表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
幸せは、その手の中に  作者: 散華にゃんにゃん
45/81

行間 平和を望んだ少女 7

 白い化け物は光の翼を生み出し、空へ浮き上がった。

 この村の人間を全て殺して、次の街へ向かうために。


 そのつもりだった。

 ふと何かの音を感知して、白い化け物が空中で静止した。

「ぐすっ……えぐっ……」

 それが、嗚咽であることは解らなかった。

 白い化け物、後世において「天使」と呼ばれるその存在は、「天力」を用いて光や音を感知していた。

 天使に分かるのは、殴り殺したはずの小さな人間がその形を保ち、二本の足で立っている事。

 そして、その者から凄まじい天力を感じる事であった。


 原因は不明だが、少女が脅威となり得ると判断した天使は、次こそ息の根を止めるべく襲いかかる。

 少女めがけて落下しながら、右拳を固く握り、大地ごと潰そうと天力を込める。

 上空から加速しての、渾身の一撃。


 ズドン! 轟音がこだまし、周囲の瓦礫が衝撃で吹き飛ばされた。

 しかし、天使の大きな拳は、少女の小さな掌に受け止められていた。

「あなたは、何なの? 何でこんな事をするの?」

 言語は理解できなかったが、天使は少女の冷たい声から殺気を感じた。

「……ってよ……」

 少女が何か呟くが、天使には認識できなかった。

「どっか行ってよ!」

 少女が叫ぶと、少女の掌から閃光が迸り、天使の巨体が吹き飛ばされる程の爆発が生じた。


 十数メートル飛ばされた天使はすぐに体勢を立て直し、再び突進しようと構えた。

 しかし、右腕が消失している事に気付くと動きを止め、残った左手を少女に向けた。

 天力を集め、掌に炎を生み出す。

 村を焼いた程度の火力では足りない。

 少女を、明確に危険な存在だと定め、全てを焼き尽くすべく、灼熱の火球を放った。

 だが、少女は虫でも払うかのような軽い動作で、その火球を霧散させた。


 疑う余地は無い。

 その少女は、天使の振るう力、天力を扱っていた。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