試練の前に
「おーやっとあからさまな扉が出て来たな……長かった、本当に長かった」
現在の階層は百階。時折階層ボスのような魔物が現れるようになったが整えた装備と地道に上げていたレベルと試行錯誤で乗り切りここまできた。というかな最初の最初で挑む迷宮じゃないなこれ……いや挑みたくて挑んだわけじゃないが。
「……あーこれは言語が古すぎるのか俺には読めないな。アーシェ読めるか?」
言語理解はあくまで現在主流となっている言語が分かるようになるだけのスキル。昔の古代文字や特殊な言語まで分かる物ではない。さすがにまだ古代言語までは手を出していなかったためアーシェに尋ねた。
「私の時でも古かったけどまだ使われていたから大丈夫……『ここまで来たりし概念に目覚めた覚醒者よ。ボクの名前はエルアーク・フィムズ。ボクもまた覚醒者である。この扉を開けた先で身魂の試練を行う。今までと同じだと待っているのは死だと心得よ』って書かれてる」
「身魂か。ようするに全身全霊で挑めって事だな……まあ開ければと言う事は開けなければ好きなだけ準備が出来るって事だから甘えさせてもらおう」
……にしてもエルアーク・フィムズ全く聞いたことがない名前だな。ここまで大規模な迷宮を作れるほどの者なら名前ぐらい残っていても良さそうなのだが……まあ純粋に古すぎる時代の者で記憶が失われていても不思議じゃないが。
「なら最大まで魔力供給してほしい」
「うん?魔力供給なら……」
「実は結構減ってる、ステータスを見れば一目瞭然」
名前 アーシェ・マルク
レベル 87
年齢 119
性別 女
職業 防衛術師
称号 耐久者
属性 (概念属性・凍結)
体力 1280
力 254
耐久 780 (8100)
器用 323
俊敏 429
魔力 1760
スキル:感情凍結・物理凍結・座標凍結・侵食凍結・感覚凍結・視界認識・空間認識・自己凍結・凍結任意解除・(概念の加護(凍結補正))・氷属性魔法・氷属性魔法強化・詠唱破棄・凍結条件解除・高速魔力回復・魔力貯蓄(8000/20000)
「おい何に使った?」
「さっき敵が出た時に少し魔法を使ったから、それ」
「一万以上は少しじゃない」
「敵が手強かったから」
「……キィ、キィ」
……高速魔力回復で常に回復しているのにこれだけ消費された状態って事は……よし気にするのはやめよう明らかに過剰攻撃だろうと思ってもレティアもやれやれと言う感じでジェスチャーをしているが俺の方にもほらほらと促してくる始末。
結果なぜか俺がアーシェに膝枕をして魔力を供給する謎の図。
俺はもう超がつくほど鈍い振りをしているしアーシェも自覚していない。がレティアからすればアーシェが気持ちを自覚し俺がそれに気付き応えれば帰らないのではないと考えたようで画策し始めたのがきっかけ。厄介な事に魔力供給は触れなくてもできるが触れたほうが格段に効率が良いのが何とも。
「えへへ」
嬉しそうに笑みを浮かべているアーシェ……本当これで自覚してないのだから困った物。
にしてもこうしていると小鳥が俺の太ももの上で寝るのを好んでいたのを思い出す。撫でてやれば寝ぼけつつもすり寄ってきてくれて……どうして俺はこいつにあいつを重ねるのか必要以上に。
「サトリ辛そう、どうかした?」
「なんでもない、ちょっと昔の事を思い出しただけだ……ほら供給終わったから起きろよ?」
「う、うん」
アーシェは納得しきっていなかったが誤魔化しつつ供給を終える。レベルが上がらなくてもスキルが増える事があるためステータスを確認しておく。もちろんレティアのも。
名前 サトリ・シキノ
レベル 92
年齢 17
性別 男
職業 魔術式師
称号 テイマー
属性 (概念属性・知識欲)
体力 904
力 381
耐久 458
器用 892(10800)
俊敏 812
魔力 992
スキル:言語理解・収納保存・術式瞬間構築・体外魔力使用技法・隠蔽術・麻痺耐性・毒耐性・魔力瞬間圧縮・(概念の加護(知識補正))・複数構築・遠隔構築・多重並列思考・多重統合・魔力封印無効・魔力妨害無効・魔力認識・魔力生成・魔力吸収・魔力供給・魔力分解・条件付与(魔術式)・条件発動・魔力回復補正・自己技能付与(魔術式)・体力回復補正
名前 レティア
レベル 79
種族 マンドレイク(突然変異)
性別 ♀
称号 テイム・モンスター テイマー大好き
属性 風
体力 682
力 129
耐久 215
器用 690
俊敏 3300
魔力 780
スキル:悲鳴・歌声・マンドラゴラ生成・アプリカント生成・生成物操作・毒無効・麻痺無効・沈黙無効・気配察知・魔力察知・風の加護(緊急時俊敏2倍)・円滑操作・風力操作
「んっ?レティアお前スキルが増えているみたいなんだが」
「キィ!?」
そう言うと驚いていたが実際アプリカント生成、円滑操作、風力操作の項目を見て喜んでいたからな。
アプリカント、簡単に言えば十センチ程の動くリンゴのような魔物みたいな物だったんだがレティアが迷いなく食べた。美味かったらしく俺とアーシェにも分けてきた真っ先に食べるのがこいつらしい。
実際かなり美味かったし色によって味が違った。というかこいつの生成スキルが食べ物関係に思えるのは俺だけか?
「キィ~♪」
風力操作は簡単に風を操作できるようになるようでそれを使って自分を浮かして遊んでいたな。まあレティアはかなり軽いからこそ浮くことができるのだが。正直試練の前にこんなほのぼのしていていいのかと思うが下手に抱えすぎるよりはいいかと考えつつ準備を進めていく。




