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幸せは、その手の中に  作者: 散華にゃんにゃん
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行間 平和を望んだ少女 6

 まず、何人もの倒れた騎士。

 騎士だと解ったのは、鎧を着ていたためだ。しかし、ほとんどの鎧は潰れており、一目で中の人間がどうなっているかを同時に把握した。


 次に、先程まで人間であったであろういくつかの肉の塊。

 腕や足といったパーツが見て取れるが、人の形を保っている物は無かった。


 最後に、それらの中心に立つ、見たことのない白い異形の者。

 それは人間の様な形をしているが、目や口、耳といった顔にあるはずの物は無かった。頭も丸く、髪の毛は生えていない。


 少女には『白い化け物』としか形容できない異質な存在だった。

 その白い化け物がその大きな掌で人間の頭を掴み、持ち上げていたため、大人の身長よりも大きいことがわかった。


 そして、リルにはその掴まれている人間に心当たりがあった。

「お父さん!」

 リルが大声を出すと、化け物がこちらを向いた。

 次いで、化け物に掴まれたまま父が答えた。

「リル……なのか?」

「お父さん! お父さんを放せっ!」


 リルが駆け寄るのを悟り、再び父が叫ぶ。

「ダメだ! リル! 早く逃」


 グチャッ、という不快な音がリルの耳に入った。


 頭を無くした父が地面に落ちる様子がリルの目に入った。


 立ち止まったリルの瞳から光が消えた。

「あ……あぁ……、お……お父さ……ん……」

 リルはその場で泣き崩れた。

 燃える物が無くなり、炎が消え、静寂の中に少女の泣き声だけが響く。


 白い化け物がリルに近づく。一歩ずつ、ゆっくりと。

 リルが見上げると、白い化け物はすぐ近くに迫っており、大きな右腕を振り上げていた。


 次の瞬間、丸太のように太い腕がリルを殴り飛ばした。


 少女の小さな身体が宙を舞い、崩れた家屋の中へ消えた。


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