作戦1:お手紙大作戦
「お手紙作戦、はじめるよ!」
ぼくはリビングのテーブルに広げた画用紙を見ながら言った。
りおは「えいえいおー!」と元気よく答えるけど、クレヨンを握りしめた手がすでに青い線をぐるぐる描いている。
「りお、まだ書き始めないで!作戦会議が先だってば!」
「だって、お空描きたかったんだもん!」
――このままじゃ、作戦失敗するかもしれない。
ぼくはお兄ちゃんとして、しっかりしないといけない!
「いい?あゆみちゃんを元気にするには、ちゃんと心がこもった手紙が必要なんだ!」
「うん!わかった!」
「じゃあまず、あゆみちゃんの好きなものを書こう!」
ぼくはクレヨンを握りしめながら言った。
「えっと……甘いお菓子!」
「うん、それいいね!他には?」
「パパ!」
――たしかに!でも、それはなんだか直接すぎる気がする。
ぼくは少し考えてから提案した。
「じゃあ、『あゆみちゃんが元気でいられる魔法の言葉』を書こう!」
りおは大きく頷いたあと、「あゆみちゃんだいすき!」と元気よく言った。
「それ、それ!じゃあ書いてみよう!」
ぼくたちは真剣に画用紙に向かってクレヨンを走らせた。
「おそらの青い色もいるでしょ?」
「ハートも必要だよね!」
「あと、にこにこ顔も!」
――こうして完成した手紙は、色とりどりの線と絵でいっぱいだった。
でも、どんなにぐちゃぐちゃでも、ぼくらには完璧に見えた。
「よし、これをあゆみちゃんに渡そう!」
ぼくは紙を持って立ち上がった。
その時、りおが「お花もいる!」と言って庭に飛び出して行った。
数分後、りおは小さな白い花を両手に握りしめて戻ってきた。
「これ、渡すの!」
――いいじゃん、それ!ぼくは思わず笑った。
「じゃあ、行こうか!」
リビングで課題をしていたあゆみちゃんに、ぼくらはそろって向かった。
「ねぇ、あゆみちゃん!」
「ん?」と顔を上げたあゆみちゃんは、少し疲れた顔をしている。
ぼくはその顔を見ると、余計に気合が入った。
「これ、あゆみちゃんに!」
ぼくたちは、画用紙とお花を差し出した。
「……これ、なぁに?」
あゆみちゃんは少し驚いた顔をしている。
「お手紙だよ!あゆみちゃんが元気になるお手紙!」
りおがにこにこしながら答えた。
画用紙を見たあゆみちゃんは、一瞬びっくりしたような顔をして、それからゆっくりと笑った。
「これ……私に?」
「うん!」
「だって、あゆみちゃんがいつもがんばってるから!」
その言葉に、あゆみちゃんの目がじわっと潤んだ。
「ありがとう……本当にありがとう。れんくん、りおちゃん。」
そう言いながら、ぼくたちをぎゅっと抱きしめてくれた。
ふわっといい匂いがして、ぼくもりおも「えへへ」と笑った。
「すごく嬉しいよ。こんなに素敵な手紙、もらったの初めて。」
その言葉に、ぼくの胸はポカポカと温かくなった。
やった!作戦大成功だ!
――でも、りおがぼそっと言った一言で、全員が大笑いすることになる。
「おそら、もっと大きく描けばよかったかな?」
こうして、ぼくたちの「お手紙大作戦」は大成功だった。
でも、ぼくたちはまだ知らない。これが、次の大きな計画の始まりになるなんて――。




