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僕が魔人様?  作者: ぽぷねこ
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4-6

 ♢♢♢4-6

 鬼の以心伝心って凄い。ヒトリが隣にいるように感じる。はじめてだけど簡単にできそうだ、転移の魔法。それで使って見た。

 僕はヒトリの前に現れる。それを当然ヒトリは分かっていたから、現れると同時ににこりと笑う。

 いつの間にかチスイは血を吸うのをやめ眠ってしまったようだ。

 ヒトリは両手を出してきたので、そっと起こさないようにチスイをヒトリに渡した。それを遠くから見ていたセラスが、凄い顔してダッシュして来た。そして僕の背中をバンバンと強く叩く。

「カズキ君、君って奴は奥手かと思ったらやるときはやるんだな」

 何かわけのわからないこと言って、後ろを振り向き、

「野郎ども、俺に孫が出来たぞ。今夜は宴だ」と、叫ぶ。

「いや、これは、僕の子じゃなくってね、そのう、何というか……」

「この子の名前は」セラスがヒトリに尋ねる。

「チスイ」とヒトリが答える。当然だがヒトリは全部知っている。

「チスイか。いい名だ」セラスは満悦になる。

 周りに長に孫が出来た。目出度い。宴だ。と騒ぎ出す。

 僕は必死で事情を説明しようとしているのだが全く聞く耳持たない。

「お前らなー、僕の話を聞けー」

 叫ぶも僕の話を聞くものなど誰もいない。


 今夜の宴会は盛大に行われた。

 理由は2つある。

 一つ目は明日鬼族は帰るそうです。

 二つ目はセラス(族長)に孫が出来た祝いだそうです。

(僕は諦め、そういうことにしておくことにした)

 食事は大食いのタレントだって食えないだろうと断定できるほどの量で、それでいて色々あり、超豪勢な食卓になっていた。

 ヒトリは自分の膝にチスイちゃんを乗せ料理を取ってやっている。それを見ると、チスイちゃんも料理を食べれるみたいで、これなら僕は貧血になることはないだろうと、ちょっとホッとした。

 しばらくするとお腹いっぱいになったのか、チスイちゃんはお眠に入った。ヒトリは起こさないようにそうっと抱っこしてテントの方へ歩いて行った。

 宴は今日が最後とあってか夜中まで騒ぎまくっていた。流石に僕はリタイアして、テントの方へ眠りに行った。

 テントに入るとヒトリはチスイちゃんを優しく包み込むようにして眠っていた。こうしてみると本当の親子みたいで、ヒトリも一人じゃないねと嬉しく感じた。


 朝はまた喧騒の中目覚めた。

 昨日は夜遅くまで騒いでいたのにと思うと、鬼族のバイタリティーには驚かされる。

 僕が出て行くと、朝食の準備はもうとっくに出来ていて、食事が終わった人もいた。

 セラスは僕が近づくと、

「婿殿は体力がないのう。早く寝たというのに起きるのはいつも最後だ」と、けなす。

 みんなもそれにつられ笑う。

 鬼族って奴は、陽気で、宴会好きで、面白い。こういうの悪くないなと思う。

 食事が終わると、鬼族は土産の買い物に行くそうだ。そのあと自分たちの世界に帰るから、待ってて欲しいと言われた。

 僕の方はこれといった用事もないし、ヒトリの方は両親にお別れ言いたいだろうし、僕は了承の返事をした。

 鬼族が買い物に出かけると、チスイちゃんは両手を広げ僕の方へ走って来た。うん、可愛いな。よしよしと抱きかかえると、いきなりチクリ、ちゅうちゅう音がする。これって、血が吸いたいから僕のところへ来たのか。それってどうよ、どう考えても僕は主人というより餌だよな。あとでウラギールを問い詰めよう。

 そうとは知らず、ヒトリは僕とチスイちゃんを見て、幸せそうな笑顔を見せる。

 ヒトリにとってはこの10年、孤独であったろうし、不安で寂しかっただろう。それがこうして、家族ができ、互いを信頼し、愛し合って生きていくことは夢のまた夢だったろう。そう思うと、僕はヒトリの思いに応えてやれるだろうか。また、泣かせることがあるだろうかと考えてしまう。ふと、茜のことを思い出す。

 僕の双子の妹。いつも僕を心配してくれて、そんな彼女を僕はいつも泣かせているような気がする。今度元の世界に戻れたら、茜にお礼を言おうと心に誓った。

 そんなことを考えていると、いつのまにかチスイちゃんはお眠に入っていた。僕はそっとヒトリに渡し、首をさすりながらまた物思いにふけるのであった。


 買い物が終わり皆帰る準備をしている時、シーナさんが来て、これと言って大きな袋を渡してくれた。中を見ると、色々な衣服が沢山入っていた。

 変わってセラスさんが来て、

「また10年後来るからな。今度は本当の孫を見せてくれよな。それと、ユミナをよろしくな」

 セアラスはそれだけ言うと、ヒトリの方へ行って何か話している。


 転移の準備ができ、僕とチスイを抱っこしているヒトリは、魔法陣の外で見送った。

 魔法陣が光、背丈ほどに光が上ると、一瞬にしてみんな消え去った。ヒトリは寂しそうにじっと見ていたが、僕はヒトリの肩をそっと抱き、

「10年後、また会いに来ような。そうだ、今度は僕たちの家に招待しよう。うん、そうしよう」と、ヒトリを元気付けた。

 そんな僕の不器用さに応えてヒトリはクスリと笑った。


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