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幸せは、その手の中に  作者: 散華にゃんにゃん
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第七章 天使強襲 13

 時は数秒前に遡る。


「来たっ!アレックス!!」

 エルシーが叫ぶと、アレックスは身構える。

 次の瞬間、ハルカの放った光の矢がアレックスに突き刺さる。

「ぬぅぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」

 アレックスは叫ぶが、痛みを感じているわけではない。莫大な天力を気合で抑え込まんとしているのだ。


 それは、初めから天使を狙った攻撃では無かった。


 天力には、保有できる量、一度に扱える量、一度に集められる量、其々に限界がある。

 ハルカの『それ』は、人間をはるかに凌駕し、中級天使にすら勝っているであろう。しかし、米兵をはじめとする周囲の人間たちに力を分け与えている現在、触手腕天使の天力量を下回っているのだ。触手腕の攻撃を捌きながら、目下の天使の動きを止め、殲滅するだけの天力は扱えなかった。それが、エルシーが『ハルカは負けない』と言った理由だ。勝つために、攻撃に割くだけの天力が足りなかった。

 そこで、エルシーはハルカの『天力を他者に分け与える力』に目を付けた。ハルカに、触手腕天使を消し飛ばせる程の天力を他者に譲渡させ、ハルカ自身は周囲の天力を集積、触手腕天使の拘束に全力を使い、攻撃は他者に任せる、といった作戦を立案したのだ。

 攻撃を任されたのは、高い潜在能力を持つアレックスであった。

 

「ぬぅぅぅぅぅぅぁぁぁぁああああ!!」 

 ズドンッ!!

 アレックスの前に巨大なスナイパーライフルのような物体が出現した。

「すごい!えらい!アレックス!!」

「はぁ……はぁ……言われるがままやっただけだが……気に入ってもらえたならばよかった……」

 アレックスはエルシーの指示の元、予め武器を具現化する準備をしていた。もちろん、天力の扱い方を知らないアレックスだけでは不可能な芸当。雨塚を『見ていた』エルシーがアレックスとリンクし、誘導したのだ。『元素転換』としては、ホタルの日本刀・ハルカの弓と同じような物だが、創り方としては、雨塚がホタルたちを創った時と同じ原理であった。

「勝手にあなたの能力の方向性を決めちゃったのは申し訳無いけど、これであの天使を倒す!!さぁ、構えて!!」

 アレックスが狙撃の体制を取る。

「イメージはちゃんと出来てる?日本のアニメを知ってたら某宇宙戦艦の主砲みたいな感じで!!」

「俺としては、某宇宙戦争アニメのバスターライ」

「それでいいからイメージしつつ、天力充填!!」

 アレックスとエルシーは集中して、ありったけの天力を込める。

 狙いは、ハルカと雨塚によって空中に固定された触手腕天使。

「もうすぐ射線が通るよ!!盾と盾が平行に見えたら撃って!!」

「OK……………………今!!!!」


 アレックスが引き金を引くと、ライフルの前方3分の2が爆散し、圧縮されていた天力が解き放たれた。

 

 眩い閃光。静寂ともとれる轟音。


 周囲の色と音が戻った時、エルシーが呟く。

「中級天使…………消滅」

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