第四章 新たなる日常へ向かう世界 6
黒猫が話した内容は、インターネットの動画投稿サイトを通して瞬く間に世界中に広まった。
あれから一週間以上過ぎ、世界中の能力者が天力の扱いを理解し始めたのだろう。今までの常識が通じないような報告が後を絶たない。
陸上競技での大幅な記録更新。
素手で牢屋を破壊して脱獄した囚人。
湖の上に立つ老人。
車でも追いつけない速度で逃げた引ったくり。
それを捕まえた小学生女児。
テレビ番組は『天力』に関連した話題で持ちきりだ。
「エルシー。これってやばくない?」
白花宅でテレビを見ながら、片山が問いかける。
「私が伝えようが伝えまいがこうなってたと思うよー。それに、みんなに『天力』の存在を認めてもらわないと話が始まらないし」
「でも、このままじゃ大変な事になっちゃうんじゃ……」
白花は不安そうに呟く。
「今この星で必要なのは、天力という力の恐ろしさ、その共通認識。そして、天使に対抗しうる能力者の選別。このまま人類が、能力者を束ねる事ができなければ、天使の再来で地球滅亡エンドだし」
エルシーは黒猫の身体でゴロゴロしながら物騒な事を言う。
「天使の再来って言うけどさ、確かなの? モンゴルに現れたやつで全部って事は無いの?」
片山がもっともな質問をする。
「次の襲撃はそう遠くない未来だと思うよ」
エルシーは即答した。
「なんでそう思うの?」
「今回の天使達の襲撃は、過去と比べても大規模な侵攻だった。それこそ、確実に地球を消し去ろうとしてたと思う。でもそれが阻まれ、直接人類を滅ぼそうとした天使達も倒された。天使達にとっては予想外だったでしょうね。早急に次の一手を投じてくるはず……というか、すでに変化は現れているのだけど。奴らが諦めていないと断言できる証拠が」
白花と片山が一度顔を見合わせ、エルシーの言葉を待つ。
「それはね……」




