表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
幸せは、その手の中に  作者: 散華にゃんにゃん
61/81

第六章 全人類の道標 4

 白花が桃原に語りかける。

「あなたからは、そのおじさんよりも強い力を感じます」

「わ……私?」

 桃原にはまるで実感が無かった。

「あなたの足が無事なのは、無意識に天力で守ってるからですよ?」

 その言葉に反応したのは、強盗の方が先だった。

 先程から、左手の力を入れ過ぎないようにする事を忘れていたのだ。

「な……なんだ……と?」

 改めて自らの左手を見た強盗は目を疑った。コンクリートを鷲掴みにする程の握力であっても、女子高生の足の肉が微かにも凹む様子が無い。

 そして、桃原は自分の足が掴まれている感覚が無いことに気付いた。

「イメージしてみて下さい」

 再び白花が桃原に向けて言う。

「天力は、願いや希望を具現化できる力。あなたの想像した事象を現実に起こす力。あなたはその力で、この状況を打破できるはずです」

 その言葉は、ほとんどエルシーからの受け売りであった。


 桃原は思考する。

――そんな事急に言われたって、どうすればいいの!?

 正直に言えば話にはついていけていない。

 だが、剣道で養った精神力と培った度胸がある桃原は、短く深呼吸をして冷静になる。

――でも、私にこの人みたいな力があるんだったら……

 ただ、単純に考える。

――この人よりも強いんだったら……

 大金の入ったバックを落として、左手に力を込める。

――やってやる!


 桃原は、裏拳で強盗の鳩尾を狙う。

 ドンッ! という重たい音がして、強盗の身体がくの字に曲がる。

「がはぁっ……!」

 しかし、強盗は桃原の左足から手を離さない。

――それなら!

 桃原は辺りを見渡し、強盗に捕えられた時に落とした物を探す。

 そして、一人の警官の足元に、自分の竹刀を見つけた。

 ネットで見た、手を触れずに石を浮かせていた若者の動画を思い出しながら、右手を伸ばす。

――来い!

 桃原の意思に呼応するように、竹刀が吸い寄せられる。

 その時、逆上した強盗が、桃原の身体を高く振り上げた。

「このクソガキがぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」

 地面に叩き付けるつもりだ。

 すぐさま桃原は、竹刀を自らの右手ではなく、強盗の左腕に向けさせた。


 ゴキンッ!! という骨の砕かれる音。

 宙を舞ってきた竹刀の剣先が、強盗の左椀の橈骨と尺骨を同時に破壊した。

「ああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」

 強盗の絶叫を聞きながら、空中で自由になった桃原は、右手で竹刀を掴み、上手くバランスを取って着地した。

 同時に、竹刀を真っ直ぐに構える。

 そして、すり足で近づきながら手首を返し、打つ。

「胴ぉぉぉぉぉぉぉ!」

 体に染みついた、右胴。

 ズドン! その一撃が、強盗の身体を吹き飛ばした。

 そのまま、警官達が乗ってきたパトカーへ激突し、強盗は地面に倒れこんだ。

 警官の一人が駆け寄り確認すると、強盗は気を失っていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