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「帰りますか」
言葉にして、未練を断ち切り外へと向かう。
玄関のドアを開けた時異変に気がつき身構える。
「ザネイン」
僕は後ろにいるザネインの名を叫び注意を促す。外に立体映像みたいなものが現れた。それは白衣姿の男の人で、こちらを見てまるで意思でも持っているかのように言葉を発した。
「君はカズキ君だね。随分と大きくなったな」
「お前は誰だ」
僕の名前を知っていることに驚き、警戒しつつ尋ねる。
「私か……」
右手を顎に当て考える仕草をしながら、
「それは会った時に教えよう。その時のサプライズだ。会いにきてくれないだろうか。もっとすごいサプライズを用意しておこう」
場所を教えると立体映像は忽然と消えた。
僕たちは、あたりを確認してから家を元に戻して地上へと向かった。
カウンターでマチコさんに急用が出来たので失礼すると挨拶して、僕たちは教えられた場所へ飛んで向かった。
日本の中央にある巨大な湖。そう琵琶湖の湖底に来てくれと言われ、ゆっくりと沈下して行った。
ザネインのライトの呪文で周りを照らし、湖底に近づくと、人工物らしきものが見えてきた。そこへ近ずくとドアらしきものが開いたので、その中へ入る。後方でドアが閉まる音がして、徐々に水が抜かれ無くなると、今度は前の扉が開いた。
そこへ入って行くと、通路になっていて、サイドにある照明が先の先まで点灯する。
ザネインはそれを見てライトの魔法を解除する。そして二人並んで歩き出した。
黙って二人並んで歩いていると、前方にドアが見え、近づくと自動で開き、入ると、中は広い部屋で、そこにあの時の人物が立っていた。
その人は僕たちを見つけると、両手を広げニコニコ笑いしながら近づいてきた。
僕は警戒しながら相手の出方を見ていると、いきなり抱きしめられた。
「え!」一瞬、訳が分からなくなりされるがままになっていたが、抵抗して離れようとすると、今度は頭をグリグリ撫で始めた。
「やめろ。頭をグリグリするのをやめろ」僕が抵抗すると、
「父親に向かってそれは無いだろう」と、なおもグリグリする。
こりゃあかんとされるがままになっていると、やっとグリグリするのをやめ今度は、僕の耳元で、「おい、カズキ。この子お前の彼女か。誰に似たんだか手が早いな」と、囁く。
「違いますよ」と、ザネインの方を向くと、ザネインにも聞こえていたようで、
「私はヒニューデ・ザネインです。それと彼女じゃありません」と、言い返す。
それを聞いた父親?は、
「貧乳で残念」と、ザネインの胸を見る。どこかで見た光景だ。当然ザネインは胸を隠し、
「誰が貧乳で残念だ、ボケ。ヒニューデ・ザネインだ。人の名前を間違えるな。それで、お前の名前はなんだ」
と、逆襲に出る。親父?は、ちょっと考えて、おう!と、左手の掌を右手の拳で叩き、ポケットからメモ帳らしきものを出し、多分名前を書いて渡した。デジャブだ。
(嫌な予感がする)
思っていた予想が的中したようで、ザネインの顔が赤く膨れ、目には今にも涙が溢れそうになっていた。
「ぎゃははは、あんたゴクショウ・チンコウって、どんだけ受け狙ってるのよ。マジうける」
ザネインがゲラゲラ笑い、親父?はガックシと肩を落とす。その肩をザネインがバシバシ叩きいつものように無い胸をそらした。
僕は気になったのでそのメモを見るとそこにはこう書いてあった。
『極小 珍高』
確かのそう読める。そう思うとやはり僕たちは親子なのだろうかと思ってしまった。
「あら騒がしいのね」
奥のドアが開き一人の女性が出てきた。
その女性がその光景を見ると近づいてきて、ザネインをいきなり抱きしめる。
「大きくなったわねえ、カズキ」
「離してください。私はカズキじゃありません」
必死に離れようとするザネイン。
「イツキさん。その子は女の子ですよ」
親父のチンコウ?が言うと、
「あら、からかわないでくださいよ。だって、この子胸無いよ」
「私は女だ」
逃げようと必死になっているザネイン。
「僕がカズキです」
と、進んで述べると、イツキさんはザネインをポイっとして、僕を抱きしめた。
そんなコントみたいなことをしばらくしていたら、
「イツキさんご飯にしませんか。私はもう腹ペコです」
「あらやだ、私すっかり忘れてた。料理冷めちゃったかも」
イツキさんはやっと僕を解放して奥のドアの中へ入って行く。
「さあ、カズキたちも来て。食事にしよう」
チンコウ?に続いて僕たちも奥のドアへ入っていった。




