墓場の亡者と魔女
根暗、犯罪者顔。夜中、墓地でひっそり墓を暴いては人の死肉を貪っていそうだとまで言われた事のあるコーネリアスは目の前にいる少女を見て確かに兄が言った通り。自分たちはお似合いだと感じて哀れみやら同情心やら共感やらとを抱えながらそっと視線を逸らした。
この縁談を企てたのは公爵家の嫡男でもある兄である。
自分の不気味な容姿やら陰気な性格を常日頃より馬鹿にしていたがここまで他人に迷惑をかけてまで自分を攻撃するとは思わなかった。
ミスティー・ヤードランドと言えば魔女。こちらも陰気な性格と纏うドレスの色合いなどを以てしてそう人に陰口やら指を差されてクスクスと笑われている女性である。
カラスにパンをやっていたり、黒猫などにも邪険にしたりせず手を差し伸べたり抱えたりなどをしているとも言われているが真相は不明だ。何せ年の差と領地などの距離があるのだから。
コーネリアス・バゲンドは26になり、ミスティー・ヤードランドは19。貴族にとってはありえなくはない年の差だが、それでも若い身空の彼女にとって特に顔がいいわけでも能が秀でたわけでもない自分が相手では、この縁談は良いとは言えないだろう。
彼女から断り辛いなら、ひっそり自分が悪役になり酷く振ったように振る舞うも吝かではない。その方が彼女の為になるなら。兄のしでかした尻拭いを……。
「……誠に申し訳ない。こちらの我が儘に付き合わせてしまって」
「……いいえ。いいえ。そんな事は」
互いに俯き、ろくに話せもしない中で謝罪だけはできる。奇妙なやりとりを経て何度も何度も口を開閉させてからコーネリアスは漸く本題へと進もうと意を決し生唾を飲み込んで舌を回した。
「私との婚約など、君には何も得にならないのは痛い程理解しているつもりだ。あ、兄からは、私が気が向かなかったと口添えし、この見合いを見送る方針としても構わない。ど、どう、」
「何故ですか!」
「うおっ!?」
どうだろうかとお伺いを立てようとしては目を見開き身を乗り出して声を大きくした彼女にコーネリアスも驚き挙動不審となりつつも引き気味に何故とはと困惑を示した。
ガタンと机を鳴らして憤りにも似た表情を見せていた彼女はしかしコーネリアスのその顔や態度を見てハッと我に返ったように慌てて自分の席へと腰を落とす。
一体何があったのだろうかと自分の言葉選びなどが良くなかったのかとコーネリアスは悩みつつもまた口を開きかけ。
「「あの」」
見事に被ってしまった。またやってしまったとコーネリアスは彼女にも意見を聞こうと外した視線と共に言葉を促す。
「「すまない(ごめんなさい)、そちらから……」」
……タイミングが良いのか悪いのかなかなか相手の言葉を聞くに聞けないと顔を見合わせては気まずくなって両者ともに視線を逆方向に逃した。
春も麗な陽気で花は咲き乱れ蝶も優雅に飛び、見合いとしては絶好の日和である。
小鳥の心地よい囀りが自分たちの代わりにおしゃべりをしているかのように響くのを聞きながらコーネリアスは彼女の気に障らないようにと静かに溜め息を吐き出してどうしたものかと憂いを浮かべた。
すると向かいでも同じ様な息を吐き出す音が聞こえ、やはり彼女も乗り気ではないのだと察した。
「バゲンド様」
「……何でしょう?」
「あの、わ、私ではやはり婚約者を名乗るのは荷が重いのでしょうか?」
「……は、」
断りの言葉が紡ぎ出されると思い込んでいたものだからコーネリアスの思考が停止した。顔を上げ彼女を見た体勢のままに固まった彼を見て、今度はミスティー嬢が盛大に吃り狼狽えながら早口に捲し立てる。
「ぞ、存じて、存じております。私なんて、バゲンド様には烏滸がましい。いえ、釣り合いの一切取れない陰気で、不出来で、化粧映えもあまりしない娘である事は。で、でも!でも、もし、もしチャンスを頂けるのであれば、バゲンド様のお兄様のように私に、わた、私に今一度バゲンド様に見合う女性となるチャンスを!く、くだ、下さいませ!」
