4-4
♢♢♢4-4
僕が目覚めると、目の前に、月明かりに照らされたヒトリの唇があった。薄く開かれた無防備な唇。カズキは美しいと思った。欲しいと思った。そして、そっと顔を寄せ唇に唇を合わせた。
僕が唇を離すと、ヒトリの目がパッと開き、僕が驚いていると、今度はヒトリが僕の方へ顔を近づいて唇を合わせた。それがきっかけとなり、僕はヒトリを1人の女性として求めた。手がヒトリの胸へと伸び、触れる。柔らかく弾力があり、今度は直に触りたいと思った。
2人が裸になり、抱き合い、キスをする。もっともっとヒトリが欲しい。僕の欲望は止まらず、「ヒトリが好きだ、大好きだ。僕は君とずうっと一緒にいたい」そう囁き、気分が高まっていく。
そんな初めて同士の2人を、お月様は優しい光で包み込んで、見守っていた……。
外が騒がしい。目を開けると椅子に座っているヒトリと目が合ってしまった。
「やっと起きた」
ヒトリは嬉しそうな顔で僕を見るが、僕は夜のことを思うとなんだか恥ずかしい。慌てて上半身を起こすと裸であることに気づく。
「着替えたら出てきてね」
ヒトリはそう言って外へ出ようとする。
「大切にするから。一生大切にするから……」
僕を選んでくれたヒトリ。もう二度と泣かせはしないとその時そう思った。
ヒトリはニッコリと笑い、
「はい、大切にされます」と言って、テントを出て行った。
服を着て外へ出る。
みんなが食事の準備をしていた。
僕を見つけたセラスが飛んで来た。
「やっと、主役の登場か」
嬉しそうに僕の背中を叩く。ちょっと痛い。
「夜はどうだった」
セラスがいやらしい顔して聞いてくる。僕は狼狽えていると、
「後でいいことを教えてやろう」
意味深なことを言って、「野郎ども、宴だ」と叫ぶ。
僕がテーブルに近づくと周りから、若、若、と声をかけてくる。僕のことを言っているんだろうなと思いながら、ヒトリの隣に座る。
セラスが立ち上がり、
「今日は目出度い日だ。私の娘が大人になった。みんな祝ってくれ」
おーとみんなが叫び、あちこちで乾杯する。
僕も匂いに刺激され、そういえばいつ食事したっけ、そう考えていると余計に腹が減ってきた。野菜、果物、魚に肉、バランスの良い食事で、味も僕好みだ。
食事中みんな僕のところへ挨拶に来た。おめでとうの挨拶の後、初めてはどうだったかとか、うまくいったか、とか変なことを聞く人が多かったが、あれは何だったのだろうか。
それはそうと食事はここ最近では一番の満足な食事だった。
腹が膨れ満足していると、セラスは僕とヒトリを呼び、付いてくるように言った。
「夜はうまくいったようだな」
セラスがみんなと同じようなことを聞き、ニヤリと笑う。
ヒトリはボフっと音がしそうなほど顔が赤くなる。それで鈍感な俺でも気がつく。
「な、何で」
「鬼族はそうゆうこと、分かるんだよ。それでだ、君たちにいいこと教えてやろう」
セラスが得意げに言って、シーナさんを呼ぶ。
「シーナ、頼む」
すると、セラスの様子が変わる。
「これが鬼族に伝わる能力。以心伝心だ。夫婦が心を通じて、相手の見たものや感じたものを共有出来るんだ。それだけじゃなく、腕力といった全ての能力の向上も出来る。凄いだろう。あん時、この能力を使ったんだ」
それであの時、異常なステータス値の上昇したわけか。
「これを君たちに教えよう。シーナ頼む」
シーナがヒトリに何か色々喋っている。ヒトリがコクリコクリと頷き、準備ができたようだ。
ヒトリが僕の方を見たと思ったら、体の中から溢れてくる力を感じた。これは凄いと自分の持っている力を合わせて解放すると、大地が震え、大気が乱舞した。慌ててセラスが、「それ以上はやめろ」と、注意する。
僕は力の放出を止め周りを見ると、恐怖に染まった顔があちこちにあった。
「いやはや、お前は化け物だな。それとも俺の娘との相性が抜群なのかもしれないな」
そう言って、僕の肩をポンと叩いた。




