パリ・プラージュ
パリ・プラージュとは、「諸事情でバカンスに行けないパリジャン・子供たちに憩いの場を」というスローガンのもと、海のないパリにビーチ “Plage”が出現するという、2002年から行われている恒例のイベントで、毎年7月と8月にパリ中心のセーヌ河岸で一時的に人工ビーチを作るというものだ。
フランスの都市の住民は、夏に海辺や地方に避暑する慣習がある。天候が暑苦しく湿度が高いためパリは避暑地としては向いていないが、反対に、パリ中心部は観光客が多くなるので、多くの観光に携わるパリ市民(ホテル、カフェ・レストラン関係者、土産物店など)がパリに残ることをどうしても余儀なくされる。このパリ・プラージュの計画は、暑苦しい市内でバカンスに行けない子供たちを楽しませるため、当時市長だったベルトラン・ドラノエ氏によって促進された。
最初は、右岸にビーチが1つ設置された。2006年には、左岸に2つ目のビーチが加えられ、イベントの名前が単数から複数形に変更された。
川岸にある車道が砂のビーチに取って代わられ、様々なイベントが行われた。この本物の砂のビーチは海岸沿いの白い砂浜を想像させるだけではなく、実際、水着姿で日焼けを楽しむ人たちで賑わった。又、パラソルあり、チェアーあり、ヤシの木も加わって別空間を現出していた。ただ、フランスの多くのビーチとは異なり、トップレスでの日光浴は禁止されている。セーヌ河で泳ぐことも、安全上の理由で禁止となっている。
しかし、2017年に、残念ながら運搬にコストが掛かるのとリサイクルが困難の理由からこの砂が姿を消し、芝生や木片の足場に変更された。
パラソルの下、チェアでくつろぐ人々
参加型イベントスペースではエアロビクス、ダンスや太極拳、ペタンク、クライミング、ヨガなどの幅広いスポーツを各所で楽しむことができる。子供用に遊具が設置されたスペースもあり、巨大塗り絵コーナーがあったりもする。又、巨大チェスで若者と手を合わせる高齢者の姿も見掛けられる。私の友人は写真奥にあるゲーム台に陣取って、このシンプルなゲームが気に入ったと見え、暫く時を忘れて遊び呆けていた。
子供たちはゲームに興じている
始まる前まで「パリにビーチなんて滑稽だ」と嘲笑われたというこの企画は、大成功を収め訪問客は年々増加し、毎シーズン新しい呼び物が追加されている。会場となる場所はセーヌ河岸(芸術橋 Pont des Arts〜シュリー橋 Pont de Sullyあたり)に加え、市の北東19区にあるラ・ヴィレット地区の貯水池などにも広げられた。
セーヌ河岸でバカンスを楽しむ人たち
暑い日に嬉しいミストシャワー