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心がほどける時間 ~恋と絆のスイーツストーリー~  作者: ゆう
あゆみちゃん元気づけ大作戦
12/17

作戦2:あやしいてがみ

 リビングの引き出しをそっと開ける。

 りおが「あった!」と小さな声で指を差した先には、ラッピングされたドーナツの箱。

 パパが買ってきて、あゆみちゃんに渡そうと隠していた“特別なお菓子”だ。


「よし、これを使ってあゆみちゃんを元気にしよう!」

 ぼくは意気込んで箱を取り出した。


「でも……パパ、これあゆみちゃんに渡そうとしてたんだよね?」

 りおが心配そうに聞いてくる。


「大丈夫だよ!ぼくらがもっと特別な形で渡すんだから!」

 ――たぶん。


 夜、パパが保育園の準備をしていたときのことだ。

「ん?」

 パパがバッグから何かを取り出した。


「これ……ドーナツ?」


 その声に、ぼくらはドキッとした。

 隠したはずのドーナツがバッグから出てきてしまったらしい。


「れん、りお。これ、どういうこと?」


 パパの声は穏やかだけど、どこか鋭い。

 ぼくらは思わず目をそらしながら、ぼそぼそと答える。


「その……ぼくら、知らない……。」


 嘘だ。自分でも分かるくらい、バレバレの嘘だった。


 パパは少し眉をひそめて、深く息をついた。

「れん、りお。嘘はダメだぞ。」


「……ごめんなさい。」

 ぼくたちは観念して、小さな声で謝った。


「おい。知らないって言ってたよな?人の物を盗ったうえに嘘までついていたのか?」


 パパはだんだんと怖くなっていった。


「あゆみちゃんを驚かしたくて…」


 ぼくは精一杯言ったけど、大きな声が出なかった。


 パパはしばらく黙っていたけど、優しい声で続けた。

「話は分かった。君たち、あゆみちゃんを元気づけたかったんだよな?」


 その言葉に、ぼくとりおは顔を上げる。


「うん……。」

 正直に答えると、パパは少し困ったように笑った。


「その気持ちは素敵だよ。でも、人のものを勝手に取ったり、嘘をつくのはダメだ。分かるか?」


「はい……。」

 ぼくらはしょんぼりと肩を落としながら頷いた。


「よし。それじゃあ、次はちゃんと僕も手伝うから、一緒にあゆみちゃんを元気づけよう。」


 その言葉に、ぼくらの顔がぱっと明るくなる。

「本当!?パパも?」


「もちろん。君たちだけじゃなくて、僕もあゆみちゃんのことを応援したいからね。」


 その後、ぼくらはパパと一緒に手紙を準備することにした。

 りおが一生懸命書いた手紙には、こんな内容が書かれている。


「おまえのたいせつなものはあずかった。

 ほしければ、よる10じにリビングにこい。」


「……これでいいの?」

 パパが少し笑いをこらえながら手紙を見ている。


「うん!これがいいの!」

 りおは自信満々だ。


 夜10時。

 リビングに現れたあゆみちゃんは、少し笑いをこらえた顔をしていた。


「れんくん、りおちゃん?」


 ぼくらはリビングの隅から飛び出して、持っていたドーナツの箱を差し出した。


「これ!」

「ぼくらからのプレゼント!」


 あゆみちゃんは驚いた顔をして箱を受け取り、しばらく沈黙したあと、ふっと笑った。


「ありがとう。すごく嬉しいよ。」


 その笑顔を見た瞬間、ぼくらの胸にぽかぽかとした温かさが広がった。


「あゆみちゃん、もっと元気になってね!」

 りおが元気いっぱいに言うと、あゆみちゃんは「もちろん!」と笑顔で答えた。


「……でも、脅迫状はちょっと怖かったから、次は普通に渡してね。」

 そう言われて、ぼくらは顔を見合わせ、笑い合った。


 ――おかしとあやしいてがみ大作戦、大成功だ!



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