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第1話 道

さあ、新シリーズも1話!

かなり長めですが、1話で早速プロローグで冷也が取得した(というか神であるシルクがあげた)スキル、「超成長」が力を発揮します。

冷也の目的は同じ世界のアースのどこかに飛ばされたらしい、幼馴染の宮藤紫乃を見つけ出すこと。ま、他にもあるけど・・・。

投稿頻度はどうなるか分かりませんが、ゆっくりと見ていってくださいな。

さて、どうしたものか。

歩き出したは良いものの、どこへ行けば良いのか検討がつかない。

まだ日は降りてきてはいないが、その内夜になってしまう。夜になったら移動は危険だが、そうかと言って眠ってしまったら自衛の手段がなく、モンスターが襲ってきたらなす術なくやられてしまうのは目に見えている。どこか安全な場所を見つけなければ。

手紙には書いていなかったが、あの異次元袋、通称異次元ポーチの中に幾ばくかの食料、水も揃っていた。

用意がいい神さんだと感心してしまうがとりあえず飢えと渇きはしのげる。あとは住。

これさえ見つけられれば安心できるのだが。


「くっそお。さっきから森ばっかりで道すらないぞ。地味に枝とか痛いし。街があれば・・・」


人の気配すら微塵も感じない。このまま無軌道に行動していても無駄に体力を消耗するだけだし、夜が近づいてくるのも止められない。


「どっかに道なんかは・・・お?なんかちっちゃいが道があるぞ」


そこで俺は偶然にも、小さな道らしきならされた地面を見つけた。

とりあえず進んでみる。


「どこかに繋がってないかな。・・・お!これは・・・」


歩いていると急に視界が少し開けた。

そこで道は途切れていたが、そこはちょっとした草むらになっていて、奥には今まで気付かなかったが少し高めの岩崖がそびえたち、その麓、草むらのところに少し小さいが人間も十分に通れる穴があった。


「この穴は結構いいな。これで雨も凌げるし。ちょっと休憩するか」


さっきからずっと歩いていて少し疲れている。というか、食料があると言っても俺は朝、学校に行くために朝ご飯を食べて以降何も口にしていない。というか眠い。

穴に潜り込んで壁を背に座り込むと、急にどっと湧いてきた眠気に抗えず、俺は眠りに落ちた。



・・・。


「・・・おい。・・・おーい・・?」

「んん、んむ?」

「君は・・・。一体こんなところで何をしているんだい?」

「んあ・・・。やべ。つい眠っちまった。少し前に家を出て旅に出たんだけどな。道に迷っちまってこの森に入り込んだんだ。で、どう行けばいいか分からなくなって、気付いたらこの洞穴を見つけてさ。急に眠くなってきて、寝ちまったんだよ」

「そ、そうかい」

「なあ。ここはどこなんだ?」

「この穴の中か?この穴の中は、ダンジョンなのさ」

「!?」


いきなり見知らぬ人に話しかけられてびっくりしたが、見知らぬ人の方からしたら大人に少し届かない少年がダンジョンの入り口で寝てたらそりゃ危ないと声をかけにくるわけだ。


「だけど、その割に人が少なくないか?さっき来たときは誰もいなかったぞ」

「ああ、それはね。ここがダンジョンの裏口的な存在だからさ。知ってる人はあんまりいない。ま、出口でもあるんだけどね。こっちから出てくる人も入ってくる人もほとんどいない。ほら。向こうにちょっと下っていったところに転移門があるだろう?あそこからこのダンジョンの5層に繋がっているのさ」

