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短編集

ある世界で

作者: 宛路マリ

 

 ああ、服、ボロボロだな。

 少しの羞恥と諦めの後、僕はため息をついた。

 新しい服なんて売ってはいない。


 駅前の広場のベンチで彼女を待っていた。待ち時間は何かをするにも手持部沙汰で、色々なことを考えてしまう。


 自分の着ている服は、ボロボロに擦り切れ、裾は最早原型を残さぬほどビリビリに破けてしまった緑の長袖シャツに、元々は白かったが薄汚れ土塗れになったパンツ 。冬にしてはかなり薄着だ。体自体は寒さを感じないのだが、彼女に会うのに着ている物がこのような布切れであることで、如何せん心が、心が寒い。


「おまたせ」


 俯いていた顔を上げると、目の前に彼女がいた。

 座っている僕をのぞき込む姿勢で彼女は、久しぶりだね、と少し首をかしげるようにして微笑んだ。


「…久しぶり」


 やっと、2年ぶりに彼女と会えて、心の中は歓喜に打ち震えているのに、気の聞くセリフも言えないこの口を呪った。

 なにか話題を振ろうとしたが、声はまるで何者かに遮られたかのように出すことを許されなかった。その矢先に、ゴーン、ゴーンと広場の時計台の鐘が鳴り始めた。





 広場にいた人々は、ベンチに座っていた青年を含め一斉に口を閉じ、まるで事前に打ち合わせてあったかのように男女向かい合って整列した。青年達が最後に並ぶと、丁度鐘が鳴り終わり、男性は同じ所作で一歩前に出てペアの手を取る。すぐに、どこからか曲が流れ、人々は踊り出す。

 前、後ろ、右、右、半回転、右・・・

 彼らは寸分たがわぬテンポと歩幅で踊っている。足音も完璧にそろい、彼らの間には一切の会話もない。

 だが青年は何かを考え込んでいるようだった。いつからか青年はある考えに固執するようになっていた。





(僕らは踊らされているんだ。ヤツらの手のひらの中で、楽しく、踊っているんだ。)


 目の前に見える、少し遠いビルの上層階の窓に、こちらを見ているような5人程の影が見える。中心にいるのは帽子を被った少年で───、


(ああ、なんて滑稽で・・・)


 僕の袖を彼女が軽く引っ張った。見ると不服そうに頬を膨らませている。すまないというように苦笑してみせると、彼女も笑った。


「もっと楽しもうよ」


 彼女はそういうと先程までとは打って変わり、飛び跳ねるように踊り始めた。周りの人々は依然変わらずに踊っている。僕は振り回され、ついて行くのに必死になった。彼女には振り回されっぱなしだ。今も、あの冒険の日々でも。

 あの頃彼女は、杖と僕らを楽しそうに振り回していた。


 後ろの人とぶつかりそうになったので慌てて避けた。ちらと目に入ったその人のコートは、後ろから綿が飛び出していた。同じように、グルグルと回る視界の中で盗み見るように他の住人の服装を見ると、裾が破けていたり、汚れていたりと、どこかみすぼらしい服をみんな着ているのに気がついた。

 僕だけじゃ無かったんだ。気がついているとかは関係なくて、みんな、同じようにこの理不尽な 世界 で戦っているんだ。そう思えた。やっと、この日を心から楽しめそうだった。


「また考え事してる・・・バレてるよ、もー」


 彼女がペースを落とし立ち止まったので僕も止まった。もしや彼女の気分を悪くしてしまったのだろうか。ならば謝らなければ・・・。

 彼女はしばらく怒った顔で僕を見つめていたが、だんだんとその顔をにやりとした笑みに変えていくと、手をゆっくりと僕の首に絡めて、頭一つ分低い彼女は僕に縋り付くようにして、やさしく、唇を重ねた。

 彼女はやがて元の体勢に戻ると、気恥ずかしそうに笑った。


 視界の端にさっきのビルが目に入った。彼らは少しもも変わらぬ位置に立ってこちらを見ていた。その顔はは驚いているようにも見えた。


(ああ、なんて滑稽で・・・)


 僕は彼女を抱きしめた。


(・・・なんて、楽しいのだろう!──この《世界》は!)


 すると視界の上から、白い光が降ってきた。


「雪・・・?」

「えっ!・・・わあ、ほんとだ!」


 彼女は無邪気に手を広げてはしゃいでいる。

 街のライトアップに反射しているのだろう、それは光りながら空の上から降りてくる。


 きっと初めてだろう。


 この町に雪が降る。

 この《世界》に 雪 が 、ちがう これは ゆき じゃない 。 !!!

ふっている のは まち じゃなくて 《 がめん 》 に



なにも みえ nnnnnn nn n nn



erro r

夢で見たものを書いてみました。

夢の直前に某有名ゲームの動画をみていたので確実にその影響です。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 夢日記ですか。ゴクリッ
2016/02/15 22:11 退会済み
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