第3章 鬼の子ヒトリと王女スフレ。それと僕が魔人な理由
第3章 鬼の子ヒトリと王女スフレ。それと僕が魔人な理由
「わーーーー」
魔王城全体に響くほどの絶叫を上げてしまった。当然、隣で寝ていたヒトリも起きて、目を擦っている。どうしましたかと外の方から声が聞こえてきたが、何でも無いと叫ぶ。
僕はベットの上で目を擦っているヒトリを見る。
昨日は確かにザネインのようにぺったんこの胸で、男子だと思っていたのだが……。(重要なことなので確認の意味で言います。ザネインは女性です)
胸って一晩で膨らむものだろうか。するとヒトリは女の子ってことになるのだろうか。確認したいがそれはNGだろう。
僕が今朝のことを考えていると、チチさんの声がドアの外から聞こえてきた。入ることを許可すると、勢いよくドアが開き入ってきた。
そのチチさんはテンションが高く、
「ねえねえこれどう。それともこっちかな」
今日着ていくドレスを持ってきて見せびらかせる。そんなのはどっちでも良いが、2着とも黒を基調としていて、生地が薄く、面積も少ないように感じる。キャバ嬢のような衣装だ。これを着て行くつもりなのだろうか。それなら連れていくのをやめようかとカズキは思った。
それはさておき、僕はチチさんに耳打ちして今朝のことを話して確かめてくれるようにお願いした。それをあの空気読めないポンコツ魔王は、ストレートにヒトリに聞く。
ヒトリがこくりと頷いたことで女性だと分かり結果オーライだが……。あの……、まあいいか、今回は良しとしよう。
ヒトリが女性だとわかると、僕はチチさんに今日着ていく服装をお願いした。で、これか。俺は自分の浅はかな思考を呪った。
ヒトリの服装はうさ耳をつけたバニースーツだった。
(こ、これはいい)じゃ無くって、これから王宮に行くんだぞ。これは無いだろう。こんなの国王に見られたら、俺の性癖が疑われるというか、せっかくの評価がダダ下がりになりそうだ。まずい、どうしよう。そう考えていると、あのポンコツ魔王の野郎(女性です)、能天気に早く行こうと催促する。
結局このままで出かけることにした。
先日謁見したところで、5人並んで席についていると、国王が女性を連れ、2人並んで座る。国王が最初に名乗り、そのあと女性が無視していたのを叱責し、女性に名乗るよう催促すると、渋々ながらスフレと名乗り、国王の娘であると自己紹介した。何で王女が来たのだろうと不可解に思いながら、改めてこちらも各自自己紹介した。
国王は僕の隣に座るヒトリを見て、そうかそうかと頷き、意味深な笑みを浮かべる。
自己紹介が終わると、料理が運ばれて来た。前回はあまり楽しめなかったが、今回は思いっきり楽しめそうだ。
出された料理は中華風の料理で、鶏肉のあんかけ、麻婆豆腐みたいなもの、肉団子、肉と野菜を炒めたもの、水餃子、などいろいろ、もう食べれませんというくらい食べた。
食後のお茶も美味しい。満足満足と一息ついていると、国王が僕にさらりと爆弾発言を投げてきた。
「わしの娘をもらってくれないか」
僕は口に含んだお茶を噴き出すのをやっとの思いで飲み込む。周りが騒然となるが、当の本人はうつむき何も言わない。予め決められていたのだろうと分かる。僕が理由を尋ねると、国王は、
「このおてんば娘は、自分より強い人としか結婚しないと言ってな、だから今回の武闘大会に出場して、負けたらその人と結婚するよう約束したんだよ」
そういう事か。でもいつ、この女性と戦った。僕が考えていると、その考えを汲み取って国王が、
「決勝戦のフルメタルの鎧が娘のスフレだ。しかし、わしも観ていたが、どうやって勝ったのだ。わしには分からなかったぞ」
すると、スフレも顔を上げこちらを見て、問いたげな表情になる。
「あれは、剣を避け後方に回り、首をスパーっと。守りの指輪がなければ、綺麗に首と胴が分かれていたよ」
「がははは、そうかそうか」
僕の説明に、大きな声で笑う国王。納得がいったようだ。まさかスフレに勝てる人がおるとは思わなかったよ。世の中は広いものだと言って、また嬉しそうに笑った。
その後は、国王の息子たち、つまりスフレの兄弟を連れて来て、紹介された。まるで今生の別れとでも言いたそうな感じを受けたのは、僕だけだろうか。




