第三章 恐怖切り裂く光の翼 4
モンゴル国で起きている白い化け物の襲撃は瞬く間に世界中で報道された。
モンゴルとの時差が一時間しかない日本では朝のニュースから大騒ぎだ。
白花 瞳は寝起きのダルさも忘れてテレビに釘付けであった。
テレビの中では、昨日の赤い隕石についてNASAも観測できていなかったとの事で専門家が愚痴をこぼしている。
そして、同じ世界で起きているとは思えないウランバートルの悲惨な光景。
「光くん……」
モンゴルに渡航している雨塚をはじめ、大学関係者の安否は不明だ。
雨塚の携帯も電波が届かないのか、電源が落ちているのか、連絡できない。
今にも泣き出してしまいそうな白花だったが、ふと何かに気付いた。
すぐに立ち上がり、玄関の方を向く。
白花が一人暮らしをしているアパートは1Kの一般的なもので玄関までは部屋から一直線。早足で廊下を歩きドアを開ける。
「都ちゃん! モンゴルが! 光くんが!」
扉を開けると片山 都が立っていた。
「えっ? えっ? あぁ……、そのニュース見て飛んできたんだけどさ」
泣き崩れる白花の背中に手を置く片山。なんと声を掛けていいかはわからない。
しかし、言葉を選びながらも、頭に引っかかる事があった。
片山は白花に連絡をして来たわけでは無い。
加えて、同じアパートに住む片山が白花の部屋に来るまでにエレベーターで2階層。
もちろん各部屋に監視カメラがあるはずもない。
足音が聞こえた可能性があるが、白花はなぜ片山が来たことがわかったのか。
片山は率直な疑問を口にしていた。
「あんた……、なんであたしが来たってわかったの?」
「え……? あれ? なんでだろう? ただ、『都ちゃんだ!』って思ったんだけど……」
「野生の勘かよ……」
呆れ気味の片山に、白花が質問を返す。
「都ちゃん、お風呂上りなの? なんか湯気がすごいよ?」
「は?」
片山は自身の体を確認する。確かに、先程シャワーを浴びたのだが、湯気など見えない。
「湯気って? あたしには見えないんだけど」
「え? なんか白い靄みたいなのが、ぶわーって……。あれ? 私からも出てる……」
白花は自分の腕や足見ながらそう言った。
片山は首を傾げる。
片山が認識できないのも無理は無い。
白花に見えている世界が、昨日までと違うのだから。




