表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
幸せは、その手の中に  作者: 散華にゃんにゃん
37/81

第四章 新たなる日常へ向かう世界 7

 時を同じくして、モンゴルでは結晶体の調査が行われていた。

 調査と言っても、人類にはまだ天素や天力を分析する技術が無いので、離れた場所から、あの黒猫の言う『天使』が再び現れないかを観察するに留まっていた。


「しっかし、あの惨状を目の当たりにしても、まだ信じられないな」

「『天使』だっけ? 空想のもんだと思っていたが、とんだ化け物だったな……。 まぁ、また出てきても『女神』」がやっつけてくれるって!」

 オルゴフとネルグイは数日前から結晶体を観察しているグループの一員である。再び白い化け物が現れた際、一刻も早く報告するために、主にウランバートル市民で見張りを立てたのだ。


 オルゴフが双眼鏡を覗きながら呟く。

「遊牧民の話だと、落ちて来た時は真っ赤だったって聞いたけど、なんで透明になったんだろうな」

「あの黒猫の話だと、地球には無い物質らしいじゃないか」

「正確に言えば、全ての物質の素だって言ってたぞ」

「まぁいいじゃないか、どちらにせよ俺らの常識は通用しなさそうだ」

「よくよく見れば、薄いピンクに見えないこともないけどな」


 ネルグイが怪訝な顔をする。

「お前、見張り始めた日に『透明過ぎてよく見えない』とか言ってたじゃねーか」

「確かにそう言ったな。でも、あれ? ピンクに見えるぞ」

「毎日双眼鏡覗いて目がイカれたんじゃないのか? 貸してみろよ」


 オルゴフから双眼鏡を受け取り、ネルグイも結晶体を観察する。

 ネルグイはしばらく双眼鏡を覗いた後、オルゴフの顔を見て問いかけた。

「最初の日から毎日写真撮ってたよな? 確認しよう」

 二人はデジカメの写真をスライドさせて比較した。

 すると。


「今まで気付かなかったけど、段々ピンク色になってないか?」

「どんな原理なんだろうな」


 二人はこの時、さほど関心を持たなかった。しかし、それから毎日、徐々に赤くなっていく結晶体を観察し続け、血のような赤色だと認識した日に、再び天使を目撃することとなる。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