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料理は僕が日常食べてたもので、つまり家庭の味ってやつで、懐かしかったし、美味しかった。
十分すぎるほど満足した後、これも懐かしいコーヒーを堪能した。
「改めて自己紹介をしよう。私は極小珍高と書いてミクロ・ハルタカと読むんだ。そしてカズキ、お前の本当の父親だ」
ちょっと父親としての威厳を見せようとしたのか、最後は偉そうなそぶりを見せたが、ゴクショウ・チンコウじゃ威厳のいの字も無い。
「私は極小 五月、カズキちゃんの母です。そうそう、一月と書いてカズキって名前にしたのは、私が五月と書いてイツキって名前だがらだよ」
この親にしてこの名前か、それより今の何?、全くの理由になってないような気がするが、母親と名乗るこの人もある意味残念な人かも。
自己紹介が終わってから、ハルタカさんが過去というか、カズキにとっての過去から未来までのことを話した。
「私たちがアメリカに住んでいた頃、カズキが生まれたんだが、その頃あるカルト教団に襲われたことがあってね、危険だから、イツキさんとカズキを日本へ帰すことにしたんだ。
その時カズキはほかの誰かとすり替えられていてね、知らずにイツキさんは日本へ帰国したんだが、そのあとオレオレ詐欺みたいなのにひっかかってね、慌ててアメリカにとんぼ帰りしたんだが、その時の飛行機がね、太平洋上で爆破されたんだ」
そこでチラリとイツキさんを見て、
「イツキさんって、ほら、なんというか天然のところがあってね、間違ってオーストラリア行きの飛行機に乗ってしまったんだ。私が桜さん、知っているよね桜さん。つまりイツキの姉の桜さん」
僕はコクリと頷く。
「その桜さんから連絡もらった時は目の前が真っ暗になったよ。その後すぐにイツキさんから電話があってね『わー、お化け』って、驚いたのなんのって、生まれてから一番のドッキリだったよ」
(なんだか話が脱線して来ているぞ)そこで、話を元に戻すように催促する。
「そうそう、それを利用してね、イツキさんを死んだことにしておいたんだ。それから無事にカズキも助けられ、春和さんところで預かってもらうことにした。という訳なんだが、話はこれで終わりじゃないんだな」
ハルタカさんは一息ついてから、
「カズキ、左目の色が違うだろう」
「うん、違うけど」
「それはな、左目にナノマシンを私が入れたらそうなったんだ」
「えっ」
(お前か、お前のせいか。僕はこれのせいで……)首を締めたいところだがグッと我慢して、話の続きを待つ。
「その青い目が狙われて、カルト教団の儀式の生贄にされたんだが、その儀式が、偶然かどうか分からないが成功したらしいのだ」
また、言葉を切り、もったいぶらせてから、
「15年後、忽然と巨大隕石が現れ、地球に衝突することが分かった。それに対して政府は市民を裏切り一部の人間だけで宇宙へ脱出したんだ。こうして地球上の人類は絶滅した。いや、正確には分からないな。ひょっとしたらごく僅かに生き残った人もいたかも知れない。あれからもう12000年になる」
「母さんは。いや、桜さんたちはどうした」僕は尋ねた。
「分からない。とにかく日本中がパニック状態でね。連絡つかず、一度家に行ってみたんだが誰も居なかった」
空気が重くなり沈黙が流れた。それをかき消すように、
「それじゃ行きますか」
陽気な声でハルタカさんが壁に向かって命じると、部屋がぐらりと揺れ、浮上している感覚を感じた。




