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86.敗北者の末路

祝累計PV1,000万突破!

皆様、本当にありがとうございます。


女性陣が騒いでいる間、男性陣は俺達から距離を取っていた。巻き込まれたら大変だと思ったのだろう。いつとばっちりが飛んでくるのか分からないからな。


「酷い目に遭った」


「お疲れ様。着替える必要はなかったと思うけど」


精神的に辛いものがあったから着替えたんだよ。それにあのままだと外にも出れない。俺の護衛の人達なら見られたことがあるからいいが、他の会社の人達に見られたくはない。俺のイメージが崩れる。


「本気で綾先輩を負かしたい」


「ということは綾に対する罰ゲームは決めたのかな?」


「決めた。多分、これが一番綾先輩に対して効果的だと思う」


だけど実行するには俺が一位になって綾先輩を最下位にする必要がある。誰かしらの協力者は必要不可欠。もしくは俺が得意であり、綾先輩が不利なもの。そんなものがあるかは分からない。


「次は何にする?」


「折角ゲーム機も持って来たから一回は手を付けようか」


なら格闘ゲームにするか。他にも候補は色々とあるが最初ならそんなところだろう。むしろ絶好の機会だ。十二本家の連中がゲームに精通しているとは思えない。


「対戦系統にするにしても順番とかどうする? それに一人余るんだけど」


人数が奇数になっているから一人が不参加か、誰かが連続で対戦することになる。その場合の順位についても協議する必要がある。一番簡単なのは不参加者が出ることだな。


「僕が不参加になっておくよ」


「安全牌を切ったな」


「何のことやら」


勝者としての特典はないが、敗者としての罰もない。つまり欲が無ければ恥辱に塗れた罰ゲームをしなくて済む。葉月先輩としては面白ければいいのだから見ているのみでも良いのだろう。


「なら順番は」


「くじ引きにしようか。僕が適当に作るよ」


参加しない割にやけに積極的なんだよな。こういう企画的なものだと欠かせない人材ではあるのだが悪ノリの影響が色んな場所へと広がっていく。協力的な人まで加わると収拾が付かない。それが今回なのだが。


「一位と最下位は決勝と逆決勝に分けよう。二ラウンド先取で勝ち。説明書による技の確認は禁止。ルールはこんな所かな」


全員が初見である方が面白いだろう。勝ち残ればそれだけ使い慣れるだろうし、逆決勝なんかは別の意味で面白くなりそうだ。主に変な動きをする方で。しかし十二本家はゲームなんてやったことがあるのだろうか。


「一応聞いておくけど、こういったものに触れたことがある人は挙手」


手を上げたのは俺と葉月先輩のみ。やっぱりというか誰も触れたことは無い様だ。ゲームセンター自体に行けるような人達じゃないからな。ちなみに先程のルールはある程度俺に有利なものになっている。今回はガチで勝ちを狙っているのだから。


「クジ出来たよ。順番とかは気にせず適当に引いてよ」


警戒するような人物もいないから俺が一番最後に引いた。俺の相手は長月。綾先輩は凛。小鳥は水無月。ハッキリ言って誰がどうなるか今回ばかりは予想できない。


「それじゃ第三回戦開始!」


はい、俺が一位です。それなりの経験者がド素人に負ける訳にはいかないだろ。二位は水無月。意外と上手くて、コツを掴んだのか決勝では苦戦した。そして逆決勝が目の前で行われているのだが。


「滅茶苦茶適当にコマンド入力しているよな、綾先輩」


「綾がこういうの苦手だとは思わなかったね。あれかな、思い通りに動かない物は苦手とか」


あり得そうだ。コマンド入力に失敗すると技なんて出ないし、攻撃を受け続ければピヨる。先程から適当なコマンド入力をしているが何故か後ろに下がっているからな。格闘ゲームの才能ないよ。


