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マルクス労働場所に到着する
「傭兵さんは集まってください」
現場に到着して勤務開始時間になると、労働者の監督を担当する労働者が、集められた労働者に一つずつ憶質鞄を配給し始めた。
マルクスも一つの憶質鞄を受け取った。
それから仕事の説明が始まる。
「この倉庫にある兵站を前線各地へと送ります。指示された物資を憶質鞄に入れて、指定の場所へと運んでください」
「(マルクスが質問する)」
マルクスが質問をすると、労働者を監督する労働者は叱責を飛ばした。
「態度が悪いですよ」
成熟した資本主義、あるいは未成熟な共産主義における中間管理職の典型的な認知の歪みが見て取れる。
どんな人間だろうとも、人間一人分の価値しか有さないことを忘却しているのだ。
マルクスの発言と、労働者を監督する労働者の発言は、同じ重みを有しているのである。
しかしながらプレカリアートには、逆らうという選択肢が存在しない。この点で言えば、アングロサクソン・ヘゲモニーとエプスタイン・ヘゲモニーには類似性がある。
プチブルジョアジーにでも成り上がることができれば、拒否権を行使することも選択の余地に入るが、明日の生活費すらままならない現状では、黙って雇用主の命令に従わなければならない。