「へえ。そうだったのか。おっさんは、このダンジョンに来たのか?」

「ああ。そうさ。このダンジョンは難しいが、レベルがそれなりに高ければ1人でもそれなりには踏破できるからね」

「じゃあ、おっさんは1人で挑みに来たのか」

「そういうこと。だけど本当の目的はそうじゃない」

「?」

「ダンジョンのここにある秘密の裏口。それは、口封じに使われることもあるのさ。こういう風にね!」

「な、お前どういうぐふっ!!」


いきなりの不意打ちに反応できず、俺はその男の体当たりを綺麗に食らってしまった。

その勢いで吹っ飛ばされ、坂を転がり落ちていく。

その先には。


「貴様の様な雑魚がこの高難易度ダンジョン5層から生還する術はあるまい。せいぜい苦しみながら死ぬがいい。はっはっはっはっは!!」

「く、くそおぉぉぉぉ・・・!!」


その男の高笑いを聞き、ようやく俺は合点がいった。

その男はシュミッツ帝国の回し者で、俺を確実に消しに来たのだと。

用無しは消えて結構だが、自分達がやってることを世間には知られたくないから雑魚は消す、ということだ。もうちょっと待遇良くしとけば問題なかっただろうに。

だがそんなことを考えても後の祭りだ。

抵抗するまでもなく、俺は2回目の転移門潜りをかました。


***

「うああああいてっ!!」


景色が変わったと思ったら、転移門に突っ込んだ勢いそのままにダンジョン内の転移門を飛び出し、一回転して尻を地面にしたたかに打ち付けた。

痛みに悶えつつ周囲を見回すと、いかにもダンジョンらしい雰囲気が満ち溢れている。

周囲にはモンスターの気配は・・・。

いや。


「グアアアアオオオオオオオ!!」

「う、嘘だろ・・・!?」


目の前にドラゴンがいた。

咄嗟に腰に吊った剣を構えるが、正直言ってこんな状況で勝てる相手だとはとても思えない。

横には転移門が鎮座しているが、今は暗く閉じている。

再使用までインターバルを置かなければならないらしい。


「こ、これは本格的にやばいな・・・」


なんとか平静さを保って入られているがそれも何でかは分からない。

というかちびりそうだ。それにドラゴンも恐らく俺用にあらかじめ配置したかタイミングよく送り込んできたのだろう。

だが。


「あんなクズ野郎どもにまんまとはめられてはいそうですかで済ませる程俺は気が弱くないんでね!」


我ながら虚勢だなと思うがここであっけなく負けて死にたくはない。せめて一矢報いたい。

だからここで、


「負けるわけにはいかねえ!!!」

『・・・アクティブスキル「弱者の咆哮」を獲得しました』

「・・・は?」


今にも攻撃しようとしているドラゴンではあるが、唐突なスキル獲得メッセージにびっくりしてしまった俺。


「グオオオオオ!」

「うおあああ!?」


それを隙と見たか、ドラゴンは口から火球を放射してきた。

それは凄まじいスピードで迫って来る。

咄嗟に、というか反射的に左へ大きく跳んで回避に成功したが、ほとんどまぐれも同じだ。

というか気になるのは「弱者の咆哮」だ。

ドラゴンに隙を見せないように素早く確認する。


「弱者の咆哮」:レベルが低いほど、ステータスにボーナスで倍率補正がかかる。(2倍〜10倍)常時発動。


単純だがそれゆえこれも規格外に強い。

というかこんなスキルをバンバン取得してしまって大丈夫なのだろうか。もしかしたら「超成長」のおかげかもしれないが。

そういえば、確かにさっきと比べて体がめちゃくちゃ軽い。スキルの恩恵だろう。

これならいける!


「まさかこんなところでドラゴンと戦うことになるとはな。だが、もう引き返せねえ。やってやろうじゃねえか!!」


これがもし武器とかを何も持っていなければいくら「弱者の咆哮」スキルがあるとは言え所詮レベル1。さすがに手詰まりだっただろうが、ここには神であるシルクが渡してくれた上質でスペックもかなり高い鋼鉄の剣がある。


