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after10.幼馴染は正常です

せめて三が日くらいは連続更新したい所存です。

三話目、一文字も書いていませんけどね!


 小学校以来の幼馴染との再会。別れた時のことを思い出せば、お互いにギクシャクした会話になるかと思っていたのだが、そんなこともなく普通に会話できている。喧嘩の原因も時間経過で風化して何だったのか忘れたのかもしれないか。


「おー、ここが琴音のハウスね。何で宇宙服があるの?」


「色々とあってな」


 リビングの一角に仁王立ちしている宇宙服。また使うかもしれないから奥に仕舞い込むわけにもいかず、妥協してリビングに置いているのだが。あまりにも不自然だよな。


「ただの置物だと思ってくれ。ぶっちゃけ、重くて一人でだと移動できないんだ」


「何というか。昔のイメージと本当に違い過ぎるわね」


 姉しか知らないのであれば、そんな感想しか出てこないよな。一人暮らしも、歌手デビューも、父親を殴った一件だって姉とは一切結びつかない。


「空いている部屋があるから、そこを使ってもらうとして。先に言っておくけど、ご飯の時は他の人も来るから」


「おっ、ボーイフレンド?」


「そんなわけないだろ。奥さんだよ」


「Really?」


 間違った言葉の使い方はしていないが、変な伝わり方をしたのは理解できた。明らかにドン引きしているからな。私に奥さんがいるわけないなんてすぐに分かるのに。


「お隣の奥さんがご飯を食べに来るだけ。変な想像するな」


「あー、うん。そうだよね。でも、何で?」


「私も知りたい謎だ」


 割とそこら辺を突っ込んでくれる人がいなかったからあれだが。私だってどうしてそうなっているのか知りたいくらいだ。聞いたら悲しそうな顔をされそうだから、聞けないけどさ。


「部屋に荷物を置いてきたらどうだ?」


「そうするけど。琴音ってギターするの?」


「それはベース。練習しないといけない事態になったんだよ」


 それがこの夏に課せられた私にとっての試練。アンノーンとして活動することが正式に決定したので、他のアーティストともコラボしなければならなくなった。でも、学生生活に支障が出ないようには交渉したよ。


「アメには先に言っておくか。私はアンノーンとしてアーティスト活動しないといけなくなったから。偶にいないからね」


「Ohー? 言っている意味が分からないんだけど」


「私の職業。学生兼歌手」


「いやいやいや! 何がどうしてそうなるのよ!」


「あー、新鮮な反応だ」


「あの恥ずかしがり屋な琴音が人前で歌うなんてできると思わないじゃない!」


 流石は幼馴染。姉の性格をよくご存じで。実際には姉も巻き込まれた立場なんだよな。兄の無茶ぶりに。何で被弾したら誘爆するという思考になるのか。


「えっ、シェリーと共演? あの超大物歌手と?」


 スマホでアンノーンについて検索したのだろう。疑問の声や、悲鳴が続いているようなのでこちらは夕飯の献立でも考えるか。折角、潤沢な資金があるのだから歓迎会として豪勢にしようかな。茜さんだけでなく、香織も呼ぶか。どうせ顔合わせは必要だと思うし。


「アメは嫌いなものあったっけ?」


「タコとイカ」


「軟体生物関係か。食えば美味しいのに」


「あの見た目を想像すると食べる気になれないのよ」


 人の好みはそれぞれ。食べれないものを食卓に並べても残されるのがオチだからな。無駄にしない為には出さないのがベスト。あまりに多いと困ってしまうが、見た目が原因ならやりようは色々とある。