頭を下げて必死に頼み込む彼女には悪いが、何度も重ねるようにコーネリアスは見てくれが陰気で令嬢たちにも白い目を向けられ毛嫌いされるような男だ。
そのように言われる理由も意味もわからないと。コーネリアスは混乱を極めて言葉を失くしながらも彼女の謎の熱意に負け答えた。
「……貴方は、私との婚約を、望んでおられる?」
「も、もち、もちろんでございます!数多の才をお持ちで、おまけに動物にも優しくて、温かく接して下さる。わ、私にだって」
「えぇと……?私は今日が貴方と初対面だと記憶しておりましたが、失礼。どこかでお会いしておりましたでしょうか?」
「……っ!あ、えっ!そ、そう、そうです!今日が初対面でございます!」
何かしまったと言いたげに慌てた素振りをする彼女にも混乱していたコーネリアスは気付けずホッと胸を撫で下ろした。
会った事のある女性を忘れなどすれば忽ち噂が流れ出す。そして如何に酷い最低男かとも呼ばれると知る為にコーネリアスはそうでなくて良かったと思ってしまったのだ。
コーネリアスの安堵を尻目に彼女は何か少し言いたげではあるも、一先ずは横道には逸れず婚約の話しに戻り。双方に拒絶や異論がないのであるならそうしようと言う事になった。
コーネリアスとしてもこの年まで浮いた話しなどなかったのに加え、彼女が良いと頷いてくれるならまた兄に何かされる不安もあり決まってくれた方が何かと助かる。
ただ何度も何度もコーネリアスは彼女の意思を確認し、誰かに無理矢理従わされていたり嫌がらせを受けて頷かざるを得ないのではと心配し、問いかけた。
それでも答えは変わらず受けるとされ。婚約の話しはそのまま本当に通ってしまった。
晴れて婚約者となった二人を周りは似合いの邪悪な夫婦だと噂したり囃し立てたりなんだりとしていたが、コーネリアスの懸念を他所にミスティーは平然と婚約者の座に座り続けていた。
「全く、俺の何が良くて婚約など受けたのだろうな」
コーネリアスは息抜きに学び舎の裏にて適当な大きさの岩に腰掛け、一羽のカラスを撫でていた。
このカラスは翼に傷を負い木の陰で蹲り鳴いていたのをコーネリアスが偶然通りがかって助け、それから仲良くしているカラスである。コーネリアスの言葉を賢そうな円な瞳で見ては返事をするよう鳴いて羽を動かし慰めてくれているようにも見える。
コーネリアスもそれが嬉しくて表情を和らげた。
「お前もそう思うだろう?」
「クァー」
「墓地を荒らし死体を食らっているとまで言われた俺だぞ?普通のご令嬢なら逃げ出すもんだと思うんだ。彼女も噂はあるかもしれない。けど、俺と違ってまだ若いし、俯いてる顔を上げた時、とても愛嬌があって可愛いらしいと思った。目は紫水晶のように美しいし、鼻も唇も小さく愛らしい。……俺となんて婚約せずとも未来も選択もしようと思えばできるだろうに」
「ク、クァ、クァ……」
「どうした?オブシディアン。何も怖いものはここにはないだろう?そんな不安そうな声をあげないでくれ」
独り言に付き合ってくれた友人でもあるカラスが動揺の声をあげるのを恐らくは自分が不安を漏らしているのが伝わってしまったのだと思い込んでコーネリアスは眉を下げつつ羽を撫でて宥め。また溜め息を吐き出す。
―――そのカラスこそが例の令嬢だとも気づく由もなく。
「やった!やったわ、私!コーネリアス様の婚約者になれるなんて…!これは夢ではないかしら?」
「まぁまぁ。うふふ、そんなにはしゃいで。うっかりバレてしまったら大変よ、ミスティー」
キャッキャッと手を取り合い喜び合う女性が二人。一人はミスティー、もう一人はその姉であるキャロンである。ヤードランド家は代々女系一族であり、その多くが優秀な“魔女”を輩出してきた家柄なのだ。しかも男性側には一切秘匿とされ、危うい場合は記憶を改竄するのも殺しも辞さない構えである極めて冷酷な女たちの集まりだ。
