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魔王城へ来て一週間は立つが、スフレは意外にもここの生活に馴染んでいた。当初は、王女だから、食事だとか待遇とか色々なことに難色をつけ、文句たらたらかと思いきや、一切何も言わない。それどころかここの生活を楽しんでいるようだ。
スフレの日課は、早朝、魔王城の屋上で剣の鍛錬に始まり、軽く水浴びをしてから朝食。その食事にも文句は言わない。食後は、チチさんやザネイン、ヒトリを交えての女子会を楽しんでいる。ただちょっと難点なのは、昼過ぎ、何時も模擬戦を挑んでくることだ。最初はあの武闘大会の負けが気に入らなかったのか、ムキになって挑んで来たが、ここ数日は僕の実力を認め、お願いしますと、低姿勢で来るので、無下に断るこたができなくて困る。
こうしてなんでもない日常が過ぎていったのだが……。
深夜に、物々しい空気を感じ目覚めた僕は、僕を呼ぶ声で素早く起きた。
出口の方へ向かうと、ウラギールがそこにいて、フレール王国(スフレのいた国)の王宮が何者かに襲われていることを知らせた。僕はすぐにスフレの寝室へ向かうと、スフレは不穏な空気を感じていたのか、既に起きていた。
僕が伝えると直ぐに支度して、僕とウラギール、それとスフレの3人で先に転移した。
チチさんにはヒトリをお願いして、ザネインには回復魔法の使えるものを集め後からくるように頼んだ。
僕たちが転移したところは、城の地下室で、国王の寝室は最上階だとスフレが教え、スフレの後について国王の寝室に向かった。
王の寝室に近くにつれ、廊下に倒れている人の数が増え、寝室の前では足の踏み場がないほどになっていた。
スフレがドアを開けようとすると、中から泣き声が聞こえ、生存者がいることが分かり、勢いよくドアを開け中に入る。
中も死体がいくつもあり、国王を探すと、壁に数本の槍で串刺しになり、止められていた。その足元でうずくまって泣いている生存者が1人いた。
スフレはその人物に近づき、うずくまって泣いている人物を起こし、いろいろ質問したが、泣いてばかりで要を得ない人物に業を煮やし、頬を思い切り叩いた。
「ポルギル。あなたそれでも王子ですか」
スフレの迫力のある叫びに、ポルギルは泣き止み姉を見る。
「姉さん」
姉と呼ばれたスフレは、
「何があったのだ」
弟のポルギルに説明を求めた。
「一月前くらいから、鬼の子をよこせと、ルーマ国の王ドメス・キラールか催促が来ていたんだ」
「ドメス・キラールといえば、残虐王の二つ名を持つルーマ国史上最悪の国王ではないか」と、スフレが口を挟む。
「そう、そんな奴に鬼の子を渡してみろ、どんな目に会うかわかったものじゃない。それで父上は断っていたのだが、すると、今度はあの手この手の脅迫、いずれは強硬手段も及ぶと恐れた父上は、鬼の子をどこかに逃がそうとしていたんだ」
成る程、それで僕に鬼の子を副賞ということにして預けたわけか。
僕たちが話していると、魔術師たちが中に入って来た。そして、壁に貼り付けになっている国王を下ろスノを手伝ってもらった。流石にその時になると、気丈に振る舞っていたスフレを泣き出し、駆けつけた生存者たちも嗚咽の声が漏れていた。
許せない。ぜっていに許せない。僕は国王と出会ってからのことを思い出しながら、怒りが膨れ上がるのを止めることができなたった。
テラスの方へ行き戸を開け空中へと舞い上がる。そこには漆黒の闇がどこを向いても広がっていて、殺人者を追うのは不可能であった。そこへウラギールが近ずいて来た。
「ウレギール、分かるか」
僕は前を向きながらウラギールに尋ねた。
「北の方へ、高速に移動している人が6人います」
僕は驚き振り向く。
「分かるのか」
「はい」
「そいつら犯人なら、お前の好きなようにしろ」
「御意。ところでカズキ様は」
「僕はルーマ国のドメス・キラールのところへ行ってみる」




