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幸せは、その手の中に  作者: 散華にゃんにゃん
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第三章 恐怖切り裂く光の翼 2

「飛行機はまだ飛ばんのか!」


「早くしてよっ!」


「うわぁぁぁぁぁん! あぁぁぁぁぁん!」


「南無阿弥陀仏……南無阿弥陀仏……」


「皆さん! 落ち着いて下さい! 現在、この上空に多数の未確認非行物体が確認されています! 離陸した場合、当機に危険が及ぶ可能性があります!」


「このままここにいたって殺されるだけだろうがぁぁ!」


 宮内 一は無言で飛行機のシートに座り、知り合いを含めた乗客達の様々な叫びを聞いていた。

 医療援助参加者達は、あの隕石の飛来後、ただ一人を除いて無事にウランバートルまでやってきた。

 バスで一泊し、予定通り翌日のフライトを待っていたが、いざ離陸というところで町が謎の攻撃を受けたのだった。


 宮内が飛行機の外を眺めると、空を飛び交う戦闘機と白く人の形をした何かが見えた。


 あの白い化け物が市内全域に光の玉を放ち、各所で爆発や火事を起こしている。

 モンゴル国の人口のおよそ半数の人間が住むウランバートル市には、高層ビルが乱立していたのだが、数棟のビルが化け物に斬り倒されていた。


 平和な世界に生きてきた宮内は、自身で体験した事は無いが、『戦争』という言葉を思い浮かべた。

 だが、その惨状を目の当たりにしているのも関わらず、宮内には他に気掛かりな事があった。


「雨塚……無事でいてくれ……」

 握りしめた携帯電話からずっとコールしているのだが、後輩の携帯は圏外であるらしい。昨日からずっと繋がらない。

 皆でウランバートルに向かう際、宮内は最後まで雨塚が戻るまで待とうと進言していた。

 しかし、彼方から飛んできた偵察機が空中で爆発したのを目撃した上司達が雨塚以外の命を優先し、バスを発車させた。

 宮内も頭では理解できている。あのまま雨塚を待っていたら、医療援助参加者が無事ではなかっただろう。

 そして、雨塚の乗った馬が向かった先に落ちた隕石。


 あの時何もできなかった自分が憎い。


 スマホの画面に涙が落ちる。

 自分達だけ日本に帰っていいのだろうか。


 ここで死んだとしても文句は無い、と宮内が覚悟したその時。


 ゴンゴン、とノックする様な音が聞こえた。


 乗客達が一斉に窓に目を向ける。

 そこには、赤い単眼を光らせる白い化け物がいた。


「「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」」

 重なり響く悲鳴。


 その音を聞いてか聞かずか、化け物は笑ったかのような表情を作り、掌を機内に向けた。

 小児のように小さな手に光が集まる。


 乗客達には、この現象の先に起こる事がイメージできた。

 街を破壊した光弾が自分たちに向けられている。

「死っ……!」


 誰かが呟くと全員が反射的に目を閉じた。

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