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29.過去についてあれこれ

量を書いたものを没にしたので遅くなりました。

読み返して登場人物を早めに出したのが裏目に出て、変になりました。

グダグダ感が半端なかったです。

29.過去についてあれこれ



さて宴会も盛り上がってきたから、そろそろ俺は退散しますかね。いつまでも酒も飲めない俺が居たところで邪魔になるだろ。腹も膨れたしな。


「それでは私はお先に失礼します」


「何だ?最後までいないのか?」


「三堂さん。私の年齢を考えてください。あまり遅い時間まで外にいる訳にはいきません」


まだ未成年なんだ。終わりの時間までいたら九時を過ぎるだろ。幾ら護衛がいるからといって、女子高生がそんな時間に外を歩いているのは問題だろ。


「それもそうか。一人で大丈夫か?」


「いつもの人達が一緒なので大丈夫です」


多分、外で待っているんじゃないかな。中に入って来るとは思えないけど。だって入ってきたらお酒を飲みたくなるじゃないか。晶さん辺りが一番衝動的に動きそうだし。


「それでは皆さんは引き続き楽しんでください」


「本当に大丈夫なのか?」


「護衛位付いているんじゃない?ほら、仮にもあれなんだし」


「そう言えばそうだったな。何か最近の琴音を見ていると、その事実を忘れそうになるな」


近藤先生、学園では名字で呼んでいるんだから忘れる訳ないだろ。その事実は絶対に変わらないのだから。


「琴音が去ると寂しいです」


「その分、近藤さんを構ったらどうですか?」


「うーん。……ないね!」


「おい、素で凹ますなよ。キャシー」


折角なら近藤先生とキャシー先生がくっ付かないかと思ったが、そんなに上手くいくわけないか。それにこれこそ要らん世話だな。


「それではお疲れ様です」


扉を閉めて、スマホを操作。学園長に「二次会位誘いなさい」とメールを打っておく。この飲み会を急いだわけは学園長と連絡先を交換していたからだ。毎回夜にどうなったのかと聞かれることにウンザリしていたのが理由。

まさか本当に掛けてくるとは思っていなかったから。


「店長。ご馳走様でした」


「何だ。先に帰るのか」


「えぇ、ちょっと事情がありまして」


「そうかい。気を付けて帰れよ。ただあいつが似ているといった意味が俺にも分かったわ」


「えっ?」


何かしたっけ?前の俺と同じような癖とかは俺も分からんが、特に変わった行動をした覚えもないんだが。


「飯食っている姿がダブるんだよ。姿は全然似ていないのに不思議だよな」


「そうですね。不思議ですね」


そうとしか言えないわ。変に言葉を選んで返したら不思議に思われるだろうし。


「お前の聞いていたことにも答えたいんだが、こっちにも事情があってな」


「仕方ないことです。他人においそれと話せることじゃないでしょうから」


俺だけじゃなく、他の人も関わっている事件の事を勝手に話せないだろうな。それこそ店長か奥さんが酒に酔っぱらって口を滑らせない限りは。


「しっかし、お前とあいつが会ったら大変なことになりそうだ」


「あいつですか?」


「それこそお前の疑問に答えてくれる奴なんだが、絶対にお前の事を気に入ると思うからな」


「……?別にそれは大変なことだと思わないのですが」


「いや、あいつと会ったら分かるぞ」


うん、誰なのか大体予想は付くな。それにしてもあいつが俺の事件に関わっているってどういうことだ?


「それでは失礼します」


「おう、気を付けて帰れよ」


夜の女性の一人歩きはいつの時代も危険だからな。俺には護衛が付いているから問題ないと思うが、夜となると人員交代しているんだったかな。あの二人以外は全然知らないんだが。


「それにしても分かったような、更に分からなくなったような」


自分の事なのに調べるのがここまで大変になるとは思わなかった。しかも知ろうとするには更に俺の知り合いと接触しないと無理と。出会う方法も分からないのだから軽く詰んでいる。


「降りそうだな」


六月は梅雨の時期と言われているが、今年はそうでもないと思う。確かに不安定な天気で曇り空が多いが、目立った大雨もない。だが外に洗濯物が干せないのは変わらない。最近は洗剤も進化しているから部屋干しでもそこまで匂わないのが救いだ。

