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81.二次会へGO!

サブであったはずのメインです。

二次会編始まります。


パーティーの終わりが告げられて漸くこの場から解放される。色々とあり過ぎて心労が溜まった気がする。休憩所にされたり、俺が唐突にキレたり。


「この後どうしますか?」


「琴音の部屋に集合でいいんじゃないかな。この後の予定なんて入れるつもりは微塵もないからさ」


「私も同意です。つまらない付き合いよりも楽しいお付き合いの方が大事です」


「何か私がキレた場面に出くわしている割に平気そうですね」


大体は俺が話しかけてもしどろもどろになったり、距離を置こうとするのだが。あっちに見える長月みたいに。他の面子も平気そうなのが不思議だな。


「僕達は薫で免疫が付いているから」


「最後まで行っていましたらあの時の薫に匹敵していたかもしれませんね」


恐るべし先輩。そしてそこまでキレさせた人は一体何をやらかしたんだよ。怒っている様子は葉月先輩で見慣れているが、流石にキレた場合は見たことがない。というか見たくない。


「小鳥は?」


「怒らせた人が悪いのです」


「僕は被害が来なければ何とも。以前の妖怪よりも今回の般若の方が恐ろしかったのは確かですね」


小鳥よ、悪いがあれは俺が勝手にキレただけだから。桃はやってきた場所が悪かっただけ。水無月は我関せずか。しかし般若とは。そんなに恐ろしい顔をしていたのだろうか。


「図太い人が揃っていますね」


「約一名、か細い人がいるけどね」


葉月先輩が指差す先には長月がいる。あれだけ俺に突っかかってきていたというのに、一回キレた現場を見ただけで態度が変わるとは情けない。


「こんなので跡継ぎは大丈夫なのでしょうか」


「あと一年位、琴音が揉んであげればいいんじゃないかな」


「関わり合いにならないよう努力します」


「無駄話していないで移動しましょう。面倒な方々が来る前に」


長月のことに関しては無駄と切り捨てられてしまった。さて綾先輩の本性を少しずつ見始めてきた長月だけど、俺と一緒で見る目が変わっていくだろう。この後の二次会でドン引きするのは間違いない。


「それでは私は先に帰ります」


「お出迎え宜しくねー」


その後、母を回収しようと歩いていたら話しかけられたりしたけど適当に流してすり抜ける。下手に付き合っていたら二次会に遅れてしまうからな。


「お母様、そろそろお時間です」


「もうそんな時間になったのね。楽しい時間はあっという間ですね。また今度ゆっくりとお話ししましょう」


和やかに会話を終わらせて晴れやかな笑顔でいるのはいいのだが、会話の内容は聞かない方がいいだろう。文月、長月、如月のママ友会話は俺も聞きたいとは思わない。


「お母様は大変楽しそうでしたね」


「そうですね。長月の奥様もかなりの苦労人のようで。この場では語れないことが多そうでした。今度、いつもの喫茶店で会う約束をしましたので」


店長の心労が増えるな。暴露話の域を超えた壮絶なものが出てくる時があるから。そして自分も父親であるために色々と考えさせられるのだろう。いらん心配だけど。この三人の夫が一線を画しているだけだから。


「ところで琴音は一体何をやったの。霜月のご令嬢が走り寄ってきて忠告してきた時は驚いたわ」


「理性が吹っ飛んで、キレただけです」


「何があったの……」


あまり話したくはないんだけどな。説明が難しいから。今回キレた内容はあくまで俺の事情であり、琴音とは関係ない事。如月家とも高円寺家とは繋がりが一切ないからな。


「それよりもこれからの事。皆が来る前に着替えて鍋を温めて。後は何かすることあったかな」


「貴女達にとってはこれからが本番なのね」


「当たり前」


ある意味でお嬢様としては先程までが本番。だけど個人としては二次会こそが本番なのだ。それよりもマンションの周辺は大丈夫なのだろうか。かなり心配されているようだから。


「うわ、予想よりも酷い」


「仕方ないわよ。集まる面子が面子だから。何かあったら一大事程度じゃ済まないわよ」


母が言う通りなんだけど。俺達の考えが浅はかだった。大事も大事で民間会社も凄い気合の入れようだ。何社くらいいるだろう。俺の所だけじゃないのは確かだな。


「違和感が凄い。いつもは閑散としているのに人が多過ぎる」


一応周りに溶け込もうと服装に気を遣っているのは分かるのだが、この時間帯にこれだけの人が集まるような場所じゃない。明らかにこれからここで何かが起こると教えているようなものだ。