けれど昔は重宝された魔女も今や異端でしかなくその数を減らしているのが現状であり、これも仕方のない事なのだ。非情なる異端審問などが行われて生きたまま火刑にされるのは誰でも避けたい。そうして女たちの結束は強固となり今に至る。警戒の程も強く、自身の顔や仕草を丸々隠し難を逃れようとミスティーのように芋臭く装って誰とも関わり合いにならないようにと過ごす事も。
そんな最中、ミスティーは意図せず異端審問官と鉢合わせそうになりカラスとなり逃れた先で怪我を負って立ち往生している時にコーネリアスと出会った。
傘を差したコーネリアスの顔は恐ろしいもので、何をされるかわからず、コーネリアスの表情、雰囲気も怖くて止めてと悲鳴をあげるよう鳴き声をあげながら指を啄んだり目を刳り抜こうと暴れるのにも構わずにコーネリアスは辛抱強くカラスであるミスティーを説得し、宥め宥めながら抱き上げて上着の内に匿いながら室内の、それも目立たぬ個室へと運び救急道具などをも持ち込んで甲斐甲斐しくミスティーを看病してくれた。
傷付き汚れた羽をお湯で濡らした布で丁寧に拭い。ミスティーが怒るのにも嘴で攻撃を続けようとするのにも手を傷付けられながら手当てするとの意思を変えず。自身の方が血に塗れる事になろうともコーネリアスはミスティーの手当てをやり遂げるまで離れず辛抱強くそこにいた。
そしてやっと手当てを終えると苦笑しつつもミスティーへ告げたのだ。
“これだけ元気なら直ぐによくなる。それまで、あまり気は進まないかもしれないが俺のもとに大人しく居てくれ。治ったなら直ぐに外に放してやるから。傷をそのままにして捕食者に狙われたくないだろう?”
その言葉を半信半疑で聞き渋々とどうしようもなくコーネリアスの側に置かれ。二週間。
一度目を盗んで窓辺からカラスに声をかけて伝言を頼み、家族へと無事を伝えてもらいながらもミスティーはコーネリアスに世話を焼かれて彼の優しさと内面を知った。
芋虫や蚯蚓を持って来られた時には冗談じゃないと再び騒いで怒りもしたし、ミスティーの様子を見ては餌はこれではないとコーネリアスは苦労して取ってきたらしいそれらを元の場所にと戻しに行くのを数度繰り返し。
生肉や生の野菜。少しずつ人であるミスティーが口にできそうなものへと変わり。コーネリアスが困り果てた顔でパンを持ってきた事で漸くミスティーもまともな食事にありつけた。
“鳥が何を食べるかなんて今まで詳しく調べもしなかったが、オブシディアンはグルメなんだな”
この頃くらいから名前も付けられ、手当てをするぞと声を聞き大人しく従えばいい子だと微笑まれ頭を撫でられたり嘴を擽られたりとし始めもし、ぐっと距離が縮まった錯覚にも駆られ。
トイレをどうしようと悩み焦りながら、苦肉の策とバゲンド家の侍女などに変身してレストルームを借りるなどもし。
それを知らないコーネリアスはコーネリアスでオブシディアンが便や尿を出さないのに鳥の体の仕組みを本で調べつつ食べてはいるのに便秘か何かかと心配してしまい、綿を巻いた棒きれやらを用意した上でおしりを触れられかけるもミスティーは断固としてそれを拒否しコーネリアスを突きまくって難を逃れた。
そんなこんなで二週間。ミスティーの羽を広げてコーネリアスは動作を確認し。それからミスティーが羽ばたき室内を飛ぶのに特に支障はないようだと判断を下したコーネリアスはミスティーを呼んで、ミスティーは出会った場所へと戻った。
その際はコーネリアスの上着に隠されるのではなく、上等な金の鳥かごに入れられ丁重に運ばれ、そして地へと降ろされればかごの扉を開いてコーネリアスは笑ってミスティーを呼んだ。
“オブシディアン、約束の時だ。ほら、お前にも家族がいるだろう?お前のうちへおかえり。もう怪我なんてするなよ?”