「あっ、無敵技使って仕留めた。流石に長月は学習しているか」


何回か失敗しているのは見ていたが、相手から近づいて来ないのだから何度だってチャレンジすることは可能だ。それが上手く刺さったのだから今回ばかり種目が綾先輩と合致しなかったのだろう。


「くっ、殺せ!」


「馬鹿言うだけ余裕があるのはいいことだけど、自分がこれから何をされるのか分かっているんだよな?」


「別にどんな罰ゲームだろうとネタに走るからいいよ。はい、カモーン」


「一回休み」


「えっ」


うむ、その顔が見たかった。呆然とした表情をしている綾先輩に対して俺は笑いを堪えている。近くに葉月先輩も俺と同じような反応だ。他の面子はどういうことなのか理解していないけどな。


「次のゲームは不参加。ただ見ているだけ。もちろんアドバイスや妨害なんかも不許可だからそのつもりで」


「生殺しよ!?」


あんたに一番効きそうな精神攻撃だからな。葉月先輩がイベント企画が大好きな人に対して、綾先輩はイベントに参加することが大好きな人だ。ただ見ているだけなのは苦痛だろう。


「やっぱり琴音先輩と葉月先輩、綾姉が組むことだけは絶対に阻止しよう。碌でもないことに絶対なる」


「同意見だ。巻き込まれたら絶対に不味い」


下級生たちが何やら密談しているが安心して欲しい。俺達三人が一緒に居るのはもう半年もないのだから。大体俺は学園だと大人しい方だ。今回みたいに変な事にはならないから大丈夫だと思う。


「そもそもこの後にイベントなんてあった?」


「うーん、クリスマスに正月、バレンタインデーに卒業式と定番所だとこんなものかな。学園で何かしらやれるとしたら後者二つだけど」


「バレンタインで何をする気なんだよ?」


「特に考えていないよ。琴音が誰に渡すのかは興味あるけどさ」


「義理でも配り歩くんじゃないかな。男子女子関係なく」


世話になった人に渡す程度に考えているのだが。特定の男性に渡す気なんてないし、好きな相手もいない。一大イベントであろうが俺にとっては小イベントだ。


「私としては卒業式で葉月先輩が何かやらかさないか不安なんだけど」


「いやー、幾ら僕でも全校生徒巻き込んでやらかさないよ」


あまり信用できない発言なのだが。でも卒業式で問題行動なんて何があるだろうか。俺の予想なんて軽々と飛び越えていくような人だからな。泣くような人でもないし。


「琴音が成人したら一緒に飲もうか」


「別に断る理由はないから構わないけど。気が早くないか?」


まだ三年も先の話なのに何で今話しを振るのだろう。別に俺の予定なんて空いているだろう。問題があるとしたら学園を卒業した時の俺の立ち位置だろう。どうなるか全然想像がつかない。


「というかいつまで放心しているんだ。この人は」


「よっぽど効いたんだろうね。この話にも乗って来ないということは」


飲み会の話には絶対に乗ると思ったのに。それだけ一回休みが効いたのだろうか。俺だったら嬉々として休ませてもらうのに。だって被害が来ないのだから。


「それじゃ次のゲームを考えようか。折角だからもう一回ゲーム機で何かないかな」


「ならパズルゲームは? テトリスとか」


他にも連鎖系なんかでもいいか。四人同時の対戦系だと勝利順をどうするかで悩むし、尚且つ面子が微妙に足りない。もう一人いれば面子的に集まるのだが、今更誰かを呼ぶのもな。


「綾が休みだから人数的には丁度いいね。それじゃ先程のクジをもう一回使おう」


「次はまた絶対に琴音を狙い撃ちしてやる」


「はいはい、休みの人は黙っていてくれ」


何やら関係ない人の呪詛が聞こえてくるが負け犬の遠吠えだな。それに綾先輩が確実に一位を取れて、俺が最下位になることが確定している訳でもない。ルール制作に俺が関わった場合、それなりに有利になれるよう画策してやる。


