表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
48/237

47.花火前の小話

47.花火前の小話


さて今回の出席者が集まった所で一旦作業を止めて集まる。やっぱり最初は乾杯から始めないと。何といっても祭りだからな。


「音頭は?」


「いらないでしょ。さっさと始めるわよ。かんぱーい!」


「「「かんぱーい!」」」


音頭って何を話す気だったんだよ、茜さん。俺に無茶ぶりとかは止めてほしい。一応部屋の提供はしているがそんな立場じゃないし。阻止してくれた佐伯先生、グッジョブ。


「さて作るか」


「私も途中でしたね」


ただ乾杯する為だけに火を止めて作業を中断したのだ。枝豆だけはすでに用意しているので大人組はひたすら食っている。空入れがいっぱいになるのも時間の問題だな。


「お好み焼きに焼きそばは出来ました」


「こっちも適当に終了です」


木下先輩が二つ作っている間に、俺は本当に適当に物を作っていた。殆どつまみ系統だけど。それでも腹が膨れるのだから構わないだろう。今日位は米よりおかずだな。


「始まるまであと四十分と言った所ですね」


「そうですね。花火を見ながら食べるよりも、今の内に食べておいた方が良さそうです」


木下先輩は黙って見る方なのかな。俺はどっちだろう。仲間達が騒ぐのでそっちに掛かりっきりになるんだよな。落ち着いて見れた記憶はない。あいつ等も見るのかな。


「枝豆おかわりー」


予想していたとはいえ、かなりハイペースだな。今回も落ち着いて見れそうにないかもしれない。主に作る方向で。平和ならいいか。


「焼き鳥作っていますけど、塩とタレのどちらがいいですか?」


「「両方!」」


はいはい、両方ですか。じゃあ半々でやっておくか。木下先輩も早速作ったものを食べている。早めに食べないとつまみとして食われるから納得するけど。俺の分も確保してほしい。


「あの方々はいつもこんな感じなんですか?」


「いっつもこんな感じですよ。その分、部屋代は貰っていますから私としては気にすることはありませんけど」


部屋代は大体おつまみ作成で消えているが、余った食材とかは全部貰っている。家計が助かるのなら俺としては何の問題もない。お金が余ったのなら預金行きだし。電気代とかもあるから。