ミスティーが警戒してはいけないとそうして優しく声をかけてからかごより距離をとって、ミスティーがかごから出てコーネリアスを見るのを眺めながらお行きと唇だけで示しミスティーは空へと飛び立った。
ミスティーが思いを残しながらも離れて行くのを暫くとコーネリアスは見てその黒く美しい姿が消えるまで眺めてかごを抱えて家にと帰っていった。
その後ミスティーは自身の家にも帰るが、ミスティーは完全にコーネリアスに心奪われ何を尋ねられてもぽやぽやとした雰囲気が抜けずこれはと目敏く事態を把握した母が父の記憶を改竄。使用人たちにも同じくとし姉と母に連れられミスティーは魔女である彼女らに問い詰められ白状した。
「まぁ、なんてこと……!お前にはもっと良い男を見繕っていたのに!!」
「お母様ッ!コーネリアス様を悪く言わないで!!コーネリアス様は私にとても、とてもよくして下さったのよ!魔女の使いなんて言われているカラスに化けた私なんかに!」
母親がショックに思わず本心を口にすればミスティーはキッと睨み付け反論する。それを姉も聞きながらあらあらと笑って微笑ましそうに目を細めた。
魔女である彼女らはモノへの執着が強い。特に恋をした男性には。だからほぼ初恋で彼女らの相手は決まってしまうも同然なのだ。ミスティーのような可愛らしい娘の相手がコーネリアスでは母親としては苦い思いも頷ける。
だが姉はミスティーの様子を見て微笑んでは良い出会いをして良かったわねと相手が誰であれ喜ばしい事だと祝ってくれ、ミスティーもその言葉に嬉しそうに姉を見てはありがとう、お姉様と彼女に抱き着き喜びを分かち合った。
それからはまた大変であった。惚れ薬や記憶を有耶無耶とする薬。都合の良い縁ができるようにと直接的ではないもコーネリアスと彼女の婚約が成せるように母も姉も奔走しミスティー自身も会えない寂しさからカラスの姿となってコーネリアスとの逢瀬を重ねて仲を深めた。
……といってもカラスの姿でなのでペットのような、相棒のような友のような。不思議な関係だ。
コーネリアスがオブシディアンと名前を呼べば直ぐに飛んで行き。指を鳴らしても同じ。コーネリアスがあまりに嬉しそうに笑うものだから獣の扱いでもミスティーも構わなかった。
何度も羽を指の背で撫でてくれる感覚が心地よい。髪を梳き、愛されている錯覚にも似た感覚に浸り頬を染め乙女として喜ぶように羽ばたいてはコーネリアスに愛を示した。
それが伝わらずとも。ミスティーは良かった。
その内にコーネリアスの兄と話しがついて念願叶って見合いがなされ人の姿でコーネリアスと話しを交わし。鳴き声でなく自分の言葉で会話できる喜びに胸を熱くさせ。目が潤み頬が上気する程に幸せを噛みしめるも弱気なコーネリアスの言葉に慌てて机に身を乗り出して声をあげ。
はしたないと直ぐに席に戻り。何とかあっぷあっぷとなりつつも婚約者となる事ができた。
自分が婚約者として側につくのにもコーネリアスは理由がわからないとオブシディアンに漏らすも、嫌悪からではなくミスティーの名誉や心を慮っての事だと知りやはり彼は優しいと惚れ直しながらミスティーは想いを強く、強くとしていった。
それからミスティーはオブシディアンの時に聞いた情報をもとに大胆にもコーネリアスに自らアプローチを示し始め。心がちゃんとある。恋をしている。その相手は貴方だとコーネリアスが自覚を持ち、信用してくれるまで熱心に熱心に言葉も想いも重ねて尽くした。
コーネリアスがミスティーがカラスになっていた時にしてくれたように。
更に装いも変えた。人に嘲笑われても何を言われても変えずいた陰気な格好や背を丸めた姿勢を矯正し、少しでもコーネリアスの横に並び立てるようにと己の欠点を認めながら化粧術などでそれをカバーして女としてきちんと見られるようにまで変貌を遂げた。
