第三章 恐怖切り裂く光の翼 6
ホタルは一際大きな光の槍を作り、全力で投擲した。
しかし、中級天使は避けるそぶりも見せなかった。
ガキィィィィィン! と、けたたましい音が響いた。
中級天使の腹部目掛けて投げられた槍は、すんでの所で停止した。
槍の先端周囲の空間が波打つ。
おそらくは天力による防御壁。
「簡単には行きませんか……」
光の槍は中級天使の右腕によって砕かれ消滅した。
虚を突いた前回とは異なり、真正面からの攻撃は防がれた。
しかし、ホタルからは焦燥の色は伺えない。
裏を返せば、あの防御壁は常時展開されているわけでもなく、オートで発動するというわけでもないはずだ。
戦いようはある。いや、何としても倒さなければならない。
ホタルは全力で突進しつつ、右拳に天力を集中させる。
「『破岩・流星正拳』!」
音速の右ストレート。
衝突の瞬間、凄まじい衝撃波が広がり、周辺の建物のガラスというガラスが砕け散る。
しかしながら、またも防御壁に防がれた。
「それならっ!!」
ホタルはその状態から、全身を巡る天力を右手に収束。
中級天使の腹部を吹き飛ばした一撃。
「『天技・流螺旋凸』!!」
天力がホタルの右拳の一点に集中し、解き放たれる。
ズゴンッ!! と聴覚が狂いそうな程の剛音。
中級天使が地面に二本の線を描きながら後退し、踏ん張りが利かなくなったところでその巨体が吹き飛ばされた。
ついに防御壁を貫くことは無かったが、防ぎきられはしなかった。
静かに微笑むホタル。
体勢を立て直し咆哮する中級天使。
その怒号と同時に、中級天使の頭上に天力が集められる。
キィィィィィィィィン、という耳なりのような音が響く。
やがて、集められた天力が光の輪を形成した。




