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終電とナンパ

作者: そらひま

寒空1人で歩く夜。

隣の駅の友達の家で喋り倒した故に逃した終電。

たった一駅を国道沿いに歩くこの時間。

女の子が1人で夜歩くなんてってお母さんに叱られそうだが、この無駄な、寒い、騒音が鳴る静かな時間がひっそりと好きだったり。

世界を歩くのは私しかいないみたいな気持ち、うっかり歌でも歌っちゃうぜ。ちょっと気分はいいので、アイドルものを歌ってやろう。思い出せないのはふふんふんでいいんだよ1人なんだから。

「ふふんふふふ〜もっと〜わったっしっをっ好きになれ〜♪」

「お姉さん気分良さげだね」

びっくりして振り返る。

世界には私だけじゃなかったのか!?

「えっ、あ、まぁ」

「飲んでるの?」

「さっきまで軽く」

「なるほどー」

ナンパか?ナンパなんだな?なんで国道沿いでナンパしてんだこの兄さん。

「お姉さんがあんまり気分良さそうで声かけちゃった」

「そうですか」

「何歌ってたの?」

「CMと有線で聞いた気がするアイドル」

「名前は?」

「それは私にも思い出せないですね」

そっちを見ないで歩いてるのに並走するなぁ、暇だし適当な曲がり道まで話し相手になってもらおう。

「おにーさん終電逃したの?」

「そーなの、それで歩いて帰ってるところ」

「タクシー乗らないんだ」

「むしろお姉さんに言いたいところ」

「私は徒歩圏内だから」

「まじで?俺も近所なんだ」

「大体の人の近所の感覚なら多分私の近所ではないですね」

「言い回しに含みがあるね」

「私時間迫ってなかったら平気で1時間は歩いちゃうから」

「足腰強すぎない?」

「腰回りサイボーグだから」

「おねーさん面白いねー!」

「ならおにーさんもなんか面白い話してよ」

「えー、特に思いつかねー、さっきおじさん拾って道中でおばあさんも拾ってお家に送り届けた話する?」

「そこそこのいい人エピソードの気配感じるから続けて、それによってはおにーさんの印象が変わる」

「今は?」

「だだのナンパ。それ以上も以下もない」

「うけるお姉さん超はっきり言う!」

「ほらほら概要だけでもいいから」

「えっとねー、この寒空の下ホームレスと言うには小綺麗なお爺さんが寝っ転がってて、どーせ終電無いし近所だし、死なれたら後味悪いわーって拾って起こして家どこー?って聞いたんだよ」

「終電逃す程度に判断力無いのに倫理観はしっかり持ってたのね」

「相槌辛口すぎん?」

「続けて」

「おっけー、したらさー、家こっちーって言う方に引きずってたら向こうからおばあさん来んの、流石に2人は無理ーって思ってたらおばあさん俺の肩見ておじいさん!って言って」

「探してくれてたの!?」

「いやコンビニ行こうとしてた」

「そんな終電すぎにコンビニ行きますかおばあちゃん」

「それな、寝ようぜ」

「痴呆症とかじゃなかった?どちらも」

「俺には判断つかないんだけど足取りしっかりしてるし会話できたからおばあさんとおじいさんとコンビニ行ってホットのレモンティー買ってもらって家まで送ってきた」

「孫じゃん」

「それなー」

「思ったより暇つぶしになりましたわお兄さん」

「そりゃ何よりですLINE教えて」

「しっかりめの駄賃じゃん。LINEはハードル高いからインスタでいい?」

「いいでしょう」

「じゃ、はいコード」

「うぇーい読みまーす」

「よし、じゃ、私こっちなんで」

「まじー?俺もそっちー」

「んなわけねーだろこの先うち以外家無いんだから」

「本当にそっちのアパートなんだよー!」

「おにーさん同じアパートなの!?いつ引っ越してきた!?」

「一昨日」

「そりゃわかんねぇわけだわ」

「これからよろしくね!」

「こちらこそー、この場限りと思ったのに飛んだミス」

「ミスなん?」

「これから次第ですね」


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