表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
229/237

after11.幼馴染の明日はどっち?

正月三が日の更新はここまでです。

次回から一週間か二週間程度の更新になると思われます。

どうか、よろしくお願いします


 焼肉は買い出し以外、準備する必要がないので楽だ。商店街の人達にアメのことを紹介したり、セクハラ発言した人が奥さんにぶん殴られたりしたくらいか。


「大人気だな、アメは」


「皆いい人っぽいね。琴音も慕われているのがよく分かったわね。琴音って私以外の人とも普通に話せるのね」


「喧しいわ。いつの話をしているんだよ」


「私以外の人とは表情筋固定で話していたのにねー」


 昔の姉は交友関係が狭いというよりも、一本程度しかなかったか。友達と呼べるのはアメリアだけ。知人と呼べる人すらいなかった気がする。


「今思い出すと無表情の子とか他の子たちが怖がるのも無理ないわね」


「だよねー」


 多感な時期に無表情で抑揚のない声で答えていたら、他の子たちと距離が出来てしまうのは普通。あれで姉は緊張していただけというが笑えてしまう。兄と出会う前の姉は本当に人付き合いが下手くそ過ぎた。


「そんな琴音が笑みを浮かべながら話している時点で、私としては信じられない思いだったわ」


「だから言っているだろ。私も変わったんだって」


「でも、その言葉遣いにはまだ慣れないわ。進歩というよりも、変異よ」


 納得できてしまうんだよな。変異した原因は兄の影響だけど。あの人は出会う人たちに化学変化でも起こす何かを持っているのだろうか。いい影響もあれば、悪い影響もあるのだが。


『琴音ー。女子会にやってきたわよー』


「勝手に入ってくれっと」


 香織からメッセージが入ったので返しておいた。私の部屋の鍵は本当に親しい人には渡している。茜さん、香織の二人だけだけどな。それ以外は、危険な予感しかしない。犯罪的な意味ではなく、馬鹿騒ぎ的な意味で。


「琴音のフレンド?」


「私の中では一番親しい友人かな。なんだかんだと付き合ってくれるから、頼りにしている」


「なるほど、ベストフレンドね。それなら色々と話は聞けそうかも」


「それでも知らない部分は多いけどな」


 香織抜きでの出来事も多いから。だけど、アメと魔窟の連中を鉢合わせるのはいけない気がするんだよな。男連中なんて絶対に何人か求婚するぞ。しかもガチで。


「琴音が女子会を開くなんて珍しいわね。献立が焼肉なのがらしいけど。はい、お母さんから差し入れ」


「サンキュー。これでデザート確保だな。アメ、沙織さんのスイーツは絶品だぞ」


「O、Ohー。いきなりそんな満面の笑みを向けられたのは予想外よ」


「また凄い人が出てきたわね。見た目のインパクトが凄いわ」


 香織にとっても初めての人だろうな。いや、ギャップでのインパクトは数えきれないほど見てきただろうが、ストレートに自分との違いをぶつけられることはなかったと思う。


「今のうちに聞くわ。何か変な癖とか、ツッコまれた奇行とかある?」


「あるわけないでしょ!」


 最短最速で聞いたな。香織も初見の人に対しても物怖気しないようになったか。誰がここまで鍛えたのだろう。十二本家の連中かな。私を抜いた。


「それでこちらが私の幼馴染のアメリア。ファミリーネームは省略で」


「仰々しくなるから私も嫌なのよ。アメリアでも、琴音みたいにアメでもいいわ」


「じゃあ、アメリアで。しかし、琴音の幼馴染か。何か苦労しただろうなと」


「おい、こら。昔からやんちゃだと思うなよ」


「どっちかというと、人付き合い下手くそな不器用少女だったわね。誰かとの仲を取り持とうとは早々に諦めたわ」


 そして姉の友人はアメだけになったと。香織だって、姉の性格を知っているから、兄ほど苦労することはなかったと分かっているはず。八割くらいは冗談のはず。


「琴音。一体私と別れた後に何をしていたのよ?」


「他の十二本家とバチバチにやり合ったり、生徒会に入る入らないで騒ぎになったり、修学旅行で脱走劇とか本当に色々とやらかしていたわよ」


「暴露が早い」


「ひぇー、あの琴音がね。私の知っている琴音だったら、無難に諍いを収めて、生徒会にも入って、修学旅行も普通に過ごすと思うわね」


「私の知っている琴音と、アメリアが知っている琴音の差異が激しいわね」


「それは私も感じるわ。ここまで変異するような出来事って何があったの?」


「秘密だよ。誰が言うか」


「えー、何それー」


 兄と姉が出会った。出来事だけでいえば、それだけなんだ。出会い、愚痴り、騒ぎ、呆れ、騒動になって別れた。どちらにとっても、まともじゃなかったのに何かが変わった気がする。それだけの話。


