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僕が魔人様?  作者: ぽぷねこ
18/46

3-2

 ♢♢♢3-2

 先頭を走るムルトは右手を横に伸ばし、後方に続く仲間に止るよう指示を出した。全員が無言で足を止める。刻々と時間が過ぎていくが何も変わったことは起きなかった。

 痺れを切らしたフルキジがリーダーのムルトのところへ近寄る。

「どうした」

「分からない。気のせいかも知れない。ただ本能が警鐘を鳴らしている」

 ムルトはかつて、何度も本能に従い救われたことがある。そのことは、フルキジもよく知っていた。だからそれ以上は言葉を口にせず、周りの様子を伺っていた。

 ムルトは迷ったがみんなを呼び集めた。散開しているより、集団でいる方がいいと考えたのだ。それは相手が少数か1人だと考えたからである。もし複数の追っ手ならば、俺たちが止まっている今が絶好のチャンスのはずだ。それなのに襲っては来ない。ということは、仲間を待っているのか、それとも俺たちの行くところを追跡しているだけかも知れない。

 ムルトは1人前に出て、声を張り上げた。

「出てこい。そこにいるのはわかっている」

 闇夜に声は響き渡る。それでも相手は出てくる気配はなかった。やはり勘違いだったのだろうか、そう思った時、

「うまく気配を消していたのですがよくわかりましたね」

 ウラギールはムルトの前方にある大木の陰から姿を現した。ムルトの後方にいた人たちは素早く戦闘態勢に入る。

「私は、サクリャク・インボー・ウラギールと申します。聞いてもよろしいですかな」

「何だ」

「貴方達が、ユトリノ・サルドール国王を殺害したのですか」

「そうだと言ったら」

「我が主人の命で好きにしろと言われました。だから全員死んでもらいます」

 ウラギールは言葉を締めくくると同時に動き、前にいたムルトの首を刎ねた。驚いた事にウラギールは魔法の杖で首を刎ねたのだ。その技量からも、ただの魔法使いではないことが分かる。

「気をつけろ。奴はただの魔法使いじゃないぞ」

 フルキジは叫び、みんなに注意を促した。あのムルトが何も出来ずに一瞬でやられるとは……。フルキジは容易には勝てないことを知る。

 口笛を吹き、彼らにしか分からない合図を送る。そして、すぐに行動に移るのは彼らの優秀さを証明していた。

 ウラギールには、ほんの一瞬で行動パターンを変えた彼らの能力の高さに驚きながらも、彼らがどう出るか楽しんでいた。それは油断とかそういった類のものではなく、師匠が弟子の技量を試しているかのようなものであった。

(さあ、どうくるかね)ウラギールは相手の出方を待つ。

 闇に紛れ左右に分かれ短剣を放つ。

 短剣がウラギールへと迫るが、体へ届かず、空中で止まる。その隙をついて、正面から右手に持った三日月のような曲線をした曲刀が、ウラギールの頭部を襲うが、防御壁魔法のようなもので防がれ、頭部に届かない。ならばと左手に持った曲刀を打ち込む。

(無駄だということが分からないのか)

 ウラギールが心の中でつぶやく。その刹那、ゾクリとした冷たい水を首筋に溢されたようなヒヤリとした恐怖を感じ、後方へ飛ぶ。と同時に曲刀が振り抜かれた。

(ちっ、なんて奴だ。間一髪躱したか。これが最大の切り札だったのだがな。知られてしまってはもう通用しないだろう。これでグッと勝機が低くなったわけか)

 フルキジは切り札の魔剣が躱されたことを悔やむが、後悔を後に残すことはしない。そんなことは百害あって一利なしと子供の頃から教育されていたからだ。だから、ムルトがやられたときだって、いつかきっとくると覚悟はして、怒りを覚えるとか、そういう感情は一つもない。ただ、現状をどう打破するかだ。そのことだけ全力で考えるのみである。

 距離をとったウラギールは、あの魔剣をどうするか決めかねていた。防御壁魔法が通用しない剣。受けるとすればこの杖だが、この杖を、そういった使い方をするのはプレイドが許さない。かといって、あの剣を受け止める方法がないとなれば、やむを得ないか。ウラギールは強化魔法を杖にかけ、杖を強化した。

 また、短剣が左右より飛んできた。今度は後方へ飛び避ける。そして、短剣を放った位置へ火炎弾の魔法を放つ。続けて、今度は前の敵へ迫り、杖を相手の頭部へ叩き込む。それを受けられると、素早く後方へ退く。

 その刹那、突然フルキジの立っていた位置に火柱が上がり、フルキジが火だるまになる。

 ウラギールは作戦がうまくいき、笑みを浮かべる。ウラギールはフルキジを襲ったのは魔法の位置指定を行う為で、それにより火柱の位置指定をしたのだ。続けて左右の2人をと考えた時、ふと違和感に気づく。確か6人いたはずだ。今2人倒した。あと左右に2人。じゃ残りの2人はどこだ。危ない危ない、油断大敵だ。

 ウラギールは杖を大地に刺し、サーチの呪文を唱える。ウラギールを中心に波紋が広がり感知する。

(ほう、木に化けているのか。いや、同化しているといった方がいいか。迂闊に近ずいたら、バサリとやられるところだったか)

 ウラギールはニヤリと笑い、左手の敵に杖を振るい攻撃に出た。相手は短剣で攻撃を受けながら、徐々に後退する。後退先は……。

 上手く誘導したつもりだが接近したところで、大木ごとバサリ。木と同化していた奴が胴体を二つに分け地面に落ちる。さらにスピードを加速して後退している奴の心臓に杖を突き刺した。

 残るは2人。それを見ていた1人は木との同化をやめ、挟み討ちの形で攻撃に備える。こちらに動揺と恐怖の感情が伝わってくる。完全にこの場を支配したと感じたウラギールは、その2人に話しかける。

「君たちのアジトは何処かな。2度とこんなことがないように殲滅しなくては」

「誰が貴様みたいな化け物に教えるか」

 左手の方から声がした。慌てて、バカと右手から怒鳴る。ウラギールはニヤリと笑った。

「成る程、アジトは有るんですね」

 ウラギールは呪文を唱える。周りが霧に覆われ、2人の体が動かなくなる。まひ毒の霧にやられ動かない人に近ずき、

「あんまり男の人は好きではないですが、やむおえません」そう言って、ウラギールは、首筋に牙を当て、2人をバンパイヤの眷属にした。

 そして、2人にはアジトへ行き、仲間の殲滅。その後は、自爆するよう爆弾を渡した。


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