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目覚めると、そこは保健室のベットだった。ふと横を見ると、茜と視線が合ってしまった。
「もうすぐ授業終了だね。教室に戻ろう」
茜は微笑み、僕に手を出し、手を繋ぐと、寄り添うようにして、教室に戻る。教室には、まだ、半数くらい残っていて、僕が入るとみんな一斉にこちらを見る。
すぐに僕を見つけた悪友2人が、僕の席のところでこちらに手を振る。
「一月、お前大丈夫か。美沙にぶっ飛ばされたらしいな」
卓が叫ぶと、美沙が慌てて、僕の方へ走って来た。
「ごめんなさい。助けてもらったのにあんなことして」
うつむきがちに謝る美沙。やっぱ可愛い。美沙の後方で卓と拓海が親指たたている。そういや、こいつらは僕が美沙を好きなこと知っている。僕は頭を掻きながら、
「僕は大丈夫だよ。それより美沙さんは平気?」
僕の言葉に、コクリと頷く美沙。超可愛い。もっと話したかったけど、みんなの視線が気になるので、自分の席へ行く。僕が近ずいて来るのを見て悪友2人がニタニタ笑う。こいつら、と思いながらも、知り合って2年もたたないが、色々してくれるし、僕の新しい一面を引き出してもくれた。
ふと、知り合ったときのことを思い出してしまった。
「僕が岩部卓で、こっちが川中拓海ってんだ。よろしくな」
いつも積極的に声をかけるのは、卓の方で知り合ってから、それは変わらない。2人は同じ小学校から来た友達で、岩部卓が野球部のエースで、川中拓海はバスケ部、その人気者の2人が、何で僕なんかに声をかけたんだろうと、その時は思っていた。今はその理由知っているけどね。
「一月、お前の左目って何で青いんだ」
当然口にしたのは卓だ。今もそうだが、平気で他人の気にしていることでも聞いてくる。顔を見ると悪気があるわけではなく、単なる好奇心だとわかるのだが、僕が、生まれつきで何故か青かったと言ったら、
「それって、オッドアイっていって、不思議な力を秘めているんじゃないか。なんか格好いいぞ」
僕が気にしていたことをいいように言ってくれた。すぐに、オッドアイをネットで調べ、その記事を読んでから、僕の世界が一変した。
「お兄ちゃん。一緒に帰ろう」
後ろから茜の声がして、それをきっかけに、
「それじゃ俺ら部活あるから、一月また明日な」
卓と拓海は手を振り教室を出て行った。そういえばあの2人は何で茜に告らないのだろう。友達関係がギクシャクなるからだろうか、それならばこのままの方が僕はいいな。そんなことを考えながら僕はカバンに教科書をしまい、手に下げると、茜が右腕に抱きついて来た。
茜は子供の時から、いつも一緒に歩く時は腕に抱きついてくる。流石に中学生となると恥ずかしいが、茜は一向に気にしないようだ。
僕としては、時々男性陣の視線が刺さるような気がして、離れて欲しいのだが、今日の茜はそれを許してくれない。一様心配してもらったので、僕も諦めることにした。
自分の部屋でベットに寝転びながら今までのことを考えていた。あれは夢なのだろうか。それにしては、あのぽよよ~んとした感触はリアルすぎる。けど、あの僕の剣さばきは?、今の僕には到底できるとは思えない。それなのに、あの時は、簡単に出来ると思った。夢だからか。それとも……。
僕は黒炎龍を手にしてポーズをとる。その時ドアが開き、茜と目と目が合ってしまった。茜は何も言わずに、そっとドアを閉めた。
「こらー、茜、なにか言え」
流石にそうくると僕も恥ずかしくなって、閉まったドアに向かって叫んだ。
今日からは水泳の授業が始まる。昨夜それを言いに茜は僕の部屋に来たのであった。
水泳は僕が唯一得意なスポーツで、スポーツ万能な悪友2人に僕が勝てるスポーツだ。だから水泳の授業は好きだし楽しい。ついウキウキして準備運動もおろそかにしてしまった。
僕が泳ぎ終えて上がろうとした時に右足に強い痛みを感じた。そして、水中へ沈んでいった。それをいち早く見つけたのは茜であった。
茜はみんなに助けを求め、僕をプールサイドにあげると、僕にマウスツーマウスを始めた。
僕は思いっきり水を吐き出すと、目の前で泣いている茜を見て微笑み、茜と一言弱々しく言ってから意識が閉じた。




