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広場でセラスと剣を携え対峙する。何でこうなるの?僕には全く分からないのだが、彼らにとっては必要な事なのだろうと諦める。
セラスが肩に剣を載せ、僕が溜息をついていると、ビビっているとでも思ったのだろうか、「どうした。かかってこんのか」と、余裕の態度を見せる。結果しょうがないと諦め戦闘モードへ。
ダッシュして剣の間合いに入ると、連続しての攻撃、速く、鋭く、力強く、相手に息をつかせず……。それを、受け止め、いなし、躱す。
息継ぎのため一旦距離を取る。
(僕の攻撃を全て受け止めた。この人は強い)
(受けるだけで、攻撃に転じる余裕がなかった。こいつ予想以上に強い)
互いが互いの力量を認め、認めたからこそ次の手が出せず、睨みあっていた。
(しょうがない、あれを使うか)
セラスが視線を妻のシーナに向けると、シーナは軽くウインクした。
セラスがニヤリと笑う。刹那、僕の左目にセラスのステータス数値の上昇が表示される。それらの数値が全て赤く表示され、僕のステータス値を上回って上昇が止まる。
今度はセラスから仕掛けてきた。剣と剣がぶつかり合い、パワーで足元が後方へ滑る。続けての攻撃に、受けるのがやっとで後退するばかりだ。
(強い。何てパワーだ。それにスピードもある。これが鬼族の力か)
僕は打開策を見つけようとするが、隙がまるで見当たらない。それに戦い慣れている。絶対的経験値が僕には足りない。
焦りが相手の思うツボとなり、ダメージという形で返ってくる。そして体に蓄えられたダメージでボロボロになる。
(ははは、強いや。こんなのに勝てるわけがない)
諦め混じりの視線を向けると、相手の大きさが、今更ながら巨大な岩壁に見える。
もうダメかと思った時、どこからか泣き声が聞こえてきた。どこだろう、視線を彷徨わせると、シーナに抱えられているヒトリが、目を両手で押さえていた。
ヒトリが泣いている。ヒトリは僕が負けたら両親と一緒に帰ると言われた。それは良いことかもしれない。だが、ヒトリは僕を選び、一生、僕と一緒に生きようと決めたのだ。僕がいなくなったらどうするのだろう。両親が死んだら、その後はたった1人で生きていくのだろうか。そう思うと自分自身の不甲斐なさに怒りを覚えた。その時突然、頭の中に声が響いた。
『これより、バーサーカーモード発動いたします』
僕の左目に異常なくらいの数値上昇が映った。
(あなた大変です。気をつけて下さい)
シーナがセラスに注意を促す。それと同時に僕はセラスに向かって距離を詰めた。そして剣の間合いに入ると剣を振るった。その剣をセラスの剣が受け止めるが、今までと違って異常なくらいの剣圧に、セラスは弾丸のように物凄い勢いで飛んで行った。そして、ストーンヘッジの1柱に叩きつけられて止まる。
(くそ、肋骨が数本やられたか)
激痛に動けないセラスに意識の白濁しているカズキはゆっくりと近ずいて行った。
「ヒトリが泣いてる。ヒトリが泣いてる。泣かしたやつ許せない。殺す。殺す」
ブツブツと呟きながらカズキは動けないでいるセラスの元へ近ずく。そして剣の間合いに入ったところで剣を振り上げた。
セラスはもうダメだと目を瞑り諦めの境地に入ったが、剣は振り下ろされることはなかった。
ヒトリがカズキとセラスの間に立ち、両手を広ける。
「ヒトリを泣かしたやつ許さない。許さない」
カズキはブツブツと呟きながら、ヒトリの胸に倒れこんだ。




