装備新調
「さてと材料は腐るほどあるし装備の新調をするぞ。さすがに色々問題だらけになってきたからな」
「うん。魔力の通りが悪い」
「ああ、正直アーシェの力押しでどうにかなったが……」
正直俺にしてもこいつにしても主力が魔力関連だがそれにしたって装備が完全に相手のレベルに釣り合ってないにも酷過ぎる事。武器らしい武器が俺の持っているナイフだけだ洒落じゃなく……あとは定期的に作る魔石の山と毒だからな。
「ちなみにアーシェのやり方を見て大体の武器のコンセプトは決まっている」
「えっ……私は氷で物理的に潰しただけ」
「キィ」
「レティアも頷いてる」
それらのモンスターは高さのある場所に直径3メートルの氷を形成して物理的に落っことすという物理技でアーシェが潰した。そう魔力に耐性があるモンスターでも魔力で物理的に発生した物質の攻撃力は無効化できない。
というかアーシェとレティアかなり仲良くなってな今じゃアーシェの膝の上に乗る事があるぐらい。まあ女同士で気が合うのだろうレティアの声のトーンと身振り手振りで意思疎通は出来ているから。
「まあ作ってから試してくれればそれで分かる。それで武器の希望はあるか?」
「武器はいると思う。だけど私は不器用だから何が扱えるか分からない……」
「あー……なるほど、それだと俺が決めた方がいいか?」
「お願い。それに服も欲しい、かな……」
「キィ!キィ!」
「あーレティアも欲しいのか別にいいぞ。その間の見張りは頼む俺はどうしてもそっちに集中しなくちゃならないからな」
「うん」
「キィ!」
特殊な効果を付与する武器の作り方なら分かる。本でも嫌というほど見てバイト先でその光景を目にしている。だが俺はその方法をそのまま行えない。
だから極限まで魔術式に集中しなくちゃならん。用意するのは大量の火の魔石で発生させる魔力の純度の高い炎。それと同様の水の魔石から作り出す水。材料は迷宮内で見つけた物をフル活用すればいい。
そして幸いなのは作り出した物の出来は作成者の器用の数値が少なからず影響する事。
名前 サトリ・シキノ
レベル 85
年齢 16
性別 男
職業 魔術式師
称号 テイマー
属性 (概念属性・知識欲)
体力 859
力 354
耐久 430
器用 840(9000)
俊敏 758
魔力 912
スキル:言語理解・収納保存・術式瞬間構築・体外魔力使用技法・隠蔽術・麻痺耐性・毒耐性・魔力瞬間圧縮・(概念の加護(知識補正))・複数構築・遠隔構築・多重並列思考・多重統合・魔力封印無効・魔力妨害無効・魔力認識・魔力生成・魔力吸収・魔力供給・魔力分解・条件付与(魔術式)・条件発動・魔力回復補正・自己技能付与(魔術式)・体力回復補正
はっきり言って器用に関してだけはちょっとしたバグだからな。水晶球を使いステータスを確認しそれを再実感。
鉱石を武器に使える金属へするところから始め金属を目的の武器への加工。その間は炎と水の魔力の純度が落ちぬように魔術式で徹底管理。あとその金属の特性を活かすための加工法の考察。
それらをこなしつつ常に魔力を供給し続ける必要もあるため魔力生成と魔力供給も必要。それに結界の類も必要だと判断し形成。そこからは不眠不休で作業した。
アーシェの武器は最終的に魔法使いが持つ事の多い杖に見せかけたメイス。見た目は青薔薇が咲いているかのようなデザインの短杖だ。だがその見た目を裏切るほどにとても頑丈。途中の階層で水・氷属性の威力を向上・増幅させる鉱石。
アーシェの概念属性の魔力とも相性が良く魔力込めれば打撃力に変換されるように調整しているため対魔力の敵に対しても効果を発揮する。
俺の方も使った鉱石は違うがアーシェのメイスと同じく魔力を込めれば切れ味が良くなるのに加え打撃力、防御力に変換する事もできる。
あとは形状変化だがそう複雑な物ではない。刃を長くして片手剣にしたり柄が長くなって槍と言ったぐらいの変化だ。見た目は刃も持ち手も黒で黄色い石の嵌ったチンクエディアだ。
服を作るのに使ったのは特殊な魔物が吐き出す下手な金属より強靭な糸と魔力を通さない特性を持つ鉱石を糸状に加工したうえで魔術式で織り上げた。染料は鉱石や魔石などで作った。実際鉱石から染料を作る事はできるからそれで布を染色。
アーシェとレティアの服を作り上げて俺も自分の防具となるコートを作成して作業が終了。で終わればよかったが他にもする事があってだな……。
「キィ!」
「変じゃない?」
「変だったら俺の責任なんだが?髪を切ったのも服の作成者も俺だがそうか不満だったか」
「そ、そうじゃなくて……ただ私が……その……慣れないだけ」
ところどころ切れてしまっていたアーシェの髪を整えた結果かなり変わった。灰色の髪を整え腰までの長さにしてハーフアップにしたことでどこか気品もある。水色の髪留めで固定。服は白のタートルネックに黒のキュロット。その上から群青色のリボンをあしらい水色の糸で刺繍したケープを羽織っている。
「あと、サトリも似合ってる」
「お世辞として受け取って置く」
最初は茶色の旅人コート(改)ぐらいにしようとしたのだが最終的に黒が基調でファーついた学者風のコートにまで進化した。
俺はシンプルにしたかったんだが一人と一匹に猛反対されたから。まあ最終的にこっちの方が調べ物する際に学者に見えたほうが言い訳がしやすいかと納得した。
「なあ。なんで俺は膝枕で寝なきゃならん普通でいいだろ普通で」
「レティアが身振り手振りでこうしたほうが良いって」
どうやらレティアの差し金らしい。その本人はいなくなっている。その申し出は普通に断り地面に横になり眠りについた。
「……やだ……なん、で……な……んで、こんなに……」
……大きな感情を感じ目を覚ました時に聞こえてきたのはアーシェの嗚咽。その感情の大半は悲しみだった。
レティアにもアーシェにも俺が異世界から召喚された勇者の外れ枠である事は話してある。俺の目的が自分の世界に帰る事である事も全て。レティアも悲しそうにはしていたが今すぐに帰れるわけではない事。帰る方法が見つかっても永住先になりそうな場所を探すことを約束した事で納得。
アーシェも表向きは納得しているように装っていた感情を凍結させてまで。凍結される前に感じたのは大きな悲しみ。まだ自覚はしていないようだがハーフエルフであるこいつの時間は長い。もっといい相手が見つかる。
だから俺は気付いていない振りをする。正直俺なんかにそんな感情を抱いた理由なんて物は分からないが感情云々に関して察しが良すぎるのも時には困り物。鈍い振りをするのも大変なのだから。