「でもこれで馬鹿な真似をしようとする人はいないでしょうね。怪しいと思われたら即連行だから」


「一般市民の方には大迷惑だ」


何も知らない人がいきなり囲まれて何処かに連れ込まれたりしないことを祈ろう。逆に警備会社が通報されないよな。流石に庇いきれる気がしない。


「ご到着しました、お嬢様」


「お疲れ様。それじゃ私はこれで失礼する。またね、母さん」


「喫茶店でまた会いましょうね」


家でと言わない辺り、うちの家庭環境が垣間見えるな。凛からの忠告を聞き届けたかどうかは分からないが、父がいる場に母が呼ぶことは無いと思いたい。ちょっと筋トレしておこうかな。


「琴音、こっち」


車を降りたら晶さんがエスコートしてくれるのはいいのだが、明らかにやり過ぎではないだろうか。ここからエレベーターに乗ってただ部屋に向かうだけなのに。


「凄いですね、この状況」


「誰がこの状況を作ったと思っているのよ。三社合同とか規模が偉いことになったわ」


他の十二本家を担当している会社と合同となったか。他の会社に任せていいというわけじゃないからな。これで不評を買ったら担当会社が入替になる可能性だってある。ヤバい、本当に色々と大事だ。


「あっ、追加はないですよ。長月の弟には断られましたから」


「何をシレっと追加しようとしていたのよ!?」


そっちの方が状況的に面白くなるかと思って。やるならとことんとカオスに染めて行かないと。少しは反省しているけど、後悔どころか駆け抜ける気満々。


「もしかして全員こんな状態で案内する気ですか?」


「もちろん。対応が違ったら何を言われるか分からないじゃない」


そりゃそうだけどさ。だけど俺との対応の違いで文句を言いそうなのは一人しかいない。他の連中なんて警備関係なしに走ってでも俺の部屋にやってきそうなものだ。


「晶さんは私と同年代の十二本家をどう思っていますか?」


「他の連中と同じじゃないの? 琴音みたいな存在が特殊だと思っているけど。違うの?」


「なら今日でそんな幻想は崩壊しますね」


「何か恐ろしいことになりそうなんだけど」


「大丈夫です。護衛を置いてけぼりにして爆走する位ですから」


「私達にしたら大問題なんだけど!?」


護衛放棄に値するからな。幾ら護衛対象が暴走して護衛を撒いたとしても結果は同じ。過程が問われることは無い。それにこれだけの護衛会社が集まっているのだから中でそんな愚行を見せる訳にもいかない。


「何かあったらフォローしますよ。特に葉月と霜月、下手したら文月も暴走or爆走しますからね」


「ほぼ全員じゃない!?」


言われて気付いた。基本的にまともなのは長月しかいないか。それに俺の部屋に招いたこともない人達だからテンション上がるだろうな。庶民生活しているお嬢様というだけで。


「貧乏籤引きましたね」


「今からでも各担当がお出迎えするように直訴するわ」


「頑張って下さいね。多分、無駄な努力だと思いますけど」


担当している護衛の人達がそれぞれの性格を掴めていないはずがない。結局は計られたんだ。一番最初にやってくるのは部屋の主である俺であることは確定。なら一番最初に送迎を担当する人に全部を丸投げればいいと。


「それじゃ私はこれで。ファイト、晶さん」


「お願い琴音。何とか連絡取って、暴走しないように」


「無理」


そのまま俺は無慈悲に扉を閉じた。大体そんなことをしたら面白がって悪ふざけするような連中だぞ。絶対に逆効果だから。さて着替えて、準備しますかね。


「美咲。頼む」


「はい、お嬢様」


美咲は餌付けも込みで部屋で待機していた。あまり過度な餌は与えていないが、他の自由は与えている。TVの自由閲覧とかそんな所。おかげでさっさと着替えることが出来る。


「パーティーはどうでしたか?」


「窮屈だった。あとは休憩所扱いだったな。そっちの方が楽だったけど」


動かなくてもいい、知らない連中と喋らなくていい。友人達とだけ過ごす方が肩の荷も重くなく、家の責任も関係なくて大変楽だった。確かに休憩所は必要だけど、それが俺なのが納得いかない。


「お嬢様は相変らず常識外れですね」


「自覚はあるけどな」


こんななりだし。常識外れの存在なんだから、行動自体が常識から外れていても不思議じゃない。本人が言うのもおかしいけどな。さて着替えも終わったし、二次会の準備をしますか。


「美咲はどうする? 居ても居なくてもどっちでもいいけど」


「相変らず厳しいお言葉。それでしたら早急に撤退させて頂きます」


「その理由は?」


「十二本家の方々に扱き使われるのはご勘弁を。それにこれだけの方々が集まる場に私は居たくありません」


正論だな。俺だって無関係だったらそんな場に居たくはない。しかも全員の中身を知っている身としては全力で逃げ出していただろう。今は乗り気だけど。毒を食らわば皿までだ。