「何というか慣れている琴音さんも不思議ですね」


「毎日ご飯を食べに来る人もいるのですから慣れますよ」


「あの、確認ですけど琴音さんは如月家の人間だったのですよね?」


「ほぉですよ」


焼き鳥頬張りながら答えるが、この姿を見たら誰だってお嬢様だとは思うまい。庶民万歳。今パーティーに出席している方々、ご愁傷さま。


「あっ、そろそろ始まりますね。色々持って窓際に移動しましょう」


「あの中に混ざるのは嫌なんですけどねぇ」


出来上がってはいないが、酔いは回っている茜さんは結構厄介だからな。空き缶の数は数えないことにしよう。片付け大変だなぁ。


「流石に瓶は冷えていないわよね」


「冷凍庫にでも入れていないと無理ですよ。危ないのでやりませんけど」


ほぼホットになっていたから冷蔵庫じゃもう暫く待たないといけないだろうな。でもそろそろ冷蔵庫の冷えている物のストックが危ない気がする。


「佐伯先生、お酒に強いんですね」


強いってレベルじゃないぞ。空き缶の数を見て木下先輩ですら若干引いている。お酒は酔わないものだと思わないで欲しいな。最初に醜態を晒す羽目になりかねないから。


「あの人の飲み方を参考にしたら駄目ですよ」


「流石に私でも分かります」


それは良かった。ぶぅぶぅ言っている二人の事は放っておこう。身から出た錆だろ。


「私はまだいい方だと思うんだけどなぁ」


「茜さん、五十歩百歩って知っていますか?」


傍から見たら茜さんだって酒豪だと思うぞ。佐伯先生に付き合えるだけで十分に凄いんだから。酔い過ぎると寝る癖はあるけど。


「でも私も不思議に思うのよね。琴音ってお酒飲んだことあるでしょ?」


痛いツッコミが茜さんから来たな。これだけ喋っていたらボロも出るか。俺の喋っている内容は明らかに酒を飲んだことある人の言葉だからな。でも否定しておこう。


「私がいた家庭で未成年の飲酒が許されると思っているんですか?」


「そうなんだけどさぁ。なーんかそんな気がするのよね」


ちなみに今の言葉で否定もしていない。曖昧に濁しているだけ。だって否定した後にばれたら絶対にこのことを突っついてきそうだから。よし、話を逸らそう。


「旦那さんは休めなかったんですか?」


「稼ぎ時だからね。あとは毎年花火大会が終わった後に予約が入っているらしいのよ。多分今年もだね」


バーを予約ね。つまり貸し切りにするということかな。金持ちだねぇと思いながらあることに思い至る。二次会かよと。


「それは静雄さんだから出来ると思いますよ。普通のバーだと色々と問題がありそうです」


「あっ、やっぱり? お酒の勢いでうっかり口が滑ったら不味いわよね」


茜さんも旦那さんから聞いているのだろう。どういった人物たちが来るのか。一応は関係者だからな、静雄さん。情報の漏洩という点で言えば安心だろう。


「何で琴音は茜の旦那について知っているのかなぁ? 私は名前すら教えられていないのに」


よし、盛大に話が逸れた。旦那さんの話を出せば絶対に佐伯先生が食いついてくると思ったよ。ちなみにプライベートでは俺の事を名前で呼ぶことにしたらしい。学園だと名字で通すと。最近こういうパターンが増えたな。


「一緒に焼肉を食べた仲です」


「何で私を呼ばないの!」


そりゃ収拾が付かなくなると思ったからじゃないかな。他にも色々な事態を考えたのだろう。多分だが俺には被害が来なかったと思う。


「静流を呼んだら何のために静君を休ませたのか分からないじゃない。絶対に二次会行くでしょ。それも静君のお店に」


「佐伯先生ならやりかねないですね」


「あんた等が私の事をどう見ているのかよ~く分かったわ。あと琴音は私の事を静流と呼びなさい。もちろんプライベートの時はね」


「りょーかいであります、静流さん」


そこは明確に否定しておいてもらいたかった。つまりは行く可能性もあったということだよな、静流さん。


「名前は静雄ね。本当に会わせる気あるの?」


「予定が会わないんだから仕方ないじゃない」


茜さんの言葉に流石の静流さんも青筋を浮かべた。気持ちは分かるけどな。何で居留守を使ったと思っているんだろうな。


「会わせる気ないでしょ、茜」


「そんなことないわよ~」


あっ、静流さんがキレた。取っ組み合いしてもいいけど周りに被害を出さないで欲しい。片付けが大変だから。あと食べ物を粗末にしないように。これで俺も酒が入っていたら煽っていたかもしれない。基本的に俺自身も仲間達に感化されているから。


「あと何分ですか?」


「もうすぐですね。あのままでいいんですか?」


「始まれば納まりますよ。むしろ止めようと手を出したら巻き込まれます」


経験則でな。度を越せば流石に止めるがそこまではいかないだろ。何となくだけど今まで何回もこういうことはあったのだと思う。だからこそ仲がいいのだろう。


「琴音さんの周りはいつも賑やかですね」


「その中に木下先輩も入っていますよ」


「私の場合は会長がいるから騒がしいのです。私と琴音さんの二人だけの時はそれほどでもなかったと思いますけど」


どちらかといえば静かな方だな。教室だとクラスメイトや小鳥が、生徒会室では会長が、喫茶店では店長やお客さんが。いつも誰かしらがいて、そして俺を構う。部屋ですら茜さんがいるから殆ど一人の時間は減ったな。


