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幸せは、その手の中に  作者: 散華にゃんにゃん
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第五章 二つ目の器 3

 雨塚は自らが成した事を、にわかに信じられなかった。

「俺が……君達の『魂』を……創った?」

「本人に自覚が無い事の方が驚きですけどね……。それはそれとして、光さんの得た力が尋常では無かったという事でしょう」


「君は……」

 雨塚が話し始めようとすると、ハルカが口を挟んだ。

「ハルカ」

「え?」

「なぜそんなに他人行儀なんですか? 私達はあなた様の分身、従者、いや、あなた様自身と言っても過言では無いくらいなのですよ」

 ハルカは笑顔こそ崩さないが、少し怒っているようだ。

 雨塚は再度、自分で創りだしたハルカが自らの意思で考え、話をしている事に驚いた。


「じゃあ……ハルカ。ハルカだって『あなた様』なんて言って俺を呼ぶじゃないか」

「創造主様に対して敬語を使うのは当然だと思いますけど……。では、『光さん』で統一しましょう。それで、光さんは先程何を言いかけたのですか?」


 雨塚は聞きたかった事を思い出した。

「あぁ……、ハルカはどこまで知ってるんだ? 天使や、天力の事を」

「何も存じておりません。正確に言えば、光さんが知っている事しか知りませんわ」

 ハルカはニコッと、首を横に傾けながら言った。 

「は? だって、俺がハルカ達の魂を創ったなんて、俺が知らない事を知ってたじゃないか」

「それは、光さんが無意識にした事なので。私達は光さんの記憶と光さん自身の情報を持ち合わせていますから」

「どういう事だ?」


 ハルカは満面の笑みでもって、答える。

「光さんが小さい頃泣き虫のいじめられっ子だった事でしょ。それに、小学校の高学年まで一人で寝れなかった事。中学校の時好きだった女の子に告白されたのに恥ずかしくて有耶無耶になっっちゃった事もありましたね」

「え……ちょ……」

 指を折りながら早口で話すハルカは止まらない。

「あ、高校の時は、バトミントン部の女の子の気を引きたくて、部活の後ピアノ弾いていましたねー。あれはただの迷惑でしょうに。でも良かったですね、今は、瞳さんっていう最愛の人が……」

「もうやめろ! 消すぞ!」

 凄んだ雨塚であるが、心の中は恥ずかしさでいっぱいだった。


 ハルカが少し真剣な顔つきになる。

「消されるのは困りますが、一番困るのは光さんですよ?」

「……今度は何だ?」

「光さんは今、体を失った状態です。光さんの魂は私達『器』を拠り所としなければこの世界に存在できません。ホタルさんが消滅した今、『器』は後二つ。だから、大事にして下さいね」

 ハルカは再び、雨塚に笑顔を向けた。

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