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僕の世界の中心は妖精です  作者: 眠りたいだけ
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1話 ~仮面~

この世の中は腐っている。皆が皆、何枚もの仮面を被って生活し、自分の事しか考えない、自己的な奴等ばっかだ。見える物を信じるばかりで、その奥を見ようとしない。


「おい、シュウ!まだ汚れてるぞ!お前はそんな事も出来ないのか!」


と言って、お腹を何回も蹴られる。まだ6歳の僕に抵抗の術は無く、必死に声を殺して耐える。


「あと10分で終わらせろ!良いな!!」


この孤児院の院長も、いつも笑顔で優しく振舞っているけど、本当は子どもを差別して、暴力を振るう様な奴だ。だけど、[いつも笑顔で優しい院長]という仮面を被っているから、院長がこんな事をしているなんて、誰も考えない。


「返事は!?」


「…はい」


院長は、僕を大きく蹴り飛ばして去って行った。


『シュウ…』


『シュウ、大丈夫?』


『……』


「…大丈夫だよ」


と答えて、廊下の雑巾がけを再開する。時間に間に合わなければ、もっときつい事をされるからだ。

なぜ僕がこんな目に遭っているかというと、"見える"から。

僕は産まれた時から、色んなものが見えた。空に漂う色んな色をした小さな粒とか、"妖精"と呼ばれるものとか。僕がその妖精達に手を伸ばすと、妖精も僕の手を掴んだので、幼い僕はキャッキャと笑った。

夜泣きもしない僕を両親は可愛がっていた。手のかからない、良い子だと。それから僕は成長して、言葉を話せる様になり、色んな妖精達とお喋りもできる様になった。

しかし、その時から両親は僕を気味悪く思う様になり、暫くしてこの孤児院に入れられた。妖精達が皆に見えないと知ったのは、その時だった。はたから見れば、僕はひとり言を言っている様に見えるのだろう。突然空中に向かって話しかけて、突然笑う。皆そんな僕を気味悪く思い、僕から離れていった。


それでも、僕は別に構わなかった。そんな利己的な人達よりも、優しい妖精達といる方が、楽しかったから。今も、顔を上げれば心配そうな顔をした妖精達がいる。一番最初に話しかけてくれたのが、エミ。次がレクタ。何も言わなかったけど、心配そうに見つめていたのが、ベス。他にも、たくさんの妖精達が僕の事を心配してくれる。


だから、決めたんだ。僕は人間なんか信じない。妖精達の為に生きるって。

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