第三話 マルクス、神殿に行く
三人を見送った後、マルクスは最寄りの神殿に向かった。鎌と槌のシンボルがロココ建築様式の建造物の頂点に掲げられている。建物に入り、聖杯の前で立ち止まる。鎌槌教の教義では、任意の神に魔力を奉納する形式が取られている。マルクスはクララから教えてもらった神の名前、祈り言葉を唱える。
「健康の神崩壊スターレイルよ。世界中の人々が肉体的、精神的、社会的、経済的に健康になりますように。神に祈りを!」
マルクスは神への祈り言葉を唱えて聖杯に魔力を奉納する。私の隣では武装した団体さんと白い服を着た神官が話している。……この神官は、私の相棒フリードリヒ・エンゲルスだ。
「お世話になります。ハインリヒ・フォン・エーレンシュタイン様。私はフリードリヒ・フォン・エンゲルス。神官長を務めております」
エンゲルスが団体の一番偉そうな人に対応している。エーレンシュタイン家とはどのような貴族なのだろうか。貴族についてはアグネスが詳しそうだから、明日聞いてみるか。神殿についてはトラウデに聞くのがいいだろう__あいつは神官を目指しているらしいし。
「この度はどのような御用向きでしょうか」
エンゲルスがエーレンシュタインに尋ねる。
「赤色巫女をテイクアウトしたい。頼めるか?」
「承知いたしました。恐れ入りますが暫くお待ちください」
エンゲルス神官長は、何処かに去って行った。赤色巫女をテイクアウトとはどういうことだろうか。
エンゲルスが若そうな女性を複数連れて戻ってきた。
「お待たせいたしました。こちらがテイクアウト可能な赤色巫女になります。どうぞお好みの者をお選びください」
エーレンシュタインはエンゲルスが連れてきた赤色巫女たちを眺めた後、一人の赤色巫女を指さしてエンゲルスに告げる。
「この赤色巫女にしよう」
「お買い上げありがとうございます。それではお支払いの手続きを__金貨1枚と大銀貨5枚になります」
エーレンシュタインの側に控えていた者が前に出て、革袋から金貨と大銀貨を取り出す。エンゲルスがそれを受け取り、エーレンシュタインの側近に領収書を差し出す。