だが現在の空は厚い雲に覆われている。夜だからいまいち分かり辛いが。


「傘持って来てないし」


一応の為に帽子は持ってきたが、日中は晴れていたからと傘は持って来ていない。帽子は出歩いているのをある程度は隠せるだろうと思って初期装備から持ってきたんだが。

バッグ位持ってくるべきだったか。


「仕方ない。走るか」


「「っ!?」」


何か後ろを歩いている人が息を呑んだような気がする。多分護衛の人達かな。私服姿で変装していて、しかも見慣れない人達だから尚更だ。しかしそんなに俺が走ったら駄目かな。雨降りそうだし。

部屋までかなり遠いが。


「す、すまないが我々が送ろう」


「知らない人達に付いていかないというのは世間一般の常識ですが」


唐突に話しかけてきたのでいつでも逃げられるだけの距離を開けて対峙する。いや、正体は察しているけど一応念の為に。本当にこの人達とは面識ないからさ。


「恭介と晶の同僚だ。車を準備するから待ってもらえないだろうか」


「信用できると思いますか?」


「勘弁して頂戴。ここから貴方の部屋まで何キロあると思っているの。早朝ランニングだって付き合うの大変なのに」


あれま、朝の行動も知っているということは初めて付いた人達と言う訳じゃないのか。俺としては腹ごなしも兼ねて少しばかり走ろうと思ったのだが。そう言えばこの人達は晩飯を食ったのだろうか?


「お二方は晩御飯食べられましたか?」


「いつ出てくるか分からないから軽くつまむ程度だな。それがどうかしたか?」


「でしたら何処かに寄っていきませんか?もちろん私に奢ってくれたらですけど」


何となくデザートが食いたい気分なんだよ。あとはこのまま帰っても一人で悶々と考え出しそうだから、もうちょっと誰かといたい気分というか。


「いいのか?あくまでも我々と君は初対面だろ?」


「誘拐するのであればこの機会を逃したりしません。悠長に話しているよりもさっさと連れ去ります」


「それはそうだが、話を聞いていたのとは違うな」


「そうね。私達護衛とは距離を取っていると聞いたんだけど」


「ただの気分です。それにそれを言ってしまえば晶さん達と話したりはしていません」


「いや、あいつらは特殊だ」


同僚にすら特殊扱いされているなんて、あの人達は過去に何をしているんだよ。そしてそんな人達しか琴音の護衛に付かないという事態もある意味で凄いな。


「でも貴女、先程食べたはずじゃないの?」


「色々と食べましたが、甘味は別腹というじゃないですか。もちろん私の年齢で入っても問題ない場所ですよ」


また居酒屋は流石に不味い。ただ別腹と言うのは何だろうな。入る場所は同じだから腹が苦しかったら、絶対に入らないというのに。まぁ今の俺も結構腹は膨れているが、まだ隙間はある。

あとちょっと情報を知りたい。部屋に戻って調べるのも面倒だから。


「ならお言葉に甘えよう。君の部屋の近くのファミレスにしよう。おい、車を持ってこい」


「了解。ちょっと行ってくるね」


女性の方が離れて行ったが、車を何処から持ってくるのだろう。俺もここまではバスを使ってきたのだが、後ろを付けてきたのかな。全然気づかなかったから流石は本職だな。


「今回の事は迷惑でしたか?」


「これが仕事だからな。むしろ晶達へ事前に話していたから楽ではある。場所を聞いた時は驚いたが」


今回もいつもと違う場所に行くので晶さん達には話していた。居酒屋へ行くと言った時は反対されたが事情を話したら何とか納得してくれた。むしろ自分も行きたいと晶さんは言っていたが。恭介さんに抑えられていたな。

知り合い枠でねじ込むことは出来そうだったけど。


「君の交友関係もどうなっているんだ?あの皐月家の三男とも親しいとは」


「私から近づいたわけではないですよ。あっちから相談してきたのですから」


「それは聞いているが、どうも前の君と違いすぎて君の行動予測が難しいのだ」


そりゃ中身が違うのだから今までの行動予測なんて使い物にならないだろう。今回のように突発的な催し物なんて予測出来たら凄いわ。女子高生が居酒屋に入る時点で想像の斜め上だ。


