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僕が魔人様?  作者: ぽぷねこ
19/46

3-3

 ♢♢♢3-3

 上空から教えられた王宮を見下ろしていた。

 空が白みかけた時、行動を起こした。


 ドアを蹴破り派手な音を出しながら中へ入る。

 当然部屋の主人は起き上がり誰何する。それには答えず、ズカズカと近づく。

 すると今度はアホなのかバカなのか助けを呼ぶ。

「お前はバカか。僕は廊下から入ってきたのだぞ。誰も来るわけがない」

 それを聞いた部屋の主人は顔を赤くして体を震わせ叫ぶ。

「よくもわしを愚弄したな。わしはこの城の主人ドメス・キラールだぞ」

「お前がドメス・キラール」

 カズキは右手を握り、わなわな震え、怒りの感情を抑えきれずに、

「お前が、ユトリノ・サルドールさんを殺すように言ったのだな」

「それがどうした。わしは偉いのだ。私こそがこの世界の王なのだ。だから皆、わしの言うことを聞いていればいいのだ。それをあのクズは、鬼の子を渡せと言っても、言うことを聞かない。だから殺せと言ったのだ。なぜ悪い」

 異常な思考。こいつの頭は腐っている。こんな奴は生きている価値も資格もない。カズキの心に殺意が膨れていった。

 ドメス・キラールは相手の出方を伺いながら、バルコニーの方へ少しずつ退がって行った。

 カズキは少しづつ距離を詰めて行く。

 ドメス・キラールが突然壁の方へ走り「死ね」と叫び、壁の一部を叩く。

 カズキの立っている床が消えるが、カズキに何の変化もない。ただそこに立っているだけだ。

 それを見たドメス・キラールは一瞬口を開けた阿保ズラになるが、我にかえると、これならどうかと、横の壁を叩いた。すると、カズキへ左右から槍や矢が飛んでくる。それを見たドメス・キラールはキャハハと高笑いして、死ね死ねと叫ぶが、その顔が恐怖に変わるのに時間はかからなかった。

「どうかしたのか」

 一言言ったカズキに、刺さった槍や矢は一本も無かった。

「ば、化け物」

 恐怖に叫び、ドメス・キラールはバルコニーへと出て行った。そして、下を覗くが、飛べる高さでもなく、また、こちらを見る。

「ま、待ってくれ。金が欲しくないか。いくらでもいいぞ、好きなだけ与えよう。それとも女か。好みの女を言ってみろ、すぐに用意しよう。それ以外でも、何でもいいぞ、言ってみろ」

 ドメス・キラールは必死で叫ぶ。

「それなら一つある」

「そうか言ってみろ。望みを叶えてやろう」

「それなら遠慮無く言おう。お前の命だ」

 カズキは左手を前に出すと、ドメス・キラールの体が宙に浮いた。そして、バルコニー上部の壁に貼り付け状態にする。

 カズキはそのドメス・キラールに、槍と矢を突き刺していった。淡々と無表情に……。

 そこへウラギールがやってきてカズキに近づく。カズキは気配で知り、振り向きもしないで、

「終わったのか」

「4人は私が始末しました。後の2人はアジトを殲滅させ、自爆いたしました」

 カズキは何も言わず、壁に複数の矢と槍に刺され既に死んでいるドメス・キラールを見ていた時、突然皮肉な笑みを浮かべる。そうか、そう言うことか。今自分が何故、勇者じゃなく魔人なのか得心したのだ。そうだよな、勇者がたとえ悪人だとしても、こんな事をして平気であるはずがないのだ。だから僕は魔人なのだと、今、はっきりと理解した。

 その顔を見たウラギールは、この人なら私の願いを叶えてくれるのではないだろうかと、淡い期待を抱き始めた……。

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