「いくぜ!!」


俺は地を蹴り、再度攻撃態勢に入ったドラゴンめがけて走り出した。


***

なんと、俺が持つこの鋼鉄の剣は俺が思っている以上にものすごい性能を発揮してくれた。

まず、純粋な攻撃力がかなり高い。

攻撃を叩き込むたびにドラゴンの体力が一気にガリっと削れているのが分かる。

さらに、一定確率で攻撃した相手を麻痺させるという追加効果がある。

ドラゴンの攻撃はどれもが致命傷レベルになるため、一発をも食らうことはできない。

だがそんなときに、麻痺の付随効果はとても強力だ。

麻痺が効果を発揮すれば、その間はノーリスクで相手に攻撃をぶち込むことができる。

「弱者の咆哮」スキルによって俺のステータスはかなり強化されている。といっても所詮レベル1からの強化である以上、あとは俺の勘に頼るしかない。

だからこそ、麻痺の付随効果に助けられてここまで来た。

ドラゴンは今やその体力をかなり減らし、あと少しで倒せるというところまで来ている。

この状態になってシュミッツ帝国が増援を何一つ送ってこないのが気になるが逆にありがたい。雑魚を確実に屠るのにはこれで十分だと思っていたらしい。


「おらあっ!!」

「グギャアアアアア!!!」


さらに隙をついてもう一撃をお見舞いする。

その攻撃はドラゴンにクリーンヒットしたらしく、ドラゴンはこれまでよりも一際大きな叫び声をあげた。

だが、ここでドラゴンの様子が変わった。


「グアアアアアアオオオオオオオオオオ!!!!」

「ぬあっ!?色が赤くなった!?まさか、体力が残り少なくなって暴走したのか!」


これは厄介だ。


「グガアアア!」

「なっ早ぐは!?」


いきなり突撃してきたドラゴンに反応が間に合わず、俺は咄嗟にガードした剣ごと吹き飛ばされた。

一瞬でダンジョンの部屋の端から端まで吹っ飛び、壁に叩きつけられる。

防御が間に合わなかったら即死だっただろうが、それでも一気に体力が半分持って行かれた。

そこでまた俺の中に浮かび上がってきた言葉、それは。

「死」

俺の体力値は、すなわち俺自身のHP。

それがあと半分なくなれば、俺は死ぬのだ。所詮レベル1はこんなもん・・・

のはずだ。普通はな!

だが俺は「超成長」スキルがある。

そして「弱者の咆哮」がある。

だから、あとは俺自身の気持ちを信じるのみだ。


「集中しろ、俺・・・!」


全てのパラメータを全開にし、俺は再び、ドラゴンに向けて地を蹴った。


***それから5分。

狂ったように連続で攻撃してくるドラゴンの攻撃をよけ続けるというのは全く骨が折れるというか精神がすり減る気分だが、今の貧弱なステータスの俺にとってその一撃が即死レベルだろうから絶対に食らえない。だが俺は驚異の集中力を発揮し、攻撃の機会は作れないまでもドラゴンの攻撃を全て回避し続けていた。

そして。


「グオオオオ・・・!」

「!!今だ!」


ドラゴンが火炎ブレスを放とうとした一瞬の隙を突き、俺はその下に潜り込んだ。


「グオア!?」


ドラゴンは図体が大きいため、近くに入られると攻撃ができないらしい。

かといって前足のカギ爪で振り払われる可能性はある。

俺は素早くドラゴンの弱点、喉元に鋼鉄剣を叩き込んだ。

ドラゴンは悲鳴を上げながら大きくノックバックし、そしてその体を黄色いライトエフェクトが包んだ。

どうやら麻痺が効果を発揮してくれたらしい。


「よし!!これならあと一発だ!」


麻痺の効果の持続時間はそんなに長くない。もう少ししたらドラゴンは再び動き出し、その猛威を振るうだろう。

というわけで俺は、ドラゴンから少し距離をとり、剣を後ろに思いっきり振りかぶった。

そしてドラゴンに向けて全力疾走し、ジャンプして体を回転させ、自分の体の重さ、回転による力、腕の力、剣の威力を全てを込めた一撃をお見舞いする!!