「これからも予定を伝えていたほうが宜しいですか?」


「そうしてくれると助かる。本当なら影ながら見守るのが我々の役目なのだが。人手が足らなくてな」


「基本的にツーマンセルですか?」


「そうだ。常時二人は付いているが、それ以上ということは無い。だから大変なのもある」


さてこの問題はどちらがやらかしたのか。父か母か。護衛として人数が足りないのは俺でも分かる。今回のように一人が車を用意している間に何かあった場合はもう一人だけで対応しないといけない。

それを考えると不測の事態に弱い気がしてならない。


「仕事とはいえ大変ですね。それに夜まで付きっ切りというのは」


「それが仕事だからな。愚痴を零した所で何も変わらん。それにこれを選んだのは俺自身の意思だ。悔やんでも仕方ない」


仰る通りで。本当に嫌ならさっさと辞めているだろう。なら辞めれない理由があるか、価値がある仕事だと思うかは本人次第。


「お待たせ。ちょっと降って来たからさっさと乗って」


小ぶりとは確かに雨が降ってきたな。このまま走って帰っていたら部屋に着く頃にはずぶ濡れになっていたのは間違いない。これもこの人達を誘った理由ではある。好んで濡れたくはない。


「それにしても仕事中にまとも食事が出来るなんて思わなかったわね」


「いつもはどうしているのですか?」


「そりゃパンとか惣菜とかで済ませているわよ。夜担当は基本的にそんな感じ」


身体に悪そうだな。俺から目を離せない、プラス人数が足りないのが原因だろうな。もう二人くらいいたのなら交代で飯を食いに行けただろうに。


「でも貴方の護衛は比較的楽な部類よ。夜に出歩かないから」


「晶さん達にも言われましたね。それに私が夜に出歩いたら色々と問題があると思います」


「言えてる」


苦笑されるが当たり前の話だ。コンビニに行く位なら話は分かるが、夜の散歩とかしてたら補導されかねない。そうなったら学園退学待ったなしだ。やる理由なんてない。

ただ容姿がこれだからばれない可能性もある。変なのが引っ掛かりそうだけど。


「お二方はイグジストという有名人をご存知ですか?」


これが聞きたい内容。居酒屋の壁に飾ってあった色紙に書かれていたからちょっと気になったんだよな。ネットで検索すれば分かるだろうが、どの位認識されているかは分からない。

流行りを全く知らない俺も問題だとは思っている。


「有名な所でミュージシャンね。4人組のバンド活動をしているの。男三人に女性一人。ヴォーカルは女性ね。私は結構好きよ」


「若い君の方がこういう事には聡いと思うのだが」


すみませんね。TVとか全く見ないから、疎いんだよ。クラスメイトとも話していて、会話なんて噛み合わない時がよくある。その都度、色々と説明されているが。むしろ説教も。

それにしても何であの店にそんな色紙があるんだ?偶々来ただけなのか。


「どんな人達なのかは分かりませんよね?」


「仕事でも一緒になったことは無いかな。むしろスマホで見てみたら?」


そうだな。えっと検索名はイグジストでバンドと。ヒット数が結構な数だから割と有名なんだな。えっと、どれを見よう。適当に開いてみるか。


「ぇ?」


開いたページに乗っていた顔写真に思考が停止する。俺が知っている人達。そして一番親しかった人達の顔が載っている。


「どうかしたの?」


「いえ、何でもありません」


まさか知っている人達ですと答える訳にはいかない。というか、あいつらは何をやっているんだ。仕事はどうしたんだよ。三年前は普通の会社員とかOLとかだったのに。

どうなったら趣味のバンドがデビューしてんだよ。……マジで何があった。


「参ったな……」


これじゃ接触することは無理だ。メジャーデビューしているのなら近隣にいない可能性だってある。以前の住所も当てにならないだろう。しかも店長の話から予測すると、俺の事を説明して貰えるのはあいつだ。そのあいつが、ヴォーカルとなれば確実に無理だ。

話す機会が全然思いつかない。これは、詰んだな。

サブタイで困ったら大体これを選んでしまいますね。便利です。

そして飲み続けた缶コーヒーが漸く終わりそうです。二箱は長かった。

父「二箱追加な」

もう飽きました。勘弁してください……

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[一言] 作品も楽しいけど緋月さんの私生活エピソードも面白い
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