のころよりも馴染んでいる。元々茶色い髪ではあるが、水泳を続けているからか束によっては金色に近いところもあった。

ちょうどメールが送信し終わったころに、教室とは別館の会議室についた。違反者などのプライバシーに関わることを多く話し合うため、生徒会関連の会議室はいつも別館だ。


コンコンコン。良質な木材でつくられた扉には上品に黒艶のでる塗料が塗ってある。そこに手の甲で三回ノックする。そして、いつものように定型文を発した。


「失礼します。会議に参加したく参りました、薮崎(やぶざき)です。よろしいでしょうか。」

「はい。どうぞ。」


凛とした、少し幼さを残したいつもの声が聞こえてきたため、ドアノブを回し中へ入る。

そこには、対になるように机といすが並べられており、窓側の席に生徒会メンバーが全員座っていた。否、先ほど入室を許可してくれた副会長の小枝美優(こさえみゆ)は資料のファイルを私が座る方の机の上に置いているところだった。

うちの委員会の副委員長はもう来ていた。名前は小枝波瑠(こさえはる)という女の子。名前の通り副会長の美優ちゃんとは双子で、しかも一卵性双生児な為黒色の艶のある髪色や体形などがそっくりだ。見分け方は完全に二人に関してマスターとなって見分けるか、美優ちゃんは前下がりボブで波留ちゃんは胸まである髪に三つ編みハーフアップをしているため髪型で見分けるかだった。

中学生時代は美優ちゃんも髪を伸ばしており、見分けが非常に困難だった。普通の委員会だと、副委員長には二年生の生徒が任命されるが、生徒会と寮生活管理委員会には責任がほかの委員会よりもあることから、会長、副委員長は三年生、補佐副委員に二年生が二人つくことになっている。


「委員ちょー、今日はいつもよりも早いんですね。」

「そうなんだよね。友達が先生に伝えてくれるって言ってくれて。お言葉に甘えさせていただきました。」


席に向かう際に波留ちゃんと軽い雑談をする。まだ準備は終わっていないようで、あと五分ほどで完了するそうだ。手伝おうと声をかけたが、簡単なことだからと断られてしまった。波留ちゃんはおしゃべりなため、しゃべっているのに相槌を打ちながら、己の正面に目を向けた。

生徒会側には私の正面に生徒会長である桐生向陽(きりゅうこうよう)が座っている。彼はかの有名な桐生コーポレーションの代表取締役の息子である。三人兄妹で、兄、彼、妹の順である。

資料をじっと見ていたのだが、視線を感じたのかこちらをすっと目で見てきた。なので少し口を緩ませながら軽く首を傾ける。挨拶のつもりだ。そうすると彼も軽く首を傾け、また資料に目を落とした。


「お待たせしてすみません。では、これから合同会議を行います」


さて、今日の会議はどうなることか。


ぜひぜひリクエスト・改善点は募集しております!

優しく,,,お願いします,,,


2025/9/9 一部誤字を修正いたしました

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