周りは驚いて彼女の変わりように口をあんぐりとさせていたも、それより驚いたのはコーネリアスだ。
自分と似合いだと思い込んでいた彼女があっという間に美しく可憐な令嬢へとなってしまったのだから。
これでは余計に差は開く。困り果てた彼も彼なりに自分を変えようと数少ない友に泣きついた。
頼むから俺を最底辺の男からまともに見えるくらいに引き上げられる術を教えてくれないか、と。そうしてコーネリアスも何とか自身の見てくれや性格、背を丸めがちな姿勢を正して歩き方、喋り方などチューターを紹介してもらい必死に時間をかけつつも年下の婚約者たるミスティーに恥をかかせないように努力を重ねた。
数ヶ月。一年、二年と経ち。
彼女と彼は少しだけマシになった姿で、少しだけ距離を縮めて戸惑いながらもおずおずと手を取り合い夫婦となって共にいる。
ミスティーの押しの強さと愛に気後れしながら、オブシディアンと言う友へ幾度となく挫けそうな心の内や様々を聞いてもらいながら自分も彼女ばかりに想いを告げさせるのは不公平だと慣れない愛の詞や自分なりの考えや想いを表現し伝える術を模索しながらコーネリアスは情けなくも夫として出来得る限り彼女を愛す。
ミスティーもそんな覚束ない彼に愛を返してもらえる喜びに頬を染め、乙女らしく幾つになってもコーネリアスが病に倒れそうになっても側に居て彼へ尽くした。
やがて二人の間には子も生まれ。女の子にはミスティーから一族の秘匿とする情報が受け継がれていく。
その中には一つ彼女が付け足した注意と恋愛についての指南もあった。
「見た目に惑わされてはダメよ。確りと物事の本質を見極められるようになりなさい。……後は、そうね。弱っている時に男性に近付くのはダメ。どんな人でも途轍もなく素敵な人に見えてしまうわ。それで幸せになれるなら構わないけれど、うっかり恋に落ちるのはお母様だけでいいのよ」
そう茶目っ気溢れる表情で娘たちに教えてミスティーはコーネリアスの下へと向かい、腕を絡める。
娘たちの手前、表情を下手に崩せず照れと愛しさと困り果てた末の眉を下げた情けない顔をしながらもコーネリアスは幸せを噛み締めていた。
★コーネリアス・バゲンド
アルビノ。髪は白く色素が全体的に薄い。陽の光に弱く日傘を差す。滅多な事では昼間出歩かない。曇りや雨の日に出かける事が多い。そして令嬢のような可愛らしいデザインの傘ではなく男性用の装飾のあまりない真っ黒な傘を差して陰気な顔をして猫背でいるので評判は頗るよろしくない。睫毛も真っ白。目は赤い。光に弱く陰気な上に眩しくて目を眇めて顔を顰めてしまう事の多さから絶大なる不人気でご令嬢方から嫌われている。顔立ちは悪くはない。ただし貴族には顔立ち良いのは五万といるので平凡寄り認定されている。アルビノなので体も弱く幼い頃はよく熱を出し死にかけていた。ミスティーの家に婿入りし、魔女の秘薬のおかげで短い寿命が僅か程度延びた。しかしコーネリアス自身はその事を知らない。
☆ミスティー・ヤードランド
鴉の濡羽色の黒髪、紫水晶の瞳。化粧でわざと隈を作り近寄り難い雰囲気としている。顔立ちはあまりよくない。雀斑もあるし鼻も唇も小さいと本人は気にしているもコーネリアスからすれば身を乗り出し見た顔は可愛らしいご令嬢そのもの。化粧でカバーできるくらいのもの。コーネリアスに惚れてからは化粧を姉から学び他の魔女たちにも教えを頂き、姿勢も矯正した。今は平凡寄りくらいにはマシになった。みてくれのみ控えめに控えめにしているのに魔女との噂が立ち本人はドキドキしてた。陰気な色も卒業しコーネリアスと共に歩いても指差されたり陰口をもらわれたりしないよう明るい色の服も着るし流行りの形のアクセサリーなどもおねだりするように。ただしねだるのはそこまで高値ではなくお手頃、コーネリアスの瞳の色のアクセサリーが多い。カラスや猫に化けられる。魔女の家系の人。