「あとで買い出しに出るか。今夜は焼肉にするけど、問題ない?」


「それなら全然大丈夫だけど。琴音が買い物に行く場所ってどこ?」


「商店街とかスーパーだろ。何を当たり前のことを」


「琴音のイメージがどんどん崩れていくわ」


 アメの中での私に対するイメージはまだ如月の人間として固定されているのだろう。そんなもの、今の私とは全然違うのに。こちとら兄の所為で色々と逸脱しているのだ。


「しかも、あのパパ大好きっ娘がパパを殴るなんて」


「あんなクソ親父にはいい薬だったけどな」


「一体私と別れた後に何があったのよ」


 色々とな。兄が死んで姉が引っ込み、次女がやらかして、兄がやってきて、無茶苦茶やって兄と姉が去って、私が生まれた。順序として並べてみても全く意味が分からない。


「そこら辺を語り出すとひたすらに長いし、信じられない話ばっかりだぞ」


「時間なんていっぱいあるんだから聞けるわよ。なんだか聞くのが怖いけど」


 常人には理解できない話がどんどん出てくると思うぞ。アメの思考はまだまともだ。すでにずれてしまっている香織は、大体諦めて受け入れるようになったから反応が薄い。


「焼肉食いながら聞けばいい。私のことをよく知っている人達を呼ぶから」


「ほほぉー。男?」


「何でアメはそっち方面に話をもっていきたがるんだよ」


「琴音のラブトークとか滅茶苦茶面白そうじゃない」


 生まれて数か月の私に恋愛を期待しても仕方ない。何より現状が恋愛できる状況じゃないからな。ずぅーと姉のままだったら、可能性はあったかもしれないけど。あと兄も生きていたら。


「私の普通はどこに行った?」


 生まれてから普通の生活を送れていない気がする。そりゃ学園での生活はいたって普通かもしれない。下級生たちも特に何かを仕出かすようなこともない。ただし、平和なのはそこだけ。学園から出たら唯さんから電話が来たり、喫茶店では綾先輩や葉月先輩が来たりと賑やかなものだ。


「買い出し手伝えよ?」


「私が主賓じゃないの?」


「これから共同生活なんだから協力くらいしろよ」


「ジョーダン、ジョーダンだよ」


 まずは目先の目的を達成することを考えよう。肉は必須としてその中身だな。カルビにロース、タンも必須だな。奮発していいものにしようかな。あとは野菜各種。結構な大荷物になりそうな予感。


「一回お金降ろさないと」


「琴音の通帳とか見るのが怖いわよ」


「私も見るのが怖い」


 増えているのが分かる楽しみと、減っていく過程が分かるから怖い。切り詰めすぎると茜さんに心配されて、なぜかお金を渡してこようとするから困ってしまう。お隣さんといえど、他人であるのには変わりないのに。


「深く考えると怖いな」


「何が?」


 推しに貢ぐ感覚なのかもしれないが、心当たりのない私にとって受け取ってはいけないお金にしか思えない。料理だけでは返しきれない感じがして。


「アメ。多分だけど、夕飯で強烈な人と会うだろうから覚悟しておいて」


「wait。ちょっと待って。何と私を引き合わせるの!?」


「大丈夫。あの人の好みに引っかからなければ普通だから」


「それは引っかかったら無事じゃないのよね」


 ニッコリ微笑んで沈黙で返したら縋りつかれてしまった。泣くほど怖がることないじゃないか。大丈夫だって。暴走している茜さんだって慣れれば何とかなるんだから。


「それに多分だけど。アメはストライクゾーンから外れていると思う」


 アメは明るく、物怖気せず、コミュ力も高い。それは茜さんと重なる部分だから、意気投合したとしても茜さんから攻勢を掛けるとは思えないんだよな。


「あれ? 私の被害の方が大きいのかな?」


 下手にアメが姉の過去話なんて始めたら、茜さんがフルスロットルにならないだろうか。こちらとしては姉と分けて考えられるから、ダメージはそこまで大きくないのだがそれでも多少は恥ずかしい目に遭うかもしれない。


「アメ。頼むから私の昔話は出さないでくれ。お互いの為に」


「それ禁句?」


「大変な目に遭うと思う」


「肝に銘じておく」


 恐らくというか、絶対に無理だと思うけどな。私とアメの関係を聞いた時点で、昔話の切り口は出来てしまう。そして、面白がって香織が切り口を広げてきそうだ。


 でも、私にとっては姉の話なのだからダメージ軽減になるかな。揉みくちゃにされたら終わるけど。

幼馴染は割かしまともな性格にしようかなっと。

ほら、他の面子があまりにもずれていたり、ねじ曲がったりしていますから。

本来はこのポジション、香織だったはずだったんですけどね。

何であーなった。

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― 新着の感想 ―
[一言] 比較的まともな方?この物語にしては珍しい…何時までもつのやらw
[一言] そもそもまともと言う言葉が適用できる人間がこのフィールドで生きていけるんですか? 一週間在れば仕上がるんじゃないです?、、、因みにこの子長女?(ポンコツフラグ判定どうぞ)
[一言] 大丈夫、彼女もそのうち朱に染まる
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