「それじゃ第四回戦を開始しようか」


予想外に今回は俺が大苦戦。対戦相手が悪かったのが最大の誤算だな。最初に当たった相手が葉月先輩であり、連鎖に連鎖を食らってあっさりと負けてしまった。頭脳系がマジで強すぎる。だけど決勝で負けたのは何故だ。


「何であんなポカやらかしたんだよ」


「操作ミスだよ。僕だってやり慣れている訳じゃないから仕方ない。今回は小鳥君に勝利を譲るとするさ」


一回の操作ミスで計算が狂ったのもあるが、運悪く小鳥の大連鎖が決まったのが最大の敗因だろう。あれはリカバリー出来る範疇を超えているよな。


「それじゃ逆決勝を始めようか。琴音対水無月君の対決の始まり!」


格闘ゲームで決勝をやり合ったというのに次のゲームでまさかの逆パターン。水無月がパズルゲームに弱いというより肝心な所で凡ミスをやらかしたのが原因だろう。俺も人の事は言えないのだが。


「これでどうだ!」


「参った」


どちらもギリギリまで高さを作って大連鎖狙いをしていたのだが俺の方が組み立てるの早かったな。やっぱり慣れているものがこういった系統は有利だ。しかし本当に危なかった。仮に俺が負けていた場合、小鳥から何をされるか分かったものじゃない。


「それじゃ恒例の罰ゲームを小鳥君から伝えて貰おうか」


「土下座」


凄まじく冷たい声と凍るような瞳で言われて一瞬、あれは誰だと疑ってしまった。どうやら大変ご立腹なようだ。この場にいる全員が凍り付いているのが分かる。一番きついのは睨まれている水無月だろうが。


「土下座」


一歩踏み出してからの一言。やっと何を言われているのか理解した水無月だが、何か言い返そうとしていたけど小鳥の一睨みで黙ってしまった。あれは仕方ないな。


「すみませんでした」


あの水無月が素直に土下座して謝ったのには驚いた。真っ向から対抗するかと思ったけど、やはり相手が悪いと判断したのだろう。俺でも速攻で謝るような眼光だから仕方ない。


「これは面白い光景だな」


「琴音と同様に二度とお目に掛かれないだろうね。証拠は残しておこうかな」


やはり鬼畜だな、葉月先輩は。十二本家が土下座して謝っている画像なんか出回ったら一体どんな噂が飛び交うのか全く予想がつかない。俺も撮っているけど。何かに使えるかもしれないからな。


「じゃあ私も」


「これも禁止項目に入るから駄目だぞ」


「そんな殺生な」


どうせ凛が撮っているのだから後で画像を貰うことだって出来るだろ。段々と罰ゲームの写真を撮るのが恒例になってきたのだが、これは不味いのではないだろうか。主に世間体な部分で。


「記念じゃなくて黒歴史だよな、これは」


「負けられない戦いだよね。僕もここからは本気を出そうかな。特に琴音と綾からは逃げないと」


今回の勝負で俺が負けていたら小鳥に何を要求されるのかは考えない方がいいな。俺にとっての危険人物は綾先輩と小鳥だな。葉月先輩は男性だからセクハラに値することは要求して来ないだろう。


「これでゲーム大会は終了ということには」


「させないわよ。私が休みのまま終わるなんて許さない!」


やっぱり黙っていないか。しかし綾先輩はリスク度外視で強行しようとしているな。他の面子はそろそろ止まらないと不味いのではないかと思い始めているのに。凛に視線を送ってみたが静かに首を振られた。


「毒を食らわば皿までかな」


「皿程度で済めばいいんだけど」


尊厳的なものまで含まれそうなのだが。綾先輩が満足するまで止まらなそうなのだが、誰かこの人止められる人いないかな。

二次会編書き始めた頃に粛々とカウントダウン始まっていたんですよね。

記念閑話と致しまして『IF:成人式後の飲み会』を作ろうと思っています。

投稿予定は二次会編終了後を予定しています。まだ一文字も書いていませんが。

それでは皆様。今後とも宜しくお願い致します。

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