「手が回りそうになかったら、次回から手伝ってもらうから宜しく」


「謹んでお断り致します」


次回なんてあるかどうかは今の所、未定だけど今の内に対応は考えておかないと。俺だって他の連中の行動を読める訳じゃない。むしろ読める人がいたら教えて欲しい位だ。それに美咲が幾ら断った所で従わせる方法なんて色々とある。身を切る行為にはなるが。


「さて鍋でも温めるか」


「それでは私はこれで失礼致します」


お辞儀とかも綺麗で外から見たら侍女として優秀としか思えないのに、何で中身がこれなんだろう。いや、俺が言えたことじゃないんだけどさ。まぁいいや。エプロン付けて火をつけて、サラダでも作るか。


火を付けて、冷蔵庫から野菜を取り出し調理開始しようとしたら怒涛のチャイム連打。軽くイラッとしたがやるような人物に心当たりはある。


「うっさいわ!」


「いやぁ、お約束だと思ってさ」


扉を勢いよく開けるとそこにはドレス姿の綾先輩と凛。そして疲れ切った表情の晶さんがいた。やっぱり逃げることは出来なかった。ご愁傷様です。


「取り敢えず上がって。流石にその姿は目立つ」


「それもそうね。大丈夫、ちゃんと着替えは持ってきたから」


「お邪魔します」


紙袋の中身は着替えかよ。その割には両手が塞がっているように見えるのだが。他に一体何を持ってきたのやら。しかしドレスもその紙袋の中に入れる訳じゃないよな。この人ならやりそうだけど。


「おぉー、流石は琴音。片付いているわね」


「男性陣が来る前に着替え終わらせろよ。私はキッチンにいるから何かあったら呼んでくれ」


「あいあーい、了解」


「何で綾姉は突っ込まないの」


そりゃ同族の匂いを本能的に感じ取っていたからだろ。口調が変わっただけで行動自体はいつもの俺だし。テキパキと着替え始める霜月先輩とは反対に凛は戸惑っているな。


「別に口調が変わるのなんて可愛い方じゃない。私なんてこれよ、これ」


「それもそうね。何か納得できた」


それでいいのか妹さんよ。そして自虐ネタを持ってくる霜月先輩も大概だ。自覚しているのなら少しは抑えて欲しいものだ。こっちの苦労が増えるから。


「晩御飯は何かな~?」


「人数がいるからカレー。付け合わせはサラダ。ドレッシングは適当に選んでくれ」


流石に自家製のドレッシングではなく市販されている物だ。そこまで手間を掛けていられるだけの余裕はないと思った。予想は当たって霜月の到着がすこぶる早かった。


「それにしてもせめて着替えてから来るとか思わなかったのか?」


「うーん、さっさと向かった方が手間が省けると思ったのよね。だから軽く買い物してから来た」


「ドレス姿でコンビニに入ったらかなり注目された」


そりゃそうだろうな。時間的にまだ夕方位なのに明らかに高そうなドレスを着ている人がコンビニに入ってきたら違和感が凄い。俺ならやらないな。


「お菓子は一杯持ち込んだから安心して」


「飲み物は葉月先輩持ち?」


「力仕事は男性に任せたわ。あれなら何かしらの方法で色々と持ってきそうじゃない」


扱き使われる黒服の人達がいるからな。下手したら晶さん達がその役目を担う可能性は高いか。爆走する人に扱き使う人と本当に色々な人がいるな。


「それにしても着替えがよりによってジャージとか」


「いいじゃない。あれだけの護衛の人達がいるなら漏れることもなさそうだし」


「いなくてもその恰好だったろ」


「もちろん!」


そこは肯定して欲しくなかったな。しかも凛までジャージだし。いいのかよ、金持ちのご令嬢がそんな恰好を晒して。しかも自分の家でもないのに。


「色々と突き抜けているな」


「それは琴音も同じじゃない。その歳で一人暮らしなんて普通だったら絶対に許されないわよ。私は憧れるけど」


「気が楽なのは確かにあるけど。理由が理由だからさ。素直に喜べない」


「琴音先輩は家から追い出されたそうですけど。とてもそんな風には見えません」


「過去の私を知らないのなら仕方ないさ。ねぇ、綾先輩」


「あの頃の琴音は酷かったからね。それよりもお腹空いた!」


色々と吹っ切れすぎじゃないだろうか。まるで自分の家であるかのように寛いでいるし。一家でこれだとすると残りが集まったらこの場は一体どうなるんだよ。全然想像できないぞ。

サブシナリオで考えたはずなのに見事にメインを食ってしまいました。

何かネタもあったはずなのですがスッパリと忘れたので今回はなしです。

今回はなるべく日を空けない様に努めたいと思います。

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