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『カズキ様、折り入って相談したいことがあります』
僕のところへウラギールから念話が届いた。
どうかしたのかと尋ねると、直接お会いして話したいとのこと。そこで、試しに以心伝心を使いウラギールの元へ行くことにした。
ウラギールはフレール王国の上空で待っていると言った。それを目印に飛行する。回廊を使えば数分でつくところを、飛行でどれくらいでつけるか時間を見る。
はるか向こうにウラギールの姿を認めたのは飛行して1分も経たないうちだ。よしとばかりに更にスピードを上げる。結果2分と経たず僕はウラギールの前にいた。
僕が目の前に突然現れウラギールは驚いたようだが、気を取り直して、
「カズキ様にお願いがあります。付いて来てもらえないでしょうか」
ウラギールは空中で転移の魔法を使う。
そこは山に囲まれたところで、目の前の岩壁に手を当て呪文を唱えると、地下へ続く階段が現れた。
ウラギールは照明の魔法で照らし先頭で階段を降りて行った。
歩くこと10数分、出たところはすり鉢状になっている広場で、その中央には棺らしきものがあった。
ウラギールはそこで立ち止まり、
「私はこれ以上は進めません。どうかあの中央にある棺に眠る姫様を助けて下さい」
ウラギールは頭を下げる。
ウラギールがこんなことをするのは初めてなので少し驚いたが、僕はウラギールの願いに応えることにした。
僕は階段をゆっくりと下った。幾重にも仕掛けられている結界、今の僕には何の抵抗も感じない。
全ての結界を抜け、棺の前に立ち、そっと開ける。
真っ白い髪、それと同じくらい白い顔。黒いゴスロリの衣装がマッチして美しいと思ったが、生気を感じない、人形なのだろうかと思った。
その時目がパチリと開く。赤い瞳。そして上半身を起こして、両手を前に出して来た。
僕は条件反射的に屈み込むと、少女は僕の首に手を巻きつけて来た。僕は少女のお尻に手をやり抱っこする。そして来た道を戻ろうと階段を上る。
首にチクリと痛みが走った。その後にちゅうちゅうと吸う音が聞こえる。これって僕の血吸ってるよね。ぜってー吸ってる。慌てて階段を駆け上り、ウラギールに尋ねる。
「この子、僕の血吸ってるけど」
「おめでとうございます。その子はカズキ様を主人と認めたのです」
「え、そうなのか。なんか違うような気がするけど。それよりこの子は誰なんだ」
「その子は私が使えていた主人の娘です。どうか名前をつけてやって下さい」
「名前ないのか」
「今はカズキ様がこの子のご主人です。主人が名前をつけるのは当然なことです」
そう言われても名前をつけるって簡単なことじゃないよな。それより、今ちゅうちゅう血を吸われている状況で、考えられるわけがないよ。モワモワしていたら、とっさにピカッと光ったワードを見つけ、口にした。
「チスイ」
それを聞きとめたのか、ウラギールは、
「チスイですか。いい名前です。それでは私は用事がありますのでお先に失礼いたします」と、消えた。
このやろー、やっぱお前はウラギールだ!。と心の中で叫んだ。