「琴音さんの周りに人がいることはいいことなんですよ。一人だと色々とありますから」


「またちょっかいを掛けてくる馬鹿がいるということですか?」


「それもありますが。……琴音さんは恋愛についてどう思いますか?」


「全く興味がありません」


男から告白されても全く嬉しくないのは俺の所為だろうな。琴音だったら眼中無しで切って捨てるだろう。その後のことなんて考えずに。逆恨みって怖いから。


「恐らくですが夏休み明けから来ると思いますよ」


「えぇー」


迷惑ですと一言で断りたいけど、そうもいかないだろうなぁ。もうちょっとオブラートに包んで断らないといけないよな。後の事を考えると。前の時もあんまりそういうことなかったから上手くいくか分からないが。


「それと一応言っておきますが、純粋な好意で来る方だけではないと思います」


「コネ作りですよね。それか今なら私を手懐けられると思っているか」


夏休み前は印象改善に努めていて問題行動は無くなったからな。丸くなったと思われている程度ならいい。逆に今なら琴音に手を出しても問題にはならないと思われている可能性もある。


「そういう輩には手加減はいりませんよね?」


「全てにおいて自己責任ですから。私も偶にありますが、気に入らない手を使われたら怒ります」


直接的な手を出すとは違うんだろうな。言葉によって相手を叩き潰す方だろう。俺もそういう手を覚えたいんだけど。前の知識だと男と女の違いが出てくるからなぁ。


「私が実家の名前を使うとは思っていないんでしょうね」


「実際に使っていませんからそう考えるのでしょう。それに琴音さんも使う気はありませんよね?」


「場合によります。私だけなら兎も角、他の人達に迷惑を掛ける結果となるのでしたら躊躇はしません」


事情を説明すれば学園長と母は納得するだろう。問題である父に関しては大変申し訳ないが、母に任せるしかない。だからこそ使いたくない手なんだよ。


「あの方だけならば協力できたのですが、不特定多数となると流石に私達でも無理なので」


「あれに関しては前からでしたから。でもあれが私に接触してくる可能性はかなり低くなりましたよ」


「それについては綾に聞きました。見事に騙していたと。私もその現場を見たかったですね」


あの現場を知人に見られたくはないな。よく考えれば綾先輩だけで良かった。会長にまで見られていたらネタにされること間違いないから。俺にとっては恥辱だからな。あまりにも誰だお前状態だったから。


「あれの性格もどうかと思いますよ。優しく接すると絶望するとか滅多にありませんから」


「普通なら好意を抱くはずですよね。被害者が琴音さんだけだったのが何とも」


本当に分からんよな。他の人達にそういった行為を求めていなかったというのが。でも綾先輩も引いていたということは琴音とあれの現場を見たことがあるという事か。


「そろそろ時間ですね」


「そうですね。ほら、二人ともそろそろ落ち着いてください。花火が始まりますよ」


「決着はいずれ付けるわよ、茜」


「ドンと来い、静流」


何の勝負をしていたんだよと突っ込まない。何となく俺のポジションが前と同じになってきたような気がする。主にプライベート方面で。学園ではそうでもないからな。さて花火を楽しみますか。


この時は純粋にそう思っていた。面倒事なんて起こりようがないと。

過去話でも書こうと思っていましたが、何でこうも自分からネタに走るんでしょうね。

無自覚に何かしらやらかしますから。

今回はそんなお話。

不採用通知を貰って、次をどうするかと考えていましたが暇になったので安売りをしていたゲームをダウンロード。

丁度残額で買えましたから特に何かを考えていた訳ではありません。

そしてゲームのタイトル画面を見て、筆者の一言。

「タイミング的に馬鹿じゃない」

ゲームのタイトルは「俺に働けって言われても乙HD」です。

言っておきますが筆者は引き篭もるつもりは一切ありませんからね!

いい加減ネタ切れにならないかなと本気で思っています。

過去話を書けるのはいつなんでしょうねぇ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