表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
僕が魔人様?  作者: ぽぷねこ
12/46

2-3

 ♢♢♢2-3

 僕の番がきた。ザネインにはお金を預け、全額、僕に賭けるようにお願いしといた。

 さて行きますか。

 闘技場に入ると、すり鉢状のような形状で、観客の多さに驚いた。大歓声の中、対戦相手はニヤついていた。僕がFランクだから楽勝だとでも思っているのだろう。

「はじめ」の合図とともに、対戦者は飛びかかってきた。

 僕の目には隙だらけで、目をつぶっていても倒せそうだ。とりあえず隙だらけの胴に剣を入れる。後は相手の勢いでダメージ倍増。

 レフリーの笛で決着が告げられる。

「勝者カズキ」

 観客の歓声とともに笑いが起きヤジが飛ぶ。

「おい、あいつFランクに負けたぞ」

「Bランクとか書いてたけど、実はFランクでしたってオチじゃないのか」

「ぎゃははは、ちげえねえ。あれはFランクだな」

 負けた対戦者は、がっくし肩を落として去って行った。

 次の対戦までは当分時間ありそうなので、ザネインのところへ行ってみた。ザネインを見つけると、背中に羽でも生えて飛んでいるような状態だった。

 そのザネインが僕の方へ駆けてきて、Vサイン。たんまり入った袋を見せる。

 次の対戦までの間、腹ごしらえをしようと、露店を見て回った。

 串刺しの肉、フランスパンみたいなパン、それとスープを買い、店の横の椅子に座り食べる。

 串刺しの肉はスジ肉でちょっと硬いが、醤油をベースにしたような味付けは悪くはなかった。パンはフランスパンを少し重くしたようなもので、そのせいか、もさっとした味で、これだけでは食べずらかった。それをあっさり目のスープで喉に流し込むと、意外と食欲が進んだ。パンとスープの組み合わせは、ここでは絶対かもしれない。


 腹も膨れ満足したところで、トーナメント表を確認しに闘技場の方へ行く。

 トーナメント表を見ると、一回戦半数は終わっていた。勝ち上がってきたのは、みなAランク者で、番狂わせだったのは僕だけのようだ。


 2回戦のアナウンスが流れ始まる。

 僕は2戦目で、相手は当然Aランク、それも常に上位に入る強者だそうだ。これで、今大会のAランク者の強さが測れるだろう。ちょっと楽しいかも。


 アナウンスで呼ばれ闘技場の中へ入り、対戦者と対峙する。

 流石に初戦と違って隙がない。

「はじめ」の合図で戦いが始まるが、初戦のように、馬鹿みたいに突っ込んではこない。こちらの技量を測っているようだ。この辺がAランクということか。僕も様子を見ていると、左目に数値が現れ、数値が上昇する。

 STR 800→1200

 DEX 650→800

 VIT 750→900

 AGI 800→1150

 INT 500→850

 数値の上昇には驚いたが、どれも危険的な数値には程遠いところで止まる。

 対戦者がじれたのか、左手一本で剣を持ち、リーチを活かした戦法で、腕を伸ばし突きで突進してくる。これはフェイクだ。こちらがどう受けるか技量を試してのことだろう。さて、どうしようかな。そう考えている間に剣は目と鼻の先に迫っている。なおも避けないでいるから、対戦相手は踏み込んではいけない領域、つまり、相手の剣の届く範囲にまで踏み込んでしまった。受けるのではなく、ギリギリのところで避けたため、対戦相手はミスしてしまったのだ。当然、僕の剣は隙だらけの体にめり込んだ。

「勝者カズキ」

 番狂わせの一戦で、観客の歓声が盛り上がった。


 ザネインのところへ行くと、金貨の袋が大山になっていた。流石にこれはカッパギ過ぎだな。ザネインに言って、今度から一袋ずつ賭けることにした。

 3回戦は昼過ぎになるので、お金もあるし、美味しいものでも食べに行くことにした。

 時間帯が時間帯なのであちこちでいい匂いがする。さてどこにしよう。選り取り見取りでかえって迷ってしまう。しばらく、ウロウロキョロキョロしていると、小さな女の子が近ずいてきた。

「ねえ、お兄ちゃん達。お腹減ってない」

 僕の服を引っ張りながら、見上げている。すごく可愛い。つい頭をなでなでしてしまった。

「あっ、ごめん」

 つい頭を撫でたことを謝り、

「僕たち食事をしたいと思っているんだけど、どこかいいところ知っているか」

 少女はニッコリして、

「私のお母さんのご飯、美味しいよ。こっち」

 少女に手を引っ張られて行ったところは、小さく粗末な建物で、中も狭かった。少女は、

「私のお母さん。料理はとっても美味しいの」

 と、嬉しそうに紹介してくれた。その人は、笑顔で軽く挨拶すると、

「何にしましょうか」

 と、注文を聞く。僕は何が良いかわからないので、ご飯ものがあれば、それのお勧めをお願いした。ザネインも同じものを注文した。

 出されたものは、丼もので、ご飯の上に煮込んだ肉をのせたものだった。味は、肉が柔らかく、ご飯にも煮込んだ汁が染み込んでいて、意外にもというか想像以上に美味しかった。

 満足した食事のお礼を言って、闘技場へ。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