「・・・これで終わりだあああ!!!」

「グギャアアアア!!」


振り抜いた剣はドラゴンの体をいともたやすく貫き、恐らくドラゴンの体力をすべて吹き飛ばした。

ドラゴンは断末魔の悲鳴を上げながら地面に倒れていき、ズシンと重い音を立てて倒れ伏し、そこで動かなくなった。


「ふう・・・。お、終わった・・・」


思わず俺も倒れたくなるがここはダンジョンの中だから、ほかの敵に備えて倒れるわけにはいかない。ただでさえ体力が半分も残っていないのだ。


『・・・レベルが上昇しました。新スキル「剣術」・「体術」・「身体強化・特大」・「不屈の闘志」を取得しました。新アクティブスキル「最強の器」を取得しました。レベル上限が撤廃されます』

「んあっ?」


またもやあのアナウンスみたいな声が聞こえてきたが、ドラゴンを倒したことで経験値が入り、レベルアップをしたのだろう。なら、それを見てみようか。


「どうなってるんかな?「ステータスオープン」!」


目の前に現れたステータスウィンドウを見た俺は、まさに開いた口が塞がらなくなった。


『名前:小金冷也 種族:人間 性別:男 レベル:100

体力:45135 攻撃力:22590 防御力:25605 素早さ:30120

知力:2552 器用:5025 魔力:18060 幸運:35

スキル:「剣術」 「体術」 「身体強化・特大」 「不屈の闘志」 「超成長」

アクティブスキル:「弱者の咆哮」 「最強の器」 』


身体強化・・・レベルに応じてステータスに補正がかかる。小で1.1倍、中で1.2倍、大で1.3倍、特大で1.5 倍。


不屈の闘志・・・体力が30%以下のとき、攻撃力と防御力と素早さが1.5倍になる。


最強の器・・・レベルが高いほどステータスに補正がかかる。(1.5〜3倍)また、パーティーを組んでいる時にはパーティーメンバーにもその補正がレベルに応じて同じくかかる。


知力と器用、幸運だけは低い値となっているがそれ以外はおしなべて5桁の数字が並んでいる。恐らく、ドラゴンを倒したことで得た経験値が「超成長」で10倍になったことでレベルが1から一気に100へ、そしてそれによるステータスアップも5倍になり一気にグンと上昇、さらにそれが「最強の器」プラス「身体強化・特大」の倍率効果によって3倍になったことでこのようなふざけたステータスになったのだろう。体力なんかは45000と他のよりもかなり飛び抜けている。そのかわり攻撃力や魔力は控えめのようだ(普通の人からすりゃ十分すぎる程高い)。


「確かに、これまでとは全く違う感じだな。めっちゃ軽い。とにかく、こんな有能なスキルをくれたシルクっていう神さんには感謝だな。あと経験値の糧になったこのドラゴンを送ってくれたシュミッツ帝国さんにもな」


最後は当然皮肉である。


「さて、いつまでもこのダンジョンに居るわけにもいかねえな。外に出るか・・・」


俺は、いつのまにか再び使えるようになっていた、ダンジョンの裏口である転移門に歩み寄り、そのまま飛び込んだ。

冷也:1話でドラゴンと戦わされるとかやばすぎるだろ!! 千田賀谷:いいじゃん勝てたんだし。

冷也:そういう問題じゃねえ!死にかけたんだし。 一:でも、いきなりステータスすっごいことになってたな。 竜馬:1話にしてあのステータスはさすがにやべえな。レベルもいきなり100になってたし。

一:俺たちは1話時点ではまだ1000ちょっとしか行ってなかったぞ。

冷也:そのほうがやばいって!!なんだ?なんか先天的な力でもあったのか?

一:うーん、まあそうかな。 千田賀谷:ちなみに、一の20話現在でのステータスは今の冷也よりもちょっと上。スキルによるブーストはあまりなく、レベルは100ちょい。

冷也:お前まじやべーな(呆れ) 竜馬:俺もまだまだだな・・・。

一:ま、限界突破もしたしな

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