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扉を開けると、大小様々なぬいぐるみが所狭しと並んでいる。どうやらここはぬいぐるみ屋のようだ。
イルミさんはどんどん奥へ進んでいき、トイレと書かれた個室へ入り、座るような形の便器を横に捻ると、壁が開いた。
階段を下り迷路のような通路を20分くらい歩くと、また壁にはめ込まれたレリーフに触ると扉が開いた。念のため人の気配を調べると遠くの方で二つの気配がした。そのことをイルミさんに教える。
ちょうど角を曲がって数十メートル行ったところに2つの気配がある。そおっと見つからないように目視すると、兵士のような格好の人が一人立っていた。するともう一人はそこにある部屋の中だろう。そのことをイルミさんに言うと、その部屋は、罪人とかを閉じ込めておく部屋だそうだ。
怪しい匂いがプンプンしてきた。それで魔法を使い、兵士を眠らせ、その部屋に近づいた。
小窓があったので、そこからイルミさんに覗いて確認してもらう。
イルミさんは確認するとまた涙を流しながら、
「お兄様です。うさ耳をつけて無いですが間違いありません」
今度は嬉しさをこらえた涙であった。
すぐに魔法でドアロックを解除して開ける。イルミさんは部屋の奥にいる人物に駆け寄り、抱きつきながら、お兄様、お兄様、とまた泣き出した。
「泣くのはいつでも出来ますよ。それより早くここを出ないと」
私はイルミさんの肩にそっと手を乗せて言う。
「そうですね」
イルミさんは目を手で拭きながら、笑いかけ、ここを出ようと行動を起こした。
ぬいぐるみ店まで何もなく着いた。さて、これからどうしようか。考えがまとまらない。とりあえずナナカマドさんに今までのこと聞いてみようか。
「今から3日前の深夜のことです。突然僕の寝室の扉が開かれ、賊が乱入してきて、うさ耳を奪われ、僕は地下の一室に幽閉されました」
そこまで言うと、ナナカマドさんは失礼と一言言ってぬいぐるみ店の前の方へ行き、下の位置にある小さな引き戸を開け、うさ耳を取り出してつけた。
「これが無いと落ち着かなくて」
ナナカマドさんははにかんだような笑顔で言ってから先なの続きを始めた。
「首謀者はドグマ・ジル・スリークロバーです。彼は以前からフォークロバー家に変わってスリークロバー家が王家にふさわしいと考えていました。それが今回の事件の真相です。恐らく、僕の推測ですが、僕がクーデターを起こし、フォークロバー家を粛清してから、国王を殺した真犯人を僕に仕立てて、ドグマが僕を捕まえることで英雄になり、国王の座を奪う算段だと思います」
なるほど、大体の事情はわかった。しかしこれからのことを考えると、簡単では無い。なにせ軍隊があちらについているとなると力の差は歴然だ。これをなんとかしないことにはこちらに勝ち目がない。
そんな事を無い胸でじゃなく頭で考えていると、
「一般市民に本当の事を訴えましょう」
イルミさんが俄然張り切りだす。しかしどうやって市民に訴えるかと言うと、言葉が出ない。みんなが沈黙する中、ふとザネインは思い出す。
「これ貰ったんですが」
一枚のカードを出すと、それをイルミさんは受け取り、みるみる顔が綻んできた。
何か薄っぺらい四角い板を出し話し出す。遠話の魔導器だろうか。
話が終わると、さあ行きましょう、とみんなを催促して先頭を切って外へ出た。




