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幸せは、その手の中に  作者: 散華にゃんにゃん
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第三章 恐怖切り裂く光の翼 5

 この小さな天使は簡単に倒せる。


 ウランバートル上空で下級天使達と高速のドッグファイトを繰り広げているホタルはそう確信していた。

 市民は避難できたのか、街の中心部で戦うホタルの回りに人の気配は無い。

 天力によって産み出した槍を投げ続け、幼児体型である下級天使の腹部に命中した際、下級天使は光の粒子に変わり消滅した。

 頭や腕を吹き飛ばしても再生するのは、先刻戦った中級天使と同様であった。


 だとすれば考えらる事はただ一つ。


 ホタルは天力を凝縮させ球状にし、下級天使の正面向けて放つ。

「必殺技っぽく名付けるなら、『光弾(こうだん)白閃(はくせん)爆破(ばくは)』!」

 元が中二病の雨塚であるホタルは恥ずかしげもなく叫ぶ。


 次の瞬間、天力の凝縮体が爆発した。天使達が街に放ったものとおおよその原理は同じだろう。

「やっぱりね」

 下級天使の腹部が剥がれ、赤い球状の物体が露になる。中級天使の腹部にあったものと一緒だ。


「続いて! 『(こう)(そう)鎧穿(がいせん)針樹(しんじゅ)』!!」

 中級天使の頭を吹き飛ばした光の槍。狙うは腹部の赤い球体。


 ドスッ、と槍が下級天使の腹部に突き刺さる。

 すると、ガラスの割れるような高音が鳴り響き、赤い球体が砕け散った。次いで、下級天使が光の粒子となりモンゴルの空に消えていった。

「あの赤い球体が、奴らの弱点!」


 それからは一方的な蹂躙だった。

 ホタルは下級天使達を吹き飛ばし、貫き、その数を着々と減らしていった。

 残った下級天使も街への攻撃を止め、ホタルに向かっていくが相手にならない。

 下級天使の天力による攻撃では、ホタルに傷をつけることができない。

「『剛靭(ごうじん)鉄皮鋼体(てっぴこうたい)』」


 ホタルは見た目人間と遜色無いが、その体を構成しているのは天素である。天素から人体の構成成分を作りだし構築された言わば人形。エルシーの言葉を使えば、天力の『器』であるらしいが。ホタルは自らを形作る天素から天力を放出、纏うことによって強化している。

 よって、人間や建築物を破壊する下級天使の攻撃であってもダメージは無い。

 下級天使の光弾を片手ではじき、光の剣を素手で受け止め、反対に天使達を次々光の粒子に変えていく。


 三百体程の下級天使を葬り去り、残り後僅かとなった時、地上から光が放たれた。

 直径2メートル程の、光線。


 ホタルは一瞬受け止めようと考えたが、その天力の密度を察知し全力で避ける。

 光線は青空に吸い込まれていった。


「見つけた」


 不敵に笑うホタルが見つめる先、光線の発射された場所には、メインターゲットである中級天使がいた。

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