「さて、香織さんや」


「何よ、琴音さんよ」


「アメは茜さんの好みにストライクかい?」


「いやー、違うと思うわよ。琴音とのイメージが違い過ぎるじゃない」


「私が基準か」


「だって、茜さんの好みど真ん中が琴音じゃない。アメリアはどっちかというと、私サイドのような気がするから。激推しにはならないでしょ」


 本日の被害者は私だけ。いや、根掘り葉掘り聞かれるアメも犠牲者に数えられるか。それを優雅に見ていられる香織をどうやって巻き込んでやろうか。


「琴音。私のことを巻き込もうと考えているわね」


「なぜバレた」


「いつものパターンじゃない」


 地雷原に突っ込ませようと思ったのに、警戒されているとは。そもそも、兄が手の内を見せ過ぎなんだよ。私が新しいことを考えように殆ど兄の真似になってしまうのに。


「どした、アメ。こっちを見ながら笑うなんて」


「心配していた私が馬鹿だったかな思って。あんな別れ方して、独りぼっちになった琴音が上手くやれているのか心配していたのよ」


「私と会った時の琴音なんて逞しかったけどね」


 兄のあのハートの強さは魔窟で培われたというよりも、境遇によるものが強いと思う。義母に預けられ、本当の母に捨てられたと告げられ、それでも非行に走らなかったのは奇跡かな。あの兄が非行に走ったら止められる人がいない気がするけど。


「学園に入ってからは目まぐるしかったのもあるか。それにその前から一人になることもなかったし」


「琴音ちゃーん。女子会招待ありがとうね!」


「一番賑やかな人が来たな」


 味方が一人でもいるからこそ、不貞腐れることもなく真っ当な道を進むことができたはず。当時の兄は琴音の道をどうするか悩んでいた部分もあったと思う。全部私の推測でしかないけどさ。


「貴女が琴音ちゃんの幼馴染かね! 昔の琴音ちゃんの話を聞かせてくれないかなー?」


「はいはい、その話はご飯を食べてから。まずはお腹を満たすことを考えましょうね」


「琴音ちゃんのいけずー」


「何というか、勢いというかパワーのある人みたいね」


「アメリア。あれでも全然エンジン掛かっていないから。フルスロットルになったら本当に凄いわよ」


「Really?」


「気を付けなさい。今の琴音ですら、太刀打ちできないから」


「気を付けてどうにかなるものなの?」


「武運を祈るわ」


「ちょっと、香織!?」


 アメリアと香織の仲も傍目から見たら良好になっている気がする。ただし、これから行われるのはアメリアによる昔話と、茜さんと香織による最近の話。


「片付けまでに終わってくれないかな」


「日付変わるんじゃない?」


「嫌な現実を自覚させないでくれ。香織」


 これで酒飲ませて潰すとなれば話は簡単なのだが、茜さんは酒に強いからな。簡単には眠ってくれない。むしろ、燃料を追加していく感覚に陥ってしまう。


 兄と姉に対する恨み辛みがどんどんと積もっていくぞ。

私だって偶にはまともなままのキャラを書きますよ。

そりゃ進行する度にネジがおかしな方向に刺さったりするのもいますけど。

うん、確証ないですね。だって、プロット崩壊なんて珍しくないし。

むしろ私の場合は構成すら崩壊しております。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[気になる点] >>あの兄が非行に走ったら止められる人がいない気がするけど。 師匠は?
[一言] 絶対にこっち側に来るんだ(確信)
[一言] 何だかんだ香織さんも少しとは言え染まってますからねぇ。 首を長ーくして気長に待ってます!
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